2009/04/10

    SPYSEE(スパイシー): セマンティックウェブ技術

何の事やらよく分からないことと思います.

SPYSEE(スパイシー)とはから

スパイシーの核となるのは、ウェブ上に存在する大量の情報の意味を理解し、必要なものを選び出し、編集して知識として提供するセマンティックウェブ技術です。セマンティックウェブ技術は、次世代検索エンジンを実現するための核となる技術として、世界各国で研究開発・実用化が進められています。オーマ株式会社では、日本発の次世代検索エンジンを目指して、国内でいち早くこの技術に取り組んでおります。


 なお、スパイシーは、ウェブ上で公開された情報を収集・整理して表示するものであり、非公開の情報を見つけ出すものではありません。セマンティックウェブ技術のひとつの応用例として、ひとに関する情報を整理して表示するものであり、ご本人の意図に反して情報を収集し公開するものではありません。


用は検索で引っかかってくる多くの結果のそれぞれのつながりを持たせ意味づけする技術.またそれを利用して,わかりやすく表示させるサービス.

あの人検索spysee(スパイシー)

当然同姓同名の区別がつかなかったり,その人の名前が含まれる記事に載っている写真をその人と勘違いしたりということが生じますが(そこはご愛敬),それにこまめにフィードバックをかけることでその精度が上がります.

私のはここ
関連のない写真だけ,「違うよ」というフィードバックはかけましたが,それ以外はほぼサイトが用意した結果そのまま.かなりいい線いっています.

一文字違いのアイドルが良くからんで来ますが..

またあくまで既にネット上に存在する情報だけを元に作成していますので,実際の人間関係を反映するわけではありませんが,結構これも驚かされます.

HANDSの修了生もここに1人

人間がこまめにフィードバックを挙げる事でそのサービスの精度を上げる仕組みは既に大国採用されており(いわゆる学習するシステム),appleはその先駆者として代表でしょう.

iTunes 8が新たな音楽の出会いをもたらす

Apple、「iTunes 8」リリース
自分だけのDJ「Genius」機能を新たに搭載


iphotoの新機能:「人々」機能
この顔認識機能は秀逸です.説明ではイメージしにくいかもしれませんが,使うと手放せなくなります.

spysee同様のセマンティックウェブ技術は学術研究者に特化した物がずいぶん前から運用されていますが,こちらは精度もGUIもう一つです.

Authoratory™
ただこのおかげで同姓同名(漢字だけが違う)の小児外科系の先生がいることが判明.

彼と間違われないように頑張らなければ,と認識する良い機会でした.

ともあれ,この様にテクノロジーが我々の生活を楽にしてくれることは何よりです.

2009/04/09

    タバコの害を動画でアピール -「タバコは健康を損なう:動画CMコンテスト」NPO法人 日本禁煙学会


タバコの害を動画でアピール -「タバコは健康を損なう:動画CMコンテスト」by マイコミジャーナル2009/04/06

NPO法人 日本禁煙学会は禁煙推進の動画CMを募集する「タバコは健康を損なう:動画CMコンテスト」(※協賛 NPO法人 子どもに無煙環境を推進協議会)を行う。作品募集期間は2009年8月9日まで。
ぜひ映像作品の腕に覚えのある方はどうぞ.

「タバコは健康を損なう:動画CMコンテスト」 募集要項


* NPO法人 日本禁煙学会
* NPO法人 子どもに無煙環境を推進協議会

NPO法人 日本禁煙学会では2006年から様々なコンテストを実施,
2007年の
「タバコパッケージの健康警告デザイン」コンテストでは秀逸なデザインが.
2008年の「タバコ:あの人にもっと生きてほしかった」エッセーコンテストからは心動かされる生々しいストーリーが多く見られます.
医師の行う禁煙教室の教材としては良い素材と思います.

それぞれ引用を明確にすれば,使用された作者の方々も喜ばれるのではないかと思います.(勿論許可は直接撮とった方がよいと思います)

その他の禁煙教室の用の素材はこのブックマークから
>家庭医療コアトピックス>たばこ
で.

2009/04/08

    E=MC3 (教育のレシピ)

E=MC3(3は右上にべき乗として)

MC2の間違いではないE=MC2はご存じの通りアインシュタインのエネルギーは質量と光速の2乗に比例する,というやつ.

E=MC3はこちら

教育(E)の成功はMと3つのCによる.
M: Motivation(動機づけ)
C: Communication(コミュニケーション)
C: Collaboration(共働)
C: Curriculum (カリキュラム)

何ともすばらしい公式ではないか.
指導医が含まれていないところがミソ

P.S.同様の取り組みは以下のnew mathで.
新ジャンル?!くすっと笑える数式のアート『NEW MATH』by 百式

サイト確認のためにチェックしたら最初に出てきたのが
April= March + Optimism
でした.そういえば誕生日.そしてアラフォー..orz

2009/04/07

    日本医師会 生涯教育カリキュラム2009出ました

表題の文書が発表になっています.発行はH21年3月付けです.


日本医師会生涯教育on-line


の一番上から

日本医師会 生涯教育カリキュラム2009

全文が見られます.

そもそもこれは,厚生労働省が医師の自浄作用のなさにしびれを切らして,意図的に掲げた「総合医」構想

受診、最初は「総合科」 専門医に橋渡し (2007年4月30日 読売新聞)

に対抗する形で(見事に厚労省の思惑通りのせられた形で,というのが私の解釈です),「国に言われなくても自分たちで開業医の総合力は保証していきますから」というアピールをするために日本医師会のなかで第IV次および第V次生涯教育推進委員会か作成したものです(というあくまで私の解釈)

そのために組織された3学会ワーキンググループには日本プライマリケア学会から前沢,津田,藤沼,日本家庭医療学会からは山田,竹村,日本総合診療医学会からは小泉,尾藤,大滝(全て敬称略で失礼しました)が参加.オブザーバーとして日本老年医学会,日本臨床内科医会,日本小児科医会,日本専門医制評価・認定機構が参加して作成されました.任せていれば大丈夫.という面々が参加していました.

内容,構成的にも総論,各論共にしっかりしており,
症候別の具体的対応の中に,視力障害,目の充血,外傷,関節痛,排尿障害,精神か領域の救急,不安,うつ,流・早産及び満期産,成長・発達の障害など,内科医としてのトレーニングだけでは対応できない項目が挙げられています.

流・早産及び満期産の項には,妊産婦に起こる一般的健康問題に対処できる
成長・発達の障害の項には,月齢相当の身体的発育や神経学的発達,行動統制力の発達について把握し,必要に応じて専門医へ紹介できる

と書いてあります.

また
頻度の高い慢性疾患の管理には
脳血管障害後遺症が含まれるあたりも憎いです.

何よりもその前の大項目としては

I. 医療専門職としての使命 ………………………………
   1. 専門職としての使命感 2. 継続的な学習と臨床能力の保持
   3. 公平・公正な医療
II. 全人的視点 ………………………………………………
   1. 医療倫理 2. 医師-患者関係とコミュニケーション
   3. 心理社会的アプローチ
III. 医療の制度と管理 ……………………………………
   1. 医療制度と法律 2. 医療の質と安全 
   3. 医療情報 4. チーム医療
IV. 予防・保健 ………………………………………………
   1. 予防活動 2. 保健活動
V. 地域医療・福祉 …………………………………………
   1. 地域医療 2. 医療と福祉の連携
VI. 臨床問題への対応 ………………………………………
   1. 臨床問題解決のプロセス 2. 症候別の臨床問題への対応
VII. 継続的なケア ……………………………………………
   1. 慢性疾患・複合疾患の管理 2. 在宅医療 3. 終末期のケア
   4. 生活習慣 5. 相補・代替医療(漢方医療を含む)


と非常に優秀な家庭医,総合医になるのに必要な項目が掲げてあります.書かれている目標を全部達成するには実のところうちのプログラムでも無理です.

さらにその前の一般目標として

頻度の高い疾病と傷害、それらの予防、
保健と福祉など、健康にかかわる幅
広い問題について、わが国の医療体
制の中で、適切な初期対応と必要に
応じた継続医療を全人的視点から提
供できる医師としての態度、知識、技
術を身につける。


素敵です!

最初のカリキュラムの利用に際してというところには,

原案について,47都道府県医師会,日本医学会加盟105学会等に意見を求め,それを反映させた上で作成されたものである.


また,

都道府県,群市医師会の講習会,日本医師会での講習会,e-learningでもこれとリンクさせて,ということが書いてあります.


さて,問題は,きちんとこれにリンクさせた医師会の生涯学習とその評価が行われるか,ということ.

assessment drives curriculum


という言葉の裏返しは「評価なきカリキュラムは進まない」ということですから,努力目標では変化は非常に遅々たるものしか期待できません.参考(原典には諸説あり)

医師会を馬鹿にしたり,揶揄するつもりはまったくありません.
むしろ医師会の様々な活動は米国家庭医療学会の活動と非常に近似しており,好感を持っているぐらいです.(たった1つの立場を除いて)

是非医師会員の全てがこの様な目標を達成できるような生涯学習の実施をお願いしたいと思います.

2009/04/06

    一人でできる学び(最後はやっぱり個人)

家庭医になるべくして渡米したのはもう二昔も前のことになってしまったが,当時は「日本では家庭医になれる環境がないから」という単純な理由でした.(今考えれば,当時でも日本で家庭医になれる環境はあったのですが,情報が不十分で自分にはたどり着けませんでした.)

そのような日本の状況と,米国のレジデンシーの状況(既にProgram Requirementやら,評価やら,カリキュラムやら,しっかりと整備されていました)を比べて,当時の私は「渡米してレジデンシーに入りさえすれば家庭医になれる」という大きな勘違いをしていました.

なぜそれが勘違いだと気づいたか.

1.レジデントの最終学年半ばになって,クラスメイトと経験したコルポスコピーの数の話になったときに,あまりの差に愕然とした.「何でそんなに出来たの?」と聞くといろいろと腑に落ちる理由を説明してくれましたが,(詳細は省略)1つは本人がどのように研修をとらえていたかに大きな差があった.(乗っかっていれば何とかなる vs 自分の研修は自分で確保する)

2.そのまま,同じプログラムに指導医のタマゴとして残ったわけですが,後輩達の成長を見る中で,3年間の修了時期になっても,個人的には「家庭医とは言えないよな~というような人が時々見られる」勿論,様々な理由で研修を終了できずにドロップアウトするひともいる.

3.日本人としてアメリカで臨床研修をした人たち(家庭医療に限らず)の中に,どう考えてもお友達になれないな~というタイプの人種がいる.

4.日本でしか研修をしたことのない人たちの中に多くの「ああこの人はすばららしい家庭医だな~」と思える人たちが沢山いる

確かに指導医や研修環境が整っていることで70-80%しか良い医師になれないところを90%ぐらいには出来るかもしれませんが,逆に言うと整っていないところでも70-80%はちゃんと育つのです.ですからその環境の差が意味を持つのは環境の無いところではうまく伸びることが出来ないが,環境が整備されると伸びることの出来る10-20%(この数値は任意なので,勿論この差が80%ぐらいある場合もあるでしょうが)の人たちに過ぎません.

同様に,左記の例にあるように,同じ環境でも当然結果の差は出るわけでその差は個人に帰結する訳です.

ということで,良い環境にいても,そうでない環境にいてもより多くのことを学ぶために,学び方を学ぶ,工夫する必要があるわけです.

1人で出来る学びにも6種類ほどあるようですが,そのうちの比較的簡単に取り組める3つについてまとめています.

うちの研修医の中にも,見学に来る人たちの中にも,懸命にメモを取る人たちがいます.長期的にどのような差になるか.(メモ=>より良くなるという保証はないですが,そんな風に思えます)

今年の家庭医療学会による第21回 医学生・研修医のための家庭医療学夏期セミナーでは,自分自身の努力と工夫でどこまで学びを最大化できるか,そんなサムライのようなストイックな学び方について考えるセッションを予定しています.


一人でできる学び



「学び」で組織は成長する (光文社新書)
吉田 新一郎
光文社 ( 2006-01-17 )
ISBN: 9784334033392
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2009/04/05

    ボス・マネジメント! 上司の7つの役割

2月に読んで頂いたWSでHANDSの修了生と共にfollowership,ボスマネジメントという概念を取り上げました.
リーダーではなく,リーダーをサポートする側としてどのように考えるか,どうすればうまくいくかということに焦点を当てました.

第4回 若手家庭医のための家庭医療学冬期セミナー 2/ 14-15/09
東京大学
「リーダーシップとフォロワーシップ~リーダーにない立場から、如何にチーム/組織に影響力を与えるか~」
菅野 哲也 ・ 千葉 大 氏と
http://jafm.org/winter/index.html
http://jafm.org/wakate/touki04/index.html


引用元になった本から簡単なまとめを作ったので公開しておきます.

上司に「仕事させる」技術—そうか!ボス・マネジメント! 上司の7つの役割





なぜうまくリーダーを手名付ける必要があるかは言うまでもないとは思いますが,自らの健康にも関係しているのです(これも想像に難くないと思いますが)

Anna Nyberg et al . Managerial leadership and ischaemic heart disease among employees: the Swedish WOLF study. Occup Environ Med. Published Online First: 27 November 2008

abstract

full text (pdf)


ABSTRACT
Objective: To investigate the association between
managerial leadership and ischaemic heart disease (IHD)
among employees.
Methods: Data on 3122 Swedish male employees were
drawn from a prospective cohort study (WOLF). Baseline
screening was carried out in 1992–1995. Managerial
leadership behaviours (consideration for individual
employees, provision of clarity in goals and role
expectations, supplying information and feedback, ability
to carry out changes at work successfully, and promotion
of employee participation and control) were rated by
subordinates. Records of employee hospital admissions
with a diagnosis of acute myocardial infarction or unstable
angina and deaths from IHD or cardiac arrest to the end of
2003 were used to ascertain IHD. Cox proportionalhazards
analyses were used to calculate hazard ratios for
incident IHD per 1 standard deviation increase in
standardised leadership score.
Results: 74 incident IHD events occurred during the
mean follow-up period of 9.7 years. Higher leadership
score was associated with lower IHD risk. The inverse
association was stronger the longer the participant had
worked in the same workplace (age-adjusted hazard ratio
0.76 (95% CI 0.61 to 0.96) for employment for 1 year,
0.77 (0.61 to 0.97) for 2 years, 0.69 (0.54 to 0.88) for
3 years, and 0.61 (0.47 to 0.80) for 4 years); this
association was robust to adjustments for education,
social class, income, supervisory status, perceived
physical load at work, smoking, physical exercise, BMI,
blood pressure, lipids, fibrinogen and diabetes. The dose–
response association between perceived leadership
behaviours and IHD was also evident in subsidiary
analyses with only acute myocardial infarction and cardiac
death as the outcome.
Conclusion: If the observed associations were causal
then workplace interventions should focus on concrete
managerial behaviours in order to prevent IHD in
employees.