以前予告したとおり,表題のタイトルで執筆した原稿が発表になりました.
Integrated Healthcare Networkにおける家庭医療クリニックの貢献とこれからの課題
【家庭医療クリニックと病院の連携例:亀田ファミリークリニック館山】
病院 特集「病院と家庭医療」 Vol. 67 No.10 2008 October pp.897-901
まだ日本ではそれほど知られていませんが IHN(Integrated Healthcare Network),という概念があります.
そもそも徹底的に縦割りにされた(Fragemented care)米国の医療システムでそれをなくすための仕組みとして出てきたものですから,割とシームレスに医療が提供されている日本では敢えて取り立てて生江をつける概念ではないかも知れません.が日本でも縦割りの診療,医療,福祉などの連携がまずいばかりに肝心な患者さんが迷惑を被っている例も多々ありますから,日本でもIHN,ということを意図した医療の仕組みづくりしてもよいかなと思います.
そのためにプライマリケア部門は抜きにして語れない.高度専門医療を目指す,それをウリにしたい医療機関ほど,プライマリケア部門の充実が必要なことは,逆説的ではありますが,generalistとspecialistとの協働について理解のある人であるほど,自明なことだと思います.
上記雑誌の巻頭言より.
勤務医は疲弊している.そして,勤務医のほとんどが専門医である.複数の症状を持つ1人の患者は,複数の専門科を受診する.この時から病院を来院した1人の患者は,のべ数人の患者になるのである.そして,各専門医は多くののべ患者の診察で疲弊するのである.
この視点は非常に大事である.複数の問題を抱える患者であっても1人は1人として診療する.家庭医は1回の診療で平均3-4個の問題を扱う.だから病院の中にgeneralistがいるだけでも,延べ外来患者数は3-4分の1になる可能性を秘めている.その分病院の収入が減ってしまうところが大きな問題.米国はそのvisitのcomplexity(複雑度)によって,初診料も再診料も数段階に分けられている.
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