2009/03/20

    新臨床研修制度改正案パブリックコメント募集開始

ようやく正式に案が出され、パブリックコメントの募集が始まりました。

案件番号 495080601
意見募集中案件名 「医師法第16条の2第1項に規定する臨床研修に関する省令の一部を改正する省令及び関連通知の一部改正(案)について」への意見募集


評価できるところ
地域医療が必修として残った
またその内容がより明確に規定された(保健所実習でのお茶濁しがやりにくくなった)


(3)地域医療の研修
○ 地域医療の研修は、十分な指導体制の下で、患者が営む日常生活や居住
する地域の特性に則した医療(在宅医療を含む)について理解し、実践すると
いう趣旨であり、へき地・離島診療所、中小病院、診療所等において行う。
○ 研修を行う施設は、関係自治体や地域医療対策協議会の意向を踏まえるな
ど、地域の実情に応じて選定されるよう配慮する。


反対するところ
小児科、産婦人科、精神科が必修でなくなった。また縦割り、たらい回し、見逃しが増える。
○ 外科、麻酔科、小児科、産婦人科及び精神科を「選択必修科目」として、この
中から2診療科を研修医が選択して研修を行うことを必修とする。病院の判断
で、これらの診療科の全部又は一部を「必修科目」とすることもできる。


その他
戦力になる医師を医師不足の病院からの要請に応じて派遣する場合さらに研修医の定員を増やせる。
(戦力になる医師を出して、手のかかる初期研修医が増えるという二重の負担をかぶる意気込みが必要)

○ (1)にある「医師派遣等」とは、①~⑤のすべてを満たす場合とする。
① 以下の場合のいずれかに当てはまること。
ア 病院が、当該病院に勤務する医師を、出向などにより、その他の病院に
勤務させる場合
イ 病院が、当該病院に勤務経験のある医師を、その他の病院との主たる
調整役になって、その病院に勤務させる場合
ウ 病院が、労働者派遣法に基づき、地域医療の確保等のために医師を派
遣する場合
* 労働者派遣法 : 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業
条件の整備等に関する法律(昭和60年法律第88号)
② 対象となる医師は、医師免許取得後一定の臨床経験(例えば7年以上15
年以下)を有し、その他の病院で常勤として勤務すること。
③ その他の病院で勤務する期間が継続して1年以上3年以下であること。
④ 各都道府県における地域医療対策協議会や関係する地方公共団体など
の意向を踏まえたものであること(平成23年度以降に臨床研修を開始する
研修医の募集定員について適用する)。
⑤ 開設者が同一の病院間において行われている医師派遣等や、その他の
病院との相互の交流として行われている医師派遣等ではないこと。


都道府県ごとの定員上限の設定により都市部を中心に1650のポジションが削られる(実際は卒業生の数より大幅に多い研修医枠があるので、適正化ともいえるが。しかし千葉県まで現在の定員数が減ることになるとは..)

基本的に理念/長期的視野なき改悪と感じています....


4/17締め切り。
施行予定はH22採用の研修医から。(てっきりこの春からと思っていたのでちょっと安堵)

2009/03/12

    大組織で成功できる要素(大組織適応性)

かなり前に読んだ、

梅田望夫 「ウェブ時代をいく」 (後述)

より

著者の経営コンサルタントとして多くの起業人を見て来た経験から。

この本は個人としてネット時代をどのように生きるか、また、そういう人が増えるだろうという趣旨の本だが、その対比として、これまでの日本で求められて来た大組織に適応して生きる生き方の特徴があげられている。

大組織で成功できる要素(大組織適応性)

1)「配属」「転勤」「配置転換」のような「自分の生活や時間の使い方を他社によって規定されること」を、「未知との遭遇」として心から楽しめる
2)与えられた問題・課題を解決することに情熱を傾けることができる。その課題が難しければ難しいほど面白いと思える
3)Whatへの「好き嫌い」やこだわりがあまり細かくなくおおらかで、一緒に働く人への「好き嫌い」があまりない。仮にあっても、苦手(つまり「嫌い」)を克服することを好む。
4)「これが今から始まる新しいゲームだ」とルールを与えられたとき、そのルールの意味をすぐに習得してその世界で勝つことに邁進することに興味を覚える。
5)多くの人と力を合わせることで、個人一人ではできない大きなことができることに充実感を覚えるチームプレイヤーである
6)「巨大」なものが粛々と動くことへの関与・貢献に達成感と充実感を感じ、長時間長期のの「組織へのコミットメント」をいとわず、それを支える持久的体力にすぐれる。
7)組織への忠誠心や仕事における使命感の方が、個の志向性よりも価値が高いと考える。


続けて、

これからは、大組織は大組織ならではの強み、つまり「巨大」であることそれ自身が「強み」になる事業や行動を選択し、そこに集中する傾向が強くなっていくはずである。


と。

自分は大組織(当時は医局)には収まることのない人間だと思っていた。父親も医師ではないが個人経営だった。絶対に嫌だったし無理だと思ったので、聴診器と体一つで生きていけるように、武者修行の道を選んだ。

それが、どういったことか、大組織の中で仕事をしている。しかも充実している。上記の要素で当てはまる部分もあるがそうでない部分も多い。

一つは現在の自分が所属する組織が、ある意味にほんの「大組織らしくない」大組織であり、大変に多様性を許容する組織なのだろう。自分は大組織適応性がすごくある訳ではないが、そういう人間に大組織への適応を強要するのではなく、ある意味そういう人間をできるような寛容性を持って組織の側が適応をしているのだろう。

自分は今どのように戦っているか。大組織としての戦い方をしているか、一個人としての戦い方をしているか。それぞれにはそれぞれのとるべき戦略があり、それらは同じではない。(「ランチェスター」という単語で検索されたし。大量の書籍があります。とくに竹田陽一氏)

考えてみると、自分は両方の利点をうまく組み合わせているように思える。

しかし自分が大組織の中で生きていくようになるとは本当に思っても見なかった....

最近とある産婦人科医がふっといった言葉(意訳)
「内科、小児科医は個人商店だ。システム、仕組みのことには思いが及ばない。外科系、新生児科医はチームプレイヤーだ。仕組みで成り立たせることを考える。」

結構同意できる部分があります。完全にそのようにステレオタイプには分けられないのですが。
その割に産婦人科は周産期の仕組みを作ってこなかったみたいで。。。あ、作ってこなかったのは国でしょうか。


ウェブ時代をゆく
梅田 望夫
筑摩書房 ( 2007-11-06 )
ISBN: 9784480063878
おすすめ度:アマゾンおすすめ度

2009/03/10

    モチベーションをあげる方法(自分、他人)

引き続き、いろいろな人に「やせましたね」といわれますが、最近はその後に「大丈夫ですか?」が続くことがしばしば。病的なやせ方に見えるのでしょうか。体調は変わらないのですが、病的に受け取られるやせ方なら改めなければなりません。もう少し体重戻した方がいいのかな。あと今は食事管理だけなので、やはりもう少し運動を取り入れて健康的にやせなければと思っていますが、食事管理は時間も労力も意識付けもいらない(今は完全に習慣化されてしまった)ので苦痛もないし、努力も不要なのですが、運動に関してはまだその域に達していません。

さて、最近ずっと自分のテーマである、「やる気」。

引用ばかりですが、

昨年のHANDSで参考書にした

モチベーション・リーダーシップ 組織を率いるための30の原則 (PHPビジネス新書)




の著者の連載です。(全部無料でみれると思います。表現は違いますが上記の本の内容の多くがカバーされています)


自分用
モチベーションを創る技術http://business.nikkeibp.co.jp/article/nba/20080326/151295/
全24回


他人用
モチベーションを高めるリーダーシップ
http://business.nikkeibp.co.jp/article/nba/20080917/170817/
21回 連載中


自分自身の身につまされることも多いですが、再認識しながら日々向上を目指すよりありません。

関連してもう一冊。こちらは大学教授の執筆によりきちんと論文を引いてあり、いわゆる総説として良くまとまっています。ですから少し読み物としては硬いですが。



その他のやる気関連本はこちら

時間泥棒されないように気をつけながら参考まで。

2009/03/06

    今後の活動

最近の活動,今後の活動予定をまとめました.

講演,講師

学術活動

ハイライト

1.

2009年プライマリ・ケア関連学会連合学術会議
ジェネラリストのための総合的な学習の時間
~前立腺がんのPSAスクリーニングを題材に~ (委託ワークショップ)

5月31日(日)13:10~16:10
伊藤彰洋 小宮山学 池尻好聰 栗原大輔 寺内勇 平洋  家研也  竹内治氏と 
国立京都国際会館
http://www.primary-care.or.jp/primary2009/details/ws25_detail.htm
http://www.primary-care.or.jp/primary2009/primary2009_gaiyou_top.htm


ずっと温めてきた企画です.2-3年前から.何とかいい形に出来ないかと多くの人の力を借りる予定です.


2.
病歴と身体所見でここまでわかる! 総合医スキルアップセミナー
ケースカンファレンス担当
4/19(日)
7/26(日)
C&R グループビル2階大会議室 〒102-0083 東京都千代田区麹町二丁目10番9号
http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/special/career/jamep/


そうそうたる講師陣の末席に入れて頂きました.今からプレッシャーひしひし.「自分らしく」やるしかありません.

2009/02/20

    22 (Twenty-two)

22 (Twenty-two)というと何を思い浮かべるでしょうか.英語ではCatch Twenty-twoという表現があります.とりうるどの選択肢もあまり好ましくない,やりたくないという状況を指します.

由来はこちら.小説のタイトルです

そちらの22ではなく,22の時に最も死亡率が低いとされるBMIです.

何だかんだといいながら,ついにBMI=22を達成しました.瞬間最大風速で,また戻るかもしれませんが...

年明けてから始めた5年日記.何とか続いています.時々まとめて2-3日書きますが.そこで少しはき出すので,blogへのモチベーションが少し下がっているのかもしれません.ネタはいっぱいあるんですけど.

日本のacademic institutionでは今が最も重要な時期.大切な決断や待ったなしの決断が多く,ゆとりはありません.元気ですが..

2009/02/05

    会議本

今週末 今年度HANDSの最終回のAwayセッションがありますので準備に追われています。
毎年繰り返しのセッションがあるので、その度に昨年の資料を見返して、新たな情報を加えてupdateするのですが、いかに以前の資料は情報源の引用に関してまじめに考えていなかったかがよくわかります。記述の出典がわからずじまいのものは、結局使えないのです。

それから、来年以降どんどん作業量を減らしていくために、そのインフラを作りながらupdateをしています。その分時間はかかりますが、どこかでこの作業に時間を裂いておかないと、いつまでも毎年同じ負担がかかります(本来は第1回目にしておくのが理想)

関連して会議の進め方のセッションの参考にした資料のほんのリストを整備

こちら

会議は最もFD的な能力が総合的に試される場所です。

2009/01/27

    「持続可能な医療サービスと制度基盤に関する研究会」第2回会合議事要旨

「持続可能な医療サービスと制度基盤に関する研究会」
第2回会合議事要旨
(平成20年12月12日(金) 16:00~18:00)

表題の件の議事録
この中にIHNという言葉、また専門医にはジェネラリストを含むという主張が含まれています。

研究会メンバーはこちら

最近IHN(integrated healthcare network)という言葉があちこちで聞かれるようになってきました。北米では少し前からある言葉なのですが。

日本病院会雑誌 病院学 2006.4月号 pp. 22(490)ー42(510)
(この記事の中に、「人工過疎地」=「医療過疎地」ではない。医療ニーズの規模は単に人口規模によって決まる。医療過疎地の発生は医療提供側の努力不足。というスライド。またIHN創造は地方医療圏ほど優位。というスライドがあります)


日本版IHNの実現へ 経済学博士が講演
東総地域医療連携協 旭市
2006年09月02日12時10分


総合病院国保旭中央病院の経営形態等に関する検討委員会議次第

総合病院国保旭中央病院の経営形態等に関する報告書

私も最近その事で執筆させて頂いています。まだ著作権の問題でweb公開は出来ませんが。

このIHNという仕組みにおいて、質の高いプライマリケアを提供する人とインフラの確保は避けて通れません。
日本中の医療機関がジェネラリストを求めて探し回る頃には優秀なジェネラリストはそれぞれの活躍の場に落ち着いてしまっています。今から育てるか、コネを作るか。

2009/01/25

    初期研修医のexit interview

私たちのクリニックには,K総合病院の初期研修医が必修の地域医療枠として全員が,2週間研修に来ます.私たちの広い診療領域という特性を利用して,それぞれが,その将来像に合わせて,学習課題を見つけることが出来,こちらも驚くほどの発見や学びをして帰られます.

いつも2週間の最終日に学んだことを発表をしていただき,それと別に簡単な面談を私と持ちます.(exit interviewと呼びます)

年末年始,という不規則な時期のためあいにく4日間という変則的スケジュールでしたが,来てくださったT医師と年の瀬に,exit interviewを行いました.

そこで出た発言,

当院に来る前の12月の3週間はUC Davis (カリフォルニア大学Davis校)にリウマチ科を中心に見学に行っていたが,2-3日家庭医の外来をみせてもらった,その時にあまりに日本の自分がみた外来と違うことに驚いて,帰国後家庭医療を売りにして頑張っているクリニックではアメリカの家庭医療に対してどのぐらい遅れているか差があるか,比べてやろうと思っていた.

しかし,ここで行われている医療をみてみたら,全く同じ事が行われていた!!まったく遜色ないです.すごいです!


とのことでした.まあ多少ヨイショもあるのでしょうが.米国の家庭医療とここの診療をみて同じようなコメントをされる人はこのT先生が初めてではありません.

お昼の発表では言わなかったそうなので,「それをみんなの前で言ってあげて欲しいのに!」と言ってしまいましたが,嬉しい限りです.



にも書きましたが,

家庭医となるための研修において,施設を注意深く選ぶ必要はあるが,もはや優劣ではなく,特徴の差異のみである.


という状況でしょう.勿論改善すべき点はまだまだありますので,引き続き頑張っていきます.