2009/11/02

    混乱の状況ほど本質に忠実に.週末の振り返り(2009/11/1)

昨日,気持ち的にずっと乗ってなかったインフルエンザのセミナー講師終了.苦手意識の強いモノだからこそ学びが大きいはずと言い聞かせて.

感染症の山本俊悟先生にはずいぶんと助けて頂きました.それぞれのスライドを併せて新型インフルエンザに関してだけで240枚 (4時間のセミナーですが)!

家庭医は通常一つのトピックについてかなり深いところ(通常専門的とよばれるところ)までつっこむことは少ないのですが,「教えることは2度学ぶことである」の言葉通り,改めて新型インフルエンザについての理解を深めることが出来ました.

専門家に相談することの目的は色々あると思いますが今回は,自分がやっていることが大丈夫であることの確認,という結果になりました.

参加者は少なかったですが居眠り率は低く,また帯広から80歳の現役のドクターも参加され,しかも一番質問数も多く,医師は生涯勉強ですが,襟を正す思いでした.

ネット中継も同時にされたのですが,ネット参加者からもなかなか鋭い質問があり,皆さんよく勉強されているな,という感想でした.

一方でまだ流行に入っていない地域の方もおられ,流行地域の人も含め蔓延期における事業継続計画についてはノーマークの方も結構おられました.

一般医療機関のための新型インフルエンザまん延期の診療継続計画作り(第2版)
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/090430-01.html

4時間いったいどう埋めようか,ということで始めましたが,今どんどん新しい情報が出ているということもあり,作り始めるとあれもこれもと逆に「何を削るか」を考える羽目に.

最終的には,長時間だからこそ伝えるべきメッセージを明確に,の原則に沿って,きちんとこちらの意図は達成できたのではないかと思います.(フィードバックはまだもらっていませんが)

特に最新の分野については改めてMcWhinnneyの言葉を引用しておきたいと思います.


「もっとも未分化な科学の領域ほどもっとも情報量が多い」非常にうんちくの多い言葉です。今の新型インフルエンザの例を考えてみましょう。わからないことや真理がまだ無いからこそ、多くの調査報告が出てくるんですね。
Sir Peter Medawarを引いて、「サイエンスにおける具体的な知識量の負荷はその領域の成熟度と逆比例する。サイエンスが進むにつれ、個々の小さな事実はその大領域の中で理解され、ある意味、一般化しつつある根本理論の中に取り込まてしまう。つまり、意識的に明文化され、意識されなければならないものではもはやないとして。」(成熟している領域ほど、その上位にあるメタ理論的なものの応用で対応可能だったり説明可能だったりしてとりこまれてしまうから。ということです)

続けて、McWhinneyはinformationとknowledgeを混同してはならないといいます。informationは確かに指数関数的に増える一方だが、それらの多くはほとんど価値が無く、寿命が短く、スペシャリストに対してのみの技術的な興味のみであり、そしてその多くは、医学の本質的なknowledgeに組み込まれるか、最終的に否決されることになる仮説を検証するためだけのものなのである。と


2009/06/25 ジェネラリストになろうとする際に感じる不安の元となるジェネラリストとスペシャリストの役割に関する6つの誤解 (McWhinneyより)

最後のスライドでは
目の前の危機なので対応せざるを得ないが,本当に亡くなる方が多いのは,やっぱりガン,脳卒中,心臓病です.糖尿病や高血圧,癌検診の推奨などやるべき事を粛々とやることを忘れずに,ということをお伝えしました.

リスク認識のゆがみを直すのも医師の大切な仕事です.(リスクコミュニケーションといいます)

真実はおもしろくない、とるにたらない、という態度ー感染症診療の原則
(一般の人のリスク認識はメディアによってゆがめられている)

Doctors have a duty to engage in social media OCTOBER 29, 2009 -Kevinmd.com
(特定の医療行為や情報に対しての根拠なきor悪意あるネガティブキャンペーンがtwitterやfacebookなどのsocial mediaを通じて大量に流れるので,医師も意識的にsocial mediaを通じてそれらを駆逐するほどの正しい情報の発信をしなければならない)

準備に徹夜だったため,帰りの運転が心配で休めるところを探したら都会では安い値段で仮眠をとれるところがあるのですね.ということも発見.それでも帰りは眠かったのですが..

嫁さんには「あなたの生活はびっくりするぐらい規則的に不規則ね」と言われてしまいました.でも本当はirregulary irregularなのよ.私は心房細動か!

昨夜は爆睡.

2009/10/30

    米国レジデンシーの全て(米国レジデンシーのデータ ACGME 2008-2009 data resource bookより

ACGME 2008-2009 data resource book
が公開されています。
レジデンシーとは日本でいう後期研修と考えて頂ければよいと思います。

気になったデータをピックアップ

レジデンシープログラムディレクター 
コア専門科の13%が新しいディレクターに交代
新しいディレクターの就任時 平均教育歴は14年
家庭医療のプログラムディレクターの交代の平均期間(平均寿命)は5.8年 (どちらかというと他の分野より短めです。私は7周年を迎えました)

レジデント
全領域の27%が外国の医学部出身(IMG: International Medical Graduate)
家庭医療では40%
家庭医療からのフェローシップで老年医学は57% スポーツ医学は16%
IMG率の高さで気になったのは内科からのフェローシップいくつか
集中治療 64%
老年医学 69%
呼吸器 85%!

IMG率の高い領域の順位は p.65
(一応IMG率の高さと研修中,または専門医取得後のQOLの高さとは反比例するといわれております。現金なアメリカ人ですから)

p.84 各分野の全体に対する比率
プログラム数は家庭医療が最大(全プログラム数の11.4%)
レジデント数は内科が最大 (全レジデント数の24.6%)
家庭医のレジデントは10.6%

家庭医療のレジデンシー修了者数 3070名
何らかの理由で修了しなかった,できなかった人381名 3.9%

人的資源の豊富さにはまだまだ負けています。
もしかしたら質の話よりもまずは数かもしれません。(この議論は結論がでないのですが)

2009/10/29

    少し体裁を変更しました。(twitter,tumblrとのリンク)

あまりにもblogの更新が滞っているのですが、
自分が手に入れた情報をそしゃくして原稿に起こしてblogエントリーにするというプロセスを踏むというプロセスの敷居が高いために結局発信できなくなってしまう情報が多いので、それほど加工しなくてよい物は数ヶ月前から実験的にtwitterで,最近はtumblr経由で発信しています。
それはこのblogとは別物としてやってきましたが、それなりに軌道に乗りましたので、リンクさせるために、このブログの左側にtumblrの最新エントリー、そして岡田唯男の頭の中にtwitter(twilogにて)とtumblrへのリンクを張りました。
ご参考まで。

2009/10/24

    第22回 医学生研修医のための家庭医療学夏期セミナー ブログ

秋の大型連休に合わせてわざわざ高知からお友達と一緒に来てくださった家庭医療学学生部会代表が見学記を書いてくださいました。

天気がよかったので外へ椅子を持ち出して振り返りと議論をしたのをよく覚えています。僕自身も対話の中で初めて言語化されて、またそれを受け取った他者によって言語化されて初めて気づく事がたくさんあります。

「何でも診るから家庭医なのではなくて、家族・地域を診るから何でも診られなくてはいけない」

今まで無意識の中にあった事ですが、このときの対話によって言語化を助けて頂きました。感謝。

遠いですが、見学の皆さんお待ちしております。

亀田ファミリークリニック館山 実習報告
2009.10.08.11:42

2009/10/23

    [募集] KFCT 家庭医レジデント スポーツフェロー マタニティ/ウィメンズフェロー スタッフ

亀田ファミリークリニック館山 家庭医プログラムでの スタッフ、フェロー、レジデント、短期研修の募集です。

特に急激な立ち上がりを見せているプライマリケアスポーツ医学のフェローがおすすめです。

また、レジデントの募集に関しては面接日が迫っておりますが、まだほんの少し空きがありますので滑り込み可能です!

複製、転送は大歓迎ですので、「そういえばあの人家庭医に興味があったな」という人に心当たりがありましたら、転送をお願いいたします。

当院では、深さはもちろん、日本で最も幅の広い家庭医療の実践、教育、研究を目指します。

現在の重点事項
*得意分野を持った家庭医の育成 (differentiation, GPwSI: General Practitioner with special interest)
*点でなく面での展開(他施設との連携)
*地域、行政との連携推進
*研究、福祉推進事業への取り組み 
平成21年度社会福祉推進費補助金事業の実施状況について
http://www.kameda.com/about/facilities/tateyama/index.html

特徴
*日本家庭医療学会プログラム認定。プログラム認定制度発足に先立って、2000年より運営しています。
*他の認定プログラムが設立の際に参考にするプログラムです。(現在立ち上がっている多くのプログラムの設立担当者の方が見学に来られました。事業報告参照)
*他のプログラムの指導医を育成した指導医が管理するプログラムです。 (HANDS-FDF 修了生参照)
http://mywiki.jp/familydoc/HANDS-FDF+%28Faculty+Development+Fellowship%81j/%8FC%97%B9%90%B6/
*レジデントも含めて10人以上の家庭医が行なうこれからのグループ診療のスタイル(ピアサポートと協同学習)
*3年間基本的に同じ地域で継続診療を行う(継続性を最重視した研修プログラム)
*家庭医療の指導医が常勤5名+非常勤3名
*3次医療機関(亀田メディカルセンター)との綿密な連携(Integrated Healthcare Networkにおける家庭医療)
*プログラム修了生7期16名の実績(修了生はその行き先で家庭医としてそれぞれ高い評価を受けています)

同時に、
*指導医として働いて頂けるhospitalist(GIM:総合診療、病棟中心)、ER医、在宅専門医、もちろん家庭医
*専門を持っているがプライマリケアへ軌道修正したいという方の再研修(特に、小児科、透析、精神科、産婦人科からの転向。)現在も1名研修中です。
*既に家庭医の後期研修を始めているが移籍を考えている方(これについては学会の厳密なルールがありますので慎重にご検討下さい)
*他プログラムの選択研修の期間の受け入れ(現在公式の連携が4プログラム 初期:3 後期:1あります)も募集いたします。
こちらは随時募集、詳細は個別に応相談ですので、私のメールアドレスへ直接ご連絡をお願いいたします。

もちろんそれ以外もできる限り要望を考慮致します。

各プログラムの詳細は
http://www.kameda-resident.jp/senior/examination/internal/internal07.html
をご覧ください。

家庭医後期専門研修プログラムの面接日は、2009年11月9~10日です。
【参考】
亀田は倍率が高いのではないか?という噂があるようですが、それは初期研修の話です。
家庭医のプログラムは設立以来実質倍率2倍を超えたことはありません。

迷っている方もまずメールを!

2009/10/21

    update たまごクラブ10月号 掲載(取材を受けました)

以前のエントリー
2009/09/16 たまごクラブ10月号 掲載(取材を受けました)
updateしています。
実際の記事を掲載。

2009/10/19

    Column : 自業自得?. MMJ (Mainichi Medical Journal) (2009) vol. 5 (9) pp. 573

生涯学習として手軽に読めるMMJ (Mainichi Medica Journal)。毎月楽しみにしていましたが、ご縁を頂きコラムを書かせて頂く事になりました。

第1回目が9月号です。

ボクシングや格闘技のリングサイドドクターというしごとは倫理的に成立するのか?という疑問から初めて、家庭医としての普段の診療に話を展開しました。

引用している
ボクシング存廃論
http://plaza.umin.ac.jp/~kodama/appliedethics/boxing.html
古いですが内容は秀逸.ぜひ皆様のプログラムでカンファレンスの種としてどうぞ.

発行部数7万5000ということですが、全く反応がなかったのはやはり最後の方の単なるコラム,という事だからなのでしょうか...

blogともその他のソーシャルメディアとも書きたい内容がちがうのは、やはりコミュニケーションチャンネルによって親和性のある内容や対象が違ってくるからなのでしょう。
隔月なのでなんとか頑張って続けようと思います。

Webへの時期、公開方法については出版社の許可を得ています。(9/15/2006公開)

Column : 自業自得?. MMJ (Mainichi Medical Journal) (2009) vol. 5 (9) pp. 573

2009/10/15

    予防接種についての6つの誤解

以前のblog entryより再掲。
新型インフルエンザのワクチンの事がありますので,この時期に改めて。

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日本のワクチン行政のひどさには驚くが、一般の人たちの認識も積極的なワクチン推進活動の生涯になっていることがある。米国CDCが、子供のワクチンを打っている医療従事者向けに、子供の親への説明方法としてよくある誤解への説明方法の文書を作成し、現在はWHOでも採用されて、公開されている。

Six common misconceptions about immunization

6つの誤解とは以下の6つです
「予防接種が出来る前からの公衆衛生、生活レベルの向上などで対象の病気は制圧されつつあった」
「病気にかかる人の大半はワクチンを打った人たちだ」(ワクチンを打ってもインフルエンザにかかった)
「ワクチンの特定のロットが高率に副反応をおこす。そのようなロットの番号を明確に突き止めて回収するべきだ」
「ワクチンは多くの副反応、病期、ひいては死亡の原因となる。我々がまだ知らない長期的な影響の可能性など言うまでもない」
「自分の国ではワクチンが予防しようとしている疾患はほぼ制圧された。もうワクチンなど必要ない。」
「同時に多くの病気のためのワクチンを打つことで、有害な副反応の危険が増えたり、体の免疫の仕組みに過度の負担がかかったりする」

以上全て、誤解として、事実の説明が本文でなされていますが、小児の医療に関わる皆さんは上記のような理由でワクチンを拒否する親に、きちんと説明が出来るでしょうか。自信のない人は是非これを機会に勉強してください(英語ですが)

以下でも同様のトピックが取りあげられています
http://www.drspock.com/topic/0,1504,471,00.html