2007/09/07

    読書

気がついたら 10冊前後平行で読んでいる。
現在読んでいる本はここ
全部読み切るわけではない。面白ければ全部読み切れるし,そうでなければ気がついたら途中のままどこかに埋もれてしまう。
質的研究を勉強して本当に良かったと思う。数字で表される情報以外の全てについて,大量の情報から,いかに重要事項を抽出するか,真実を読み解くか,というのが質的研究であるから(おおざっぱな言い方をすると),タイ呂運補運を読むことで,何となく重要なことは頭に残るようになってくる。逆に残らなければそれほど,その時期の自分にとっては重要なことではないのだろうと考えるようにしている。大量に本は購入するが(それでも最近は気にして中古を買うようになった),それは自分への投資と考えている。効率よく,必要な本だけ買えればよいのだが,読むまで分からないことも多いし,投資とは100%リターンが得られるとは限らない。



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感想などはSocial tunesにて

2007/09/04

    現在の医療倫理教育の足りないところ

academic medicineより抜粋.
Viewpoint: Why the Clinical Ethics We Teach Fails Patients.
Autumn Fiester, PhD
July 2007, Volume 82, Issue 7
Abstract

研究論文ではなく,総説,論評に当たるもの
医療倫理の専門家による.

医療倫理の古典と呼ばれるBeauchamp&Childressの教科書(私も勉強しました)にあげられる4原則,
autonomy(自己決定権),beneficence(患者利益),nonmaleficence(患者に害を与えない),justice(公平性,公益性)に基づいた倫理教育を行うことで,医療が望ましくない方向に行っているという主張.
(これをprinciplist paradigmと著者は呼んでいる)

この原則論のみをジレンマの際の医師の行動規範とすることで,そのほかの重要な倫理的責務が見逃される.
それは
1)遺憾の念を表す義務 obligation to express regret
2)謝る義務  obligation to apologize
3)修正をする義務 obligation to make amends
4)患者の信頼と自信を確保する義務 obiligation to secure patient's trust and confidence

つまり
1)は誰かが苦しんでいるときに,その苦しみを共感し,認識する義務
2)は間違ったときに人としてはどうすべきか
3)4)は人が誰かに何かを約束し,それが達成されなかったとき

これらを症例を通じて,principlist paradigmからみると十分に対応したと思われる場合も,見逃された医師として(人として)の義務が存在することを主張し,医学教育,医療倫理教育において,principlist paradigm以外の倫理的責務についても考慮した教育をしなければ医療は危ういとしている.

最後に自問自答として,これらの責務は倫理のレベルではなく,単なるコミュニケーションではないかという反論に対し,コミュニケーションがまずいと患者に害が及ぶという視点で,それは倫理の一部であり,倫理の部分とは関係ないと分けるのは誤りであるとしている.


コメント:
1)-4)の責務は確かに当たり前と言えばそうだが,教える側が当然と思っていても教わる側はそうでないこともしばしばある.何か上手くいかないときに,これらの責務について考えることで,上手く解決できることも多いのではないか.

気になったのが,本文中obligationを3つと言ったり4つと言ったりしていたこと.(最後までいくつなのか明確にできなかった)


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2007/09/03

    家庭医療の特徴や定義についての研究2編

家庭医療の特徴や定義についての研究2編が時期をほぼ同じくして発表になったので簡単にまとめ。どちらも2004年に行われた研究 (FFM:future of family medicineの報告は2003年に出版)

1つめ

Annals of Family Medicine 5:336-344 (2007)
Operational Definitions of Attributes of Primary Health Care: Consensus Among Canadian Experts
Jeannie Haggerty, PhD et al
http://www.annfammed.org/cgi/content/full/5/4/336

カナダのcontextでプライマリヘルスケアの特徴を再定義するために,20人のエキスパートがdelphi法を用いてconsensusをつくる。 4巡の過程を経た。

結果 全部で25の特徴を
カテゴリーとしては
1.診療形態の特徴 (6)
2.構造の特徴 (4)
3.人間指向性(疾患指向性に対して)(7)
4.地域指向性 (4)
5. システムの質 (3)
の5つに分けています(全部で24しかないのですが。。。。)
それらについて,

プライマリ・ケアに特有かどうか
その項目の評価はどの情報源から得るのがよいか
どの程度コンセンサスが得られたか
早い時期に出た項目はどれで,後から出てきたのはどれか
という視点で分類されています。

table 1,2が良くまとまっています
http://www.annfammed.org/cgi/content-nw/full/5/4/336/T1
http://www.annfammed.org/cgi/content-nw/full/5/4/336/T2

コメント一つだけ。
25のうち
プライマリ・ケアに特有とされたのは5つだけ
first contact
continuity(relational)
family centered care
intersectoral team
population orientation


2つめ
Defining the Concept of Primary Care in South Korea Using a Delphi Method
Jae Ho Lee et al
Family Medicine Volume 39 Issue 6
June 2007
http://www.stfm.org/fmhub/fm2007/June/Jae425.pdf

同様にdelphi法
16人のプライマリ・ケア政策研究者,45人の利権関連者,16人のプライマリ・ケア医
3巡 point制によるランキング

結果
4つのコア
first contact
comprehensiveness
coordination
longitudinality

3つの付随的特徴
personalized care
family and community context
community base

コメント
韓国にも追い抜かれた?!

2編を通じて
扱う対象の定義が出来ないと研究も出来ない,評価も出来ない
合意に達するかどうかは別としてまず定義をしてそれに基づいて動き始める,少し動いたらそれに対して氷化,降り帰りをする。その結果で調整をする。

参考
delphi法 質的研究の一つのやり方。完全なコンセンサスを得るための方法
http://en.wikipedia.org/wiki/Delphi_method
日本語ではいいものがありませんでした


追加:デルファイ法についての詳細な記述upしました(2008/6/17)
デルファイ法(未来予測,合意形成,質的研究)