2009/01/24

    シリーズこころ これ、統合失調症?

医療ルネサンス という私がずっとお世話になっている読売新聞の連載 去年の11月のから

本当は別の状態だったのに,問診が不十分なために統合失調症と診断され薬漬けになったケースを取材しています.

勿論適切に診断され,治療されるケースの方が大半だと思いますが,その患者さんの背景や状況を踏まえる,良く話を聞く,といったことでこれらの事例は防ぐことが出来たのではないか,と考えさせられる報告です.(勿論あとから見ればなんとでも言えますが)


そこからの引用

味酒(みさけ)心療内科(松山市)医師の笠陽一郎さんに聞きました。

 米国で1994年に作られた診断基準(DSM―4)などが、国内でも使われています。症状を重視する診断法ですが、患者さんの話に耳を傾けず、いくつかの症状を診断基準に当てはめるだけで病名を付けるようになってしまった」


私も若い頃はDSM当てはめで診断をしていましたが,最近上記のコメントの意味がよく分かるようになってきました.今は,診断に飛びつくことなく,安易に投薬に飛びつくことなく,診療が出来ているような気がします.しかし若い頃は,症例の経験や,聞く技術といった部分が不十分で,ダメといわれても,わかりやすいチェックリストのような物にそってやる以外に選択枝がないのです.そこをカバーするのが指導医の存在でしょう.

http://www.yomiuri.co.jp/iryou/medi/renai/

下から古い順です.

シリーズこころ これ、統合失調症?
シリーズこころ 読者の反響
「統合失調症」相次ぐ誤診 (2008年12月26日)

[Q&A]誤診 多くは初歩的ミス (2008年11月11日)
ネット相談で誤診気づく (2008年11月7日)
誤った投薬で記憶障害 (2008年11月6日)
薬の副作用 「病」と診断 (2008年11月5日)
耳傾けた心理士 誤診修正 (2008年11月4日)
幻覚、妄想 子供には普通 (2008年11月3日)
不登校の中1に大量投薬 (2008年10月31日)
「根拠」あった 盗聴妄想 (2008年10月30日)
医師の問診不十分で誤診 (2008年10月29日)

2009/01/23

    Difficult Teaching Encounter

一般にdifficult patientと呼ばれることが多いですが、当事者である時点で自分自身も問題の一部ですから、患者さんが問題とは限りません。組み合わせが単に悪い場合などもありますから、difficult patient encounterというのがPC(politically correct)。

同様に、「あの研修医は扱いにくい」と感じたときに、問題は研修医ではないのかもしれません。そういう意味で、difficult learnerとは呼ばず、Difficult Teaching Encounter(DTE)と呼ぶことを提案しています。



当時から実施していたDTEについてのWSをもとに、

上記の本にDTEのテーマで、章を書かせていただきましたが、その後HANDSのセッションで当時のfellowのN氏に以下の論文

Dean A. Seehusen et al. Teaching the Outstanding Medical Learner. Fam Med 2006;38(10):731-5.
http://www.stfm.org/fmhub/fm2006/November/Dean731.pdf

を指摘され、その後は、それをふまえて、アルゴリズムを書き直し、WSを実施しています。

そのWSの資料を公開。

Difficult Teaching Encounter (この資料のアルゴリズムが最も最新です)
Difficult Teaching Encounter

2009/01/22

    The World Health Report 2008 Primary Health Care – Now More Than Ever

Think Globally, Act locally.

使い古された言葉だが、WONCAでお仕事をさせていただくようになって,ほんの少しだけ、"think globally"の方の視点が自然に身に付いてきたような気がしています。

PHC:Primary Health Careの重要性を訴えたアルマアタ宣言から30年の昨年、WHOから毎年出されるWHO World Health Reportのテーマは、

Primary Health Care – Now More Than Ever

PHCへの回帰です。

当時は重要だ、という信念が先行したところはありましたが、この10年ぐらいでエビデンスはたまりにたまっています。

Press Releaseから、summary、重要な表の抜粋、果ては、ビデオ、audio、poscastまで全部用意されています。

The World Health Report 2008 Primary Health Care – Now More Than Ever


詳細はなんとかうちのレジデントたちには話せれば、と思っていますが、ここでは、その中から引用を一つだけ。(訳 岡田)


Five common shortcomings of health-care delivery
ヘルスケア提供の際にありがちは5つの欠陥

Inverse care. (ケアの逆転):最も資源を持つ(しばしば医療の必要性がより少ない人)がケアの大半を消費する。最も資源や手段の少ない人、抱える健康問題の大きい人が最もケアを利用しない/できない。

Impoverishing care. (貧困にさせるケア):最も社会的に守られていない/ヘルスケアに対する保険のない人ほど、現金支払い/自腹を求められる。必要なケアにかかるために、破産的な金額の費用が必要。年間で1億の人が、ヘルスケアに対する支払いのために、貧困になる。

Fragmented and fragmenting care. (断片化したケア、断片化させるケア):医療従事者の過度の専門分化と、疾患対策のプログラムの焦点の狭さは、個人や家族に対する、包括的なアプローチをないがしろにし、継続的なケアの重要性を認識しない。貧しい人々や、少数派のためのケアはしばしば高度に断片化しており、かつ資源が少ない。一方でそこに手を加えて発展させることは往々にして、更なる断片化を促進する。

Unsafe care. (安全でないケア):説明はしません

Misdirected care. (間違った方向性のケア):医療資源(人、金、もの、時間、熱意)の分配はしばしば、コストのかかる高度な治療へ集中し、一次予防や健康促進が最大70%にも及ぶ疾患のインパクトを軽減する、という事実を無視してしまっている。


150ページほどの報告書にざっと目を通しましたが、この最近のWHOおよび、WHO/WPRO(西太平洋地区)の仕事(報告書)の流れをきちんとふまえた延長線上にあります。

参考

昨秋のWONCAとWHOのjoint repot

New joint WHO/Wonca report 'Integrating mental health into primary care - a global perspective'

2007年11月 WHO/WPROによる、

People at the Centre of Care Initiative

Relevant publications and documentshttp

こういったことが日々の診療に関係なさそうで、すごくあるんです。。。

2009/01/21

    のうだま―やる気の秘密

表題の本のまとめmindmapで作成。





人間はそもそも飽きっぽい。
続けられる方が難しい。
やる気が出ないと思ったら スイッチB,E,R,I
挫折しそうになったら スイッチB,E,R,I

2009/01/20

    lifehacking.jp

最初のentryでも書きましたが,以前からお世話になっていた

シゴタノ! - 仕事を楽しくする研究日誌

に続いて,


去年は

lifehacking.jp

に出会えたのが大きな収穫でした.(ずいぶん時間泥棒もされましたが.....)

参考になったエントリーを以下に大公開.
みなさんも時間泥棒されることなく,仕事がうまくできるようになりますように....


夢を実現するには、「緊急ではないもの」を「緊急」にする
Wednesday, 26 March 2008


整理整頓中の混乱をふせぐ、「付箋」整理術のすすめ
Tuesday, 14 October 2008


The Now Habit (2) ぐずぐずログと、自分への話し方を変える習慣
Tuesday, 28 August 2007


能率を一気に押し下げるダブルバインドの危険
Friday, 9 May 2008


ゆっくりと動きながら高速でこなす、一流の研究者の Doing リスト
Friday, 7 March 2008


クリエイティブな仕事で GTD は通用するか?
Monday, 30 July 2007


金曜日はすべて私のもの。疑似週休3日で能率アップに挑戦する
Thursday, 10 January 2008


宴の支度 (3) 小さな変化からすべては始まる。「プロ」と「アマ」の13の違い
Thursday, 17 April 2008


あなたの生産性を示す公式: KWP = M x T x K
Thursday, 5 June 2008


毎日の習慣作りを支援する Habitizer
Monday, 18 February 2008


「毎日マインドセット」で人生の最小単位「毎日」をカイゼンする
Saturday, 1 December 2007


一流の研究者のマネージメント、21の鉄則
Tuesday, 9 December 2008


「全てを手帳に記録する」、ユビキタス・キャプチャーの実践
Thursday, 19 April 2007


The Now Habit (4) 遊びをスケジュールしよう:アンチ・スケジュール
Thursday, 30 August 2007


一歩進んだライフハックへ (5) 自分を狙いうつ習慣リボルバーを作る
Friday, 21 December 2007


地球温暖化対策を人生にあてはめてみると…
Tuesday, 9 October 2007


[GW Reading3] ジンメル・つながりの哲学
Saturday, 5 May 2007


どうしても自分を変えられない:自己変革を妨げる「私」のなかの「私たち」
Tuesday, 28 October 2008


さっそく三日坊主? その目標は紙に書いて貼ってある?
Saturday, 5 January 2008


7つの習慣、GTD に次ぐ第三の潮流、4HWW
Thursday, 7 June 2007


The 4-Hour Workweek: 週4時間しか働かない仕事術 (1)

24時間でメール地獄から解放される方法
Sunday, 13 May 2007

2009/01/19

    年頭所感(今更)

大論文ですので,興味のあるひとだけどうぞ.

去年も同じタイトルだったような気がする..
歳の振り替えりは年末に終え,新しい歳の目標は三が日中にやっておくべきだった.
でも2007も2008も大晦日まで仕事してましたので..

2008年初頭の目標を再掲


週に1回は自宅の机周り、職場の机周りの整理整頓をする。(月曜の朝か、金曜の夕方)
→ 出来ませんでした

blogの週1回の更新。(出来るだけ手短に、分かりやすく。自分らしく。)
→なんとこれは結果的には平均して週2回!更新したことになります.

アメリカの家庭医認定医の更新を無事に済ませる。
→無事終了   専門医更新試験合格!

プライマリケア学会の認定の更新を無事に済ませる。
→無事終了

監修本、執筆、翻訳各1冊
→まだでした..

家庭医療、FDにおいてweb上での情報共有、交換がスムーズに進むコミュニティーの構築、始動、それとリンクしたジャーナルクラブの実施
HANDSを何とか次のステージへ
→進んだようなそうでないような..

環境にも優しい医療機関づくり。CSRについても何らかのとりくみをしたい。
→進んだようなそうでないような..

家族との時間を増やすこと
そしてそれらのためには、出張、講演を出きる限り減らすこと。
2006年 30回 2007年 20回 2008年 24回...減りませんでした.でも家族の時間は増えたような気がします.


あとは,公にしていなかった目標も出来たもの,できなかったもの色々あります.

今年ずいぶんスタートが遅くなったのはいろいろと理由があるのですが,新年に毎年新しい仕組み作りに取り組むからで(未だに自分の仕事の仕方が定まっていません..),
習慣化するまでに3日,3週間,3ヶ月 とはよく言われますが,まさにその3週間に向けての真っ最中なのです.

何をやっているか.

1.メモ帳を携帯しています
2.日々の予定も紙の手帳です. 
2009年版スリムノート「7つの習慣」プランナー

3.日記を始めました.紙の日記です.しかも5年日記!

デジタルを捨てたわけではありません.

1.帰国後購入してずっと頑張ってきたpowebook12"を嫁さんに引き取っていただき,年末にようやく新しいmacbook購入!



2.去年の秋に購入したiPod touch 32G


3.以下のソフト購入
オムニフォーカス
evernote
Journler 2.5
Scrivener
以下参考
新世代 GTD アプリ、OmniFocus と Things のどちらを選ぶ?
ちなみに妻はThingsを導入
物書きをする人の楽園:Scrivener [Mac OS X]


ということで今年の目標はとにかく「記録に残す」ということです.
これからやるべき事も,これまでに済んだ成果も.いつ参照するかも分からない情報も.

これらをどのように組み合わせて生産性を出すのかは詳しく書きませんが,(まだ試行錯誤中なのでかけませんが)とにかく今のところそれなりに続いています.

もういちどGTDに取り組むこと.

デビッド・アレン
二見書房 ( 2008-12-24 )
ISBN: 9784576082110
おすすめ度:アマゾンおすすめ度



手帳は実はまったく同じ物を2007年の年始に購入したが,まったく開くことも書き込むこともなく消失.昨年は

野口 悠紀雄
講談社 ( 2008-09-18 )
ISBN: 9784062148924
おすすめ度:アマゾンおすすめ度


に取り組みましたが,やはり途中で使わなくなりました.
いろいろと考えるところあって,再度「7つの習慣」手帳に取り組むことに.

やはり昨年読んだいろいろな本から最終的に考えたことを試そうとしているのですが,

そのリソースは,

大橋 悦夫
ゴマブックス ( 2008-04-22 )
ISBN: 9784777109500
おすすめ度:アマゾンおすすめ度



大橋 悦夫
青春出版社 ( 2008-11-22 )
ISBN: 9784413036955
おすすめ度:アマゾンおすすめ度



そして,

相変わらず

シゴタノ! - 仕事を楽しくする研究日誌

だったり

lifehacking.jp

だったりするわけですが,

以下のentryの,

「大きな決心」よりも「毎日の習慣」をゆっくりと変えることで、むしろ少ない労力で大きな変化を作れるということを繰り返し指摘しています。


がやっぱり基本なんだろうと思っています.

GTDについては 「頭の中にある全ての気になることの書き出し」は170項目を超えてもまだ続いています.でもずいぶん気持ちが楽になってきています.

見た映画の記録もきちんと始めました.

ライブハックスにあった「収穫率を上げる」ということ 最近の自分の懸案事項である「丁寧な仕事をする」と同じ意味だと思います.

成功ハックスにある,「行動すること」

この2つを実現するためのstrategyが最初に挙げたような,事になるのだろう.

まだ3週間経っていませんが,気づいたこと

既に講演・講義の予定が9本
執筆のプロジェクトが8本

物理的にやるべき事が自分の持ち時間の中に入りきらないこと(オイオイ,今初めて気づいたのか?)

まだ1ヶ所には集中できない物の,限られたところに情報を集約するということに取り組み始めています.

関連して,

上大岡 トメ, 池谷 裕二
幻冬舎 ( 2008-12 )
ISBN: 9784344015951
おすすめ度:アマゾンおすすめ度




高畑 正幸
ロコモーションパブリッシング ( 2006-01-27 )
ISBN: 9784862120342
おすすめ度:アマゾンおすすめ度


などを参考にさらに仕事環境を再度整備しています.

とにかく「動く」事,効率を上げること.今更ですが,原理原則論大好き人間ですからまた原点に返ろうと思います.


さっそく三日坊主? その目標は紙に書いて貼ってある?

新年の抱負がもう脱線した? そんな人はこのロードマップに移ろう

「大きな決心」よりも「毎日の習慣」をゆっくりと変えることで、むしろ少ない労力で大きな変化を作れるということを繰り返し指摘しています。


ここ最近の Leo の tips から、新年の抱負に関係したアドバイスを5つ選んで意訳してみました。

1.大きな「新年の抱負」を立てて無理をするよりも、ゆっくりと新しい習慣を作る方がいい。その方が長期的な効果がある。
2.今年に達成したいゴールを一つだけ考えます。そのゴールだけは絶対に達成するよう、すべてをそれに集中させます。
3.この一つのゴールのために、今日何か一つだけアクションを起こします。どんな小さなことでもかまいません。明日になったら? 明日も、もう一つだけアクションを起こします。その繰り返し。
4.自分のための時間をスケジュール帳に加えましょう。毎日、たとえ 10 分だけでもいいので。
5.一つのタスクに 30 分連続して集中する訓練を始めてみましょう。じゃまになったり、気を散らしてしまうものを排除訓練すれば集中力は高まります。
たとえば新年の抱負を考えるとき、あまりに大きな目標や、「毎日○○しよう」という文脈の「毎日」は余計なのだといえるでしょう。私の場合は、それよりは「1週間に 150 回の腕立て伏せをする」といった数値目標をゆるめに設定しておいて、1週間における頻度と総回数をゆっくりと1週間ごとにモニターし、調整する戦略を作っています。


やっと今年の目標です(日本人らしい)

上達,熟練,学習といったことについて再度 基本に立ち返る(基礎的文献の読み直し)
去年からの積み残しのプロジェクトを少しでも進める(執筆,プロジェクト)
今年はあいたいと思う人に会う
体力づくり
丁寧に,丁寧に

ということで,また今年も皆様に迷惑をかけながら頑張っていきます