午前中は透析当番とプリセプター兼任.
月曜日が祝日なのを甘く見ていた.外来がすごい状況.
先週診た妊娠反応陽性の女性,スクリーニングのクラミジアが陽性のため,昨日電話をして来て頂いた.パートナーの治療の必要性も説明,前回胎嚢も見えなかったが,今回は胎嚢が見える.心拍は未だ.
透析の回診が終わると外来へヘルプ.何人診ただろうか...
昼前には約束していたZ社のM氏が松戸から来られる.家庭医療に絡めてクリニックの展開を都心でしたいとのことで,以前よりやりとりをしている.某大学との寄付口座のプロジェクトについてアドバイス.近くのおいしいおそば屋さんにて.午後戻ってクリニックを案内.少し新しいアイデアが得られたようである.
午後もひたすら診療.風邪が大半だけれど時に少し知的挑戦のある決断を必要とするケース.
集団生活の施設の50代男性数時間前に39℃の発熱.インフルエンザはその施設では1例だけ(A型).その入居者とは余り接触はないとのこと.急性胃腸炎が流行.地域ではもちろんインフルエンザがそれなりに流行っている.予防接種は済み.パーキンソニズムに対してずっとシンメトレルを飲んでいる.4月には肺炎で入院の既往も.
本日の胸部レントゲンはきれい.全身状態は良好
インフルエンザはあり得るが,
問題点
1)今検査しても偽陰性が起こりうる
2)A型インフルエンザであればシンメトレルが予防薬として,もしくは治療薬として既に働いているのではないか.逆に,耐性の可能性も
3)何らかの疾患を持つ人たちの施設入居者のため,感染流行防止の視点も.
選択肢
1)インフルエンザの検査をする.でればよいが,でなければどうするか.
2)検査せずに抗インフルエンザ薬を出す.
3)明日再度来てもらいそこで検査をする,と言いたいが,マーフィーの法則により明日は日曜日.
皆さんに厳密な回答をして欲しいのではない.その為にはもっと情報が必要なはずだろうし.(内服薬や既往歴,基礎疾患など)
確かに日々の診療は簡単なルーチンが多いが,その中に,多くの疑問や,リサーチの種が転がっている.
上記の例で,最もcost-effectiveな選択肢は何か,という決断分析等はとっても知的興奮を呼ぶ研究テーマだ.
今日診た患者さんの中では
先天性喉頭軟化症の1歳9ヶ月の子供.喘鳴,呼吸音は清.generalistとしてどう対応するか.
粘膜性軟口蓋裂の4歳の子供胸鎖乳突筋の上の3cmぐらいの腫瘤.(耳下腺,顎下腺よりは低い位置).リンパ節らしくはない.生まれたときにそれ以外の奇形は指摘されていないというが,頸部遺残膿疱の可能性は?
問題なのはこれほどまでに臨床の現場に疑問,研究の種は落ちているのに,十分に拾いきれずに流れていってしまうこと.そして,研究をする学府には,特にプライマリケアに関してはそのフィールドがないこと.
お互いがうまく組み合えれば非常によい関係がくめると思うのだが...
そして毎日何十例と診る風邪の患者さんもそれぞれの患者さんにとっては年に2,3回の大きなイベント.そのときに医療機関を受診する体験は彼らの人生経験の中で,「医療機関とは」「医師とは」などを定義する重要な体験となる.
ディズニーランドでは「スタッフにとっては毎日の,ルーチンかもしれないが,そのゲストにとっては1年間一生懸命お金を貯めて,楽しみにしてやってきた貴重な1日かもしれない」と教えるそうな.
- 社会人として大切なことはみんなディズニーランドで教わった―そうか、「働くこと」「教えること」「本当のサービス」ってこういうことなんだ! (KOU BUSINESS)
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この視点のギャップと相手の立場に立って仕事が出来る想像力をいかに毎日維持できるか.医学知識,能力も大事だが,患者さんが医者を評価するのは結構こういうところだったりする.もちろん他者に評価されるためにやるのではないが.でも医療はサービスではないか!
「その人にとっては大切なたった1回の経験」
one pair of hands, one pair of eyesというキーワードから次のエントリーに.
水,木,金と振り返りが出来ず非常にストレスになってしまった.良いサイクルの兆しか?