Essays and Commentaries
Revolutionary Leadership and Family Medicine Education(pdf)
John W. Saultz
重要なpaperだと思うので,あえて別エントリーで.
何年か前から注目しているOHSUの教授,現在最も熱い北米家庭医療学のリーダーの一人といえるSaultzの論説.
それほど新しいことが書いているわけではないが適切な例やたとえを用いて良くまとめられています.
以下 翻案.
Thomas Kuhnの1962年のThe Structure of Scientific Revolutionという本を引き合いに話が進みます.
Kuhnによるパラダイムの定義は,以下の2つの特徴を含む確立された科学概念です.
1)対立する科学活動を信じている人たちを魅力的に引き寄せるだけのこれまでにない新しさをもっていること
2)科学者達が引き続きその領域で活動できるだけの十分な未開性を残していること
そしてそういった科学のパラダイムは既存のパラダイムを置き換えるような対立するパラダイムによってのみ置換され,それをscientific revolutionとkuhnは名付けた.
一方殆どの科学の発展はその理論や概念としての既存のパラダイムの中で積み重ねられた新しい根拠によって生じる.
scientific revolutionは滅多に起こらないが,その際はその変化に巻き込まれた分野は基本的な原理の根本的な変革がおきる.
現在の医学のパラダイムは1910年のflexnerに立ち返る.その基本原理のいくつかは(table1)
a)医学は,科学的方法論に乗っ取ったとき最も効果的である
b)深い知識と臨床的な専門性が卓越を定義する
c)専門分化はシステム改善の特徴である
d)医師は病気を治療する.よって病気の過程(disease process)についての知識が能力を定義する
e)疾患は毒物,感染,遺伝的な異常など明確な障害によって起きる.因果関係は一対一である
しかし1940年代にはそのパラダイムは既にその問題を見せ始め,1960年代後半から家庭医療はそれらの問題に立ち向かうために作られた.
それらの内の前記(table1)に対応する物として
a')医学の用いる科学的方法はより広義の物であるべき.従来の生理学や生物学に加え,社会科学,行動科学など.
b')卓越の定義には深い知識だけではなく広い知識とのバランスが必要である
c')過度の専門分化は費用増加を生み,アクセスを妨げる.generalismとspcializationはバランスがとれていなければならない
d')医師は,患者と,患者の住む地域を治療する.単に病気を治療するのではない.
e')疾患は環境要因や生活習慣の選択に大きな影響を受ける.因果関係は基本的に複雑である.
しかし家庭医療はこれまでの40年間は他の医師に受け入れられるためだけに従来のflexnerパラダイムの中にこれらを無理矢理適合させようとしてきた.もし我々の目標がアメリカの健康を改善することだけであればそういった妥協もやむを得ないかもしれないが,もし我々の目指すことが,新しいパラダイムの創出であるならば,妥協をしすぎたのではないか.
家庭医療は改善者なのか改革者なのか?
Kuhnはscientific revolutionが生じる時は非連続性で鋭利な変化であるとする.
例を挙げるとニュートン力学から,相対性と量子の物理学へ.つまり基礎にある科学の前提条件の再構成が存在する.
今アメリカの20世紀の医学かKuhnの定義するrevolutionによって,置換されつつあることを示唆する根拠がいくつもでてきている.それらを引っ張るのが我々ではないのか?
教育に関連して(table2)
1969-2007までの家庭医の教育の前提
1)家庭医には知識の深さではなく広さ(包括性)が必要
2)病院や他の医学領域から信頼されることは必要
3)研修環境は実際の診療現場に似せなければならない
4)地域の中での研修が最高の家庭医を生む
5)責任感・責任性は継続的な関係の中での医師として振る舞うことで学習される
6)経験=能力.質=ケアの過程がよい
現在の研修はこれらの前提が正しければ,今の形がよい.しかし,その前提が正しいとは誰が証明したのか?
この先何十年もこの前提は真実であり続けるのか?
Kuhnによると現在最も幅広く流通しているパラダイムが既に現状にそぐわない物であっても,実行可能で,信頼できる,別の理論が提示されるまでは置換されることはないという.
そういったパラダイムの形成は我々の仕事ではないのか?
Saultzの教育に関する提案(Table3)
現在実践されている家庭医療がdysfunctional(機能していない)ならば現在のモデルをマネした研修環境の整備は無意味である.
1')包括的な知識の広さ(深さではなく)が家庭医療のチームに必要.現代の非常に膨大な情報世界を生き抜くために洗練された情報テクノロジーが必要
2')病院や他の医学領域から信頼されることは重要であるが,それらの価値観を追うよりはこちらが引っ張る(lead)べき.
3')研修環境は実践の継続的な改善を生み出すべき
4')様々なことを実行する新しいやり方を研究したり,生み出したりすることを学ぶ活動に基づいたinnovation-based educationが最高の家庭医を生む.
5')責任感・責任性は継続的な関係の中での医師として振る舞うことで学習される.医師は単に疾患だけでなく,患者と集団(population)を治療する
6')卓越したアウトカム=能力(competence)と質
しかしこれらの提案も正しいかどうかは解らない.どうやったらそれで良いのかが解るのか.
何か新しいことをやったら必ずその効果を検証する.あくまでこれはスタート地点でしかない.
現在のシステム(パラダイム)が問題だとすれば,それを蘇生しようとするのは間違い.修理するのではなく入れ替えなければ.患者さんに現在のシステムがつかえるように手助けをするのではなく,現在のシステムの行き過ぎなところや不足しているところの弊害を受けないように守らなければならない.
scientific revolutionは計画された変化ではない.カオス的で,予想できず,二極的である.
そういった変革を乗り切るには適応性の非常に高いリーダーとチームが必要.(診療所,レジデンシー,大学の全てに置いて)
ここで2種類のリーダーが両方必要といっています.
家を建てる際の建築家(architect)と工務店(builder)にたとえて.
architect type builder type
創造的 統率のとれた
革新的 信頼できる
美的な 機能的な
理論的 実践的
リスクをとる リスクを管理する
未来志向 現在志向
概念的 具体的
う~ん,今までいわれてきたリーダーとマネージャーの役割分担ではないか.ここはお粗末.
これまでの家庭医療のリーダーはbuilder型が多すぎたとのこと.
両方のリーダー(まあ一人の中に両方のスタイルがバランス良く含まれていても良いのですが)を抱えたレジデンシーチームが以下の4つに注意して進めることが重要と
1)対象とする地域のニーズに真剣に対峙すること
2)対象とするレジデントをよく見て,評価すること.
3)実行する全てのことの結果をを測定し,記録し,分析すること
4)地域の家庭医のニーズをきちんと取り込むこと
(レジデンシープログラムは病院資本のことが多いが,病院のニーズはそれほど気にするな,と)
こんかいのSTFMのpleanryでも同様のことを協調していましたが,現場で何が上手くいって,何が上手くいかないのかを自分たち自身の改善のために調査(研究というと堅苦しくなるので)をし続けて,現場を良くしていく方法を内包した実践の場.その方法論の教育の重要性を強調していました.
Saultzさんホント強い人だナーと思います.
参考)
"We can't solve problems by using the same kind of thinking we used when we created them" -Albert Einstein 「私たちは,問題を作り出したときと同じ思考方法を使うことでは,その問題を解決することはできない」アルバート・アインシュタイン
週刊医学界新聞
研究以前のモンダイ
〔 その(14) 〕
アナロジーに基づく一般化
西條剛央 (日本学術振興会研究員)
第14回のみを挙げましたが,このシリーズは骨がありますが,一度考えておく必要があります.名郷先生が最近盛んにいう構成主義も同じラインです.
P.S.これからはいっそうリサーチも頑張ります.
2008/06/04
同じ土俵にあえて乗らないということ.Family Medicine 2008 April Vol.40, No.4 (STFM)
Family Medicine 2008 April Vol.40, No.4 (STFM)
Family Medicine 2008 April Vol.40, No.4 (STFM)
批判的吟味までは及んでいません.メモ的に.
重要度は便宜的に
5:全ての家庭医が読むべき
4:教育者,研究者は読むべき
3:時間があれば
2:暇ならどうぞ
1:特定の領域の先行文献として重要になり得る
としました.
Residency Education
Required Procedural Training in Family Medicine Residency: A Consensus Statement
Melissa Nothnagle, Julia M. Sicilia, Stuart Forman, Jeremy Fish, William Ellert, Roberta Gebhard, Barbara F. Kelly, John L. Pfenninger, Michael Tuggy, Wm. MacMillan Rodney, STFM Group on Hospital Medicine and Procedural Training
以前のエントリーで紹介
重要度:4
Clinical Research and Methods
Which Medical Interview Behaviors Are Associated With Patient Satisfaction?
Yousuke C. Takemura, Reiko Atsumi, Tsukasa Tsuda
これも以前のエントリーで紹介
重要度:3
Faculty Development
Toward Measuring the Domains of Mentoring
John Rogers, F. Marconi Monteiro, Amaury Nora
メンタリングという活動を定量化するために作られたチェックリストの妥当性検証の論文.(メンタリングされた側の経験として)割と良い評価表のようであるが,29項目.
但しこれを眺めることで,メンタリングの際にメンティー(本文ではprotegeと表現)がどの様な体験をすることを目指せばよいのかが参考になる.
重要度:4
Health Services Research
Preliminary Study of a School-based Program to Improve Hypertension Awareness in the Community
Anthony J. Viera, Joanne M. Garrett
小学校5年生のに対して血圧の説明や害,血圧の測り方を教えて,自動血圧計をもってかえらせ,親の血圧を測定し,親に血圧について学んだことを説明させる宿題を与える.
2ヶ月後,介入群の27.5%の親が血圧について,医療従事者にかかったかかかるつもりがあると応えたのに対し,非介入群は8.3%
直接話した相手から間接的にその家族に影響を与えようというのは家庭医らしい発想.
重要度:4-5
Training Family Physicians in Community Health Centers: A Health Workforce Solution
Carl G. Morris, Brian Johnson, Sara Kim, Frederick Chen
CHC (community health center)は米国において,政府の出資により,無保険者や,保険が不十分な人に対し,プライマリケアを提供するための全米チェーン(6000以上のサイト)
家庭医の研修の一環としてそのような施設で研修を行うことがあるが,最低1年間CHCにおいて継続外来を行ったレジデントとそうでないレジデント(non-CHC)を比較すると,研修や,現在の仕事の満足度,診療領域に差はなかったが,性別や,フルタイムかどうか,卒後年数などを調整してもCHCの方がnon-CHCの2.7倍underserved(医療資源の少ない地域)で働いている率が高かった.(64%vs37%)
検討の対象は1986-2002年の838名の卒業生.
であるから,underservedでの医療に携わる人を増やすには研修でそのようなサイトを利用すると良い.という提案.
要は僻地に医者が少ないなら,研修の段階で僻地で一定期間過ごすとその後もそのような場所で働く可能性が上がるということへ拡大解釈は出来る.
学生実習,初期研修の地域医療の1ヶ月,generalistの後期研修の一定期間,医師の少ない地域へ.
家庭医療学会のプログラム認定要件にもそれらしき項目は含まれている.
重要度:4
Essays and Commentaries
Revolutionary Leadership and Family Medicine Education
John W. Saultz
何年か前から注目しているOHSUの教授,現在最も熱い北米家庭医療学のリーダーの一人といえるSaultzの論説.
これは別エントリーで...
Letters to the Editor
Country-centered Family Medicine
Sunil Abraham
以前の出版に対しての手紙.米英がその産物を第三国に持ち込む手法(家庭医療も然り)に対して,paternalisticな医療ではなく,その患者の考えなどを踏まえて行うpatient-centered medicineが推奨されるように,家庭医療未開発国に対してその国の事情その他を加味してcountry centered Family Medicineをして下さいね.というインドのドクターからの手紙.一方的に先進国の手法や価値観をそのまま持ち込むのをわたしはimperialism(帝国主義)と呼んでいます.まだまだそういうやり方多いです.海外の人が親切心でそういうのはまだしも.日本人がそういうやり方をありがたがっていることも少なくないので要注意です.これをinternalization(内面化)と呼びます
重要度:3
President's Column
Assembling Patient-centered Medical Homes in Teaching Practices—One Strategy
John C. Rogers
現在のSTFMのpresidentのコラム.Patient-centered Medical Homesの構築の方法論を箇条書きで.これについても詳細が書きたいが割愛.
重要度:4
0 コメント 時刻: 4:57 ラベル: Family Medicine Journal
2008/06/03
ウェブを変える10の破壊的トレンド
表題と同タイトルの本を読み始めた.
最近本の読み方が少し変わってきている.
表紙,裏表紙,前書き,あとがき(これはとばす場合もある),と読んで,目次に割と時間をかけて全体の構成をつかむようにする.解らないキーワード,専門用語,気になる見出しがあれば,先ずそのページを読む.最近読んだlive hacks(最後に紹介)はそうやって気になるところばかり読んでいて気づいたら全部読み終わっていた.
それから,普通に読む.(割と速読だが.大体1-2時間x2回で読み終える.)
目次の大見出しだけ挙げておく.表題通りの10のキーワード.
Direct
Free
Crowdsourcing
Presence
Web-Oriented
Virtual and Real
Videos
Interface
Search
Semantic Technology
それぞれのキーワードに該当するwebの会社やサービスを思い浮かべられるだろうか.
今のところは,前のエントリー web 2.0を定義するもの (再掲)の延長程度の物が多いのでweb3.0とは呼べないが,web2.2か2.3ぐらいにあるような印象.それでも追いかけていると今後の方向性が見えてくる.2.0も後付で呼ばれるようになったので,社会の中での位置づけや効果がはっきりしてからweb3.0の定義がなされるのだろうと思う.
僕が目指すシステムが目指す特徴も上記の10のうち,
Direct
Free
Crowdsourcing
Web-Oriented
Interface
Search
Semantic Technology
これらについては十分に重視して勧めていきたいと考えています.
New England Journal of MedicineなどはHPでビデオの公開も進めています.
web 2.0を定義するもの (再掲)
以前のブログ2007年1月のエントリをそのまま再掲.
言葉としては,使い古された感はでてきたが,
今見てもキーワードの中の,
“An attitude, not a technology”
Trust your users
The perpetual beta
Play
辺りは,しっくりくる.
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以下再掲
web 2.0を定義するもの
様々な定義、特徴があると思われるが、Tim O'Reilly が2005年秋に定義したものから代表的なものを上げると以下の通り
7つの特徴
Tagging, NO taxonomy タグづけのみ、分類をしない 例:Flickr,del.icio.us
Rich user experiences デスクトップアプリケーションの感覚(実際ソフトは「向こう側」にあるのだが) 例:gmail、 google map
User as contributor 利用者による貢献 例:amazonやyahooのカスタマーレビュー
Customer self-service enabling the long tail 利用者自身によるセルフサービスにてロングテイルを実現 例:Google AdSense等のアフィリエイト
participation, not publishing 出版でなく参加 例:ブログ (コメントやトラックバックも含め)
radical trust 過激な/徹底的な信用/信頼 例:wikipedia
radical decentralization 過激な/徹底的な非集約化 例:BitTorrent
コアとなる概念
Strategic positioning 戦略的位置づけ
:The Web as platform 足場/出発点としてのweb
User positioning 利用者の位置づけ
: You control your own data 自分のデータは自分でコントロールする
Core competencies コアコンピテンス
: Services, not packaged software パッケージ化されたアプリケーションではなくサービスの提供
:Architecture of participation 参加を促す構造
:Cost-effective scalability 比較的安価に規模を大きくすることが出来る
:Remixable data source and data transformations 再編集可能なデータとデータの変形
:Software above the level of a single device 複数の機械、機器にまたがるアプリケーション(LANやWeb上に存在して複数のPCで利用可能なアプリケーション)
:Harnessing collective intelligence 知識の集積を利用、促進
キーワード
“An attitude, not a technology” :「テクノロジーではなく価値観/生き方」
Data as the “Intel Inside” :データが級数的に増えることが第一原則(コンピュータ的な進化をするデータ)
Trust your users:利用者への信頼
The perpetual beta :終わることのないβ版
Play:遊び
The long tail:ロングテール
Granular addressability of content: 内容が利用可能かはかなりまだら
Small pieces loosely joined (web as components):小さな部品が緩やかにつながっている(部品としてのweb)
Hackability :改変可能性
The Right to remix “Some rights reserved”:再編集可能「権利は一部残されている」
Emergent: User behaviour not predetermined:自然発生的/新規発生的ー利用者の行動、使い方は前もって規程/固定されていない
Software that gets better the more people use it :どんどん改善されるアプリケーションほど、多くの人が利用する
Rich user experience:豊かな使用経験(前記参照)
Mash up: (特にAPIが公開された)ウェブサービス同士を (できることならば)開発者ですら思いもよらない方法で組み合わせて、新たな価値を創造すること。 (「はてな」より。wikipedia)
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いろいろ調べ始めてきりがなくなってきたが、2005年の10月ごろにこの発表があったにも関わらず今ごろ気づいてびっくりしている自分はlate majorityなのかも知れない。
一番のキーワードはData as the “Intel Inside” の様だが、一番翻訳が難しい。
さらに編集中
出典、参考
http://www.armapartners.com/files/admin/uploads/W17_F_1873_8699.pdf (p9の図)
http://www.aseantic.com/public/news/eventsfairs/fruehjahrsevent2006/aseantic_atlas_1.0.pdf (3~6枚目のスライド)
http://mojix.org/2005/10/01/183828 (日本語)
http://zerobase.jp/blog/entry-379.html (日本語)
http://d.hatena.ne.jp/wa-ren/20060417/p1 (日本語)
http://blog.japan.cnet.com/kenn/archives/002402.html (日本語)
http://fladdict.net/blog/2006/04/web2020.html (日本語 web2.0について懐疑的な意見)
2008/06/02
日本家庭医療学会 学会賞 受賞!
表題通りです.
週末に行われた 日本家庭医療学会第23回学術集会で発表した学会賞候補演題の一つに結構なウエィトで関わっていたのですが,その発表が見事第3回の学会賞を獲得することが出来ました.
G-04 麦谷 歩 医学生は家庭医療コース参加の結果、どのように変わるのか?
勿論,4件中の1つと倍率はそれほどでもなかったですし,授賞式の講評でもこのままではpeer reviewの雑誌でのacceptは難しいというコメントもいただきましたが,構造的に最もリサーチとしてしっかりしていたということが受賞の理由だったようです.
研究のデータ取得に使われたアンケートは私が作成していました.共同研究者の一人(Y.M女史)が「今度の家庭医療学会何か発表したいんだけど」といったことに,「ネタならあるよ.データも取ってあるし,後まとめるだけ(そこが自分は一番苦手なので)」といって,このアイデアを提供しました.抄録の応募の原稿の時点で「折角だから学会賞ねらったら?」と言ったら,「そうですね,折角ですから.その方が注目も得られるでしょうし」とすんなり.ところが諸事情によりその当人が当日発表できないとのことが判明(応募の時点でそのことは知ってた節があるのですが),発表者が今回の麦谷女史に.何度かリアルとバーチャルな会議を重ねて,やっぱり僕は前の日までスライドの最後の手入れと当日の朝まで読み原稿の手入れ.
当日は麦谷女史と発表の打ち合わせをして無事終了.
自分の子どもの発表会のような気持ちで大変緊張しながら授賞式まで過ごしました.
様々な偶然も積み重なってのことだと思うが,ルイ・パスツールの言葉である,「Chance Favors the prepared mind」や「人事を尽くして天命を待つ」の様に,やるべき事を全部やったのでダメでも悔いはなかったにせよ,久しぶりに大変嬉しい出来事でした.
医療は基本的に他者との勝負ではないので,その他の業種のように入札で選定されたり,projectのコンペで勝ったり,自分の案が採用されたりということが余り無いので,本当にこういう機会はたまには良いものです.勿論研究も勝ち負けではないのですが,何らかの評価が得られる,ということが,やはり次のやる気に繋がることを改めて認識しました.(自分が他者にどれだけ好意的な評価を与えているだろうか...)
スライドは近日中に公開できるよう考えています.
この週末は教え子の結婚式もあり,その披露パーティーの抽選でとんでもない賞品に当たったりと,最近の運を全部使ってしまったのではないか,と心配になるような良い週末でした.
6/16/2008
スライドupしました.
学会賞受賞演題スライド,読み原稿,審査基準
9/15/2009
報告原稿が公開されています。
学術集会報告(第3回学会賞受賞演題)
麦谷 歩,武者 幸樹子,喜瀬 守人,亀谷 学,岡田 唯男. 学術集会報告(第3回学会賞受賞演題)医学生は家庭医療コースの結果どのように変わるのか? 家庭医療 2008. vol.14 (2) pp26-27
http://jafm.org/journal/pdf/vol14no2/14_2_26.pdf