2008/11/04

    第4回日本プライマリ・ケア学会秋季実践セミナー

表題のセミナーに講師として参加.

何と3時間のワークショップを2つも依頼されておりました.6時間です.あんまりプレッシャーではなくなったのは,麻痺したからか,慣れたからか.とびとびにしても計9日間のコースデザインと実施をしたり,16時間のコースをデザインしたりという経験,果ては後期研修医を育てる3年間のコースデザインももう5年以上やっているわけですから.
教育をやっている人は,よく分かっていることですが,実は与えられた時間が短いほうが,準備する方は大変なのです.

与えられた時間が短いほど準備には時間をかけよ.


は岡田の教育ルールの一つ.

まあ,1人でやらなくなったから,任せられる人がたくさんいるからそれほどプレッシャーでないという部分が大きいのでしょう.

第4回日本プライマリ・ケア学会秋季実践セミナー
東京都医師会館


講師名は敬称略

11月2日(日) 
ワークショップ8 「診療の質向上」 講師:岡田唯男、田頭弘子
11月3日(月・祝)
ワークショップ12 「産婦人科診療」 講師:岡田唯男、鈴木真

この数年間の自分のテーマはコラボレーション.1+1をどうやったら3や10に出来るか,ということ.
相手には迷惑をかけるけれど意図的に他分野も含め,いろいろな人と一緒に仕事が出来る機会を作っている.


ワークショップ8 「診療の質向上」 昨年初めてやったWSの反省をふまえてのバージョンアップ.英国で医療マネジメントを学んだ友人とのWS.50名の定員がほぼ満員.去年よりも参加者の問題意識も高く,ワークもポイントを突いている.
久しぶりに会う友人との仕事は,最後にあってからその人がどんなことを学び,どんなことを考えて来たのかを知る貴重な時間.そして,友人から教わるまなびの時間.

来年へむけてファシリテータをもうひとりぐらい欲しいという,担当の委員の先生からのリクエスト.
それ以外は概ね良かったと思います.
前半の講義の時間をいかに短くするかが課題.
そこで紹介した本.病院の例ですが,QI:Quality Indicatorの例がたくさん挙げてあります.



ワークショップ12 「産婦人科診療」 講師:岡田唯男、鈴木真

いやあ,コレは緊張しました.ふだんから連携をしている後方病院の周産期センター長とのコラボ.
プライマリケア学会がテーマとしてこのタイトルを挙げてくれたことは大変意味のあることと思っています.
参加者は20名弱でしたが,きめの細かい3時間,あっという間の3時間でした.
準備の段階で鈴木先生と相談,産婦人科医としては非産婦人科医にとって,どのような産婦人科診療のニーズがあるかはサッパリ分からない.これは,私のような女性,妊婦のケアを普通にやっている家庭医にとっても同じ.
こういった非産婦人科医向けの産婦人科領域のセッションはあまりなかったので,まず,ニーズ調査をしましょう,ということで,最初にみなさんから,不断困っていることを出して貰い,投票により優先順位付け,時間いっぱいまで順番に潰していく,という方法を採りました.
一番はやはり妊娠,授乳と薬.一般論のお話,参考にすべきサイト,本の紹介から,結局喘息だの何だのと疾患各論にまで渡ったので,それぞれの妊娠との関連を話したため,このトピックだけで1時間は費やしたのではないでしょうか.全てではないですが紹介した本を挙げておきます.







あとは,更年期,偶然子宮筋腫を見つけたら,血圧の管理などなど,私が思っている以上にやはり,かかりつけの医師は領域を問わない相談を受けるのだと再認識しました.私からは葉酸,ワクチン,母乳サポートなどの話をしました.

次回またあるとすると,少し今度はテーマを絞ってやるという事でしょうか.「妊娠と薬」「更年期」など.

何がうれしいって,家庭医と産婦人科医が一緒になって講師をする.一緒になってお互い出来ることは支え合っていきましょう,というメッセージが伝えられる.その先駆的なロールモデルとなれることでしょうか.

まだ領域審判と考える人も多いですが,そもそも体を部分に分けることは不可能なこと.ワンストップ(プライマリケア)で全て用が足りるならそれほど患者さんにとって都合の良いことはない.
大事なのは質の妥協をしないこと.

今週末は家庭医療学会のセミナー講師.またコラボです.今度はビジネス理論.
減らすつもりが今年も結局23件の講演,講師,座長など.

なぜか懲りませんね.やっぱり好きなんでしょうね,この仕事.