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2009/06/03

    香港到着 (WONCA) 前夜

WONCA アジアパシフィックの参加のために(正確には学術集会の前
日に行われるcouncil meetingの参加のために)香港に来てい
ます。羽田20時45分初 香港0時台着という便でさっきホテル
にチェックインしたところです。
council meetingというのは、各国の代表が参加してWONCA 
アジア太平洋地域の運営をどうするかとか、うちの国の家庭医療は
こんな状況ですとか、こんなことで困っていますとかを話し合うと
ころです。
その運営委員会になぜだか入れられてしまい、最も苦手な書記官と
いう仕事(多分一番大変な仕事なので、一番若い自分に、というこ
とでしょう)を仰せつかっていますから、議事録、会議資料の準備
など大変でした(もちろん英語)。今日午後3時間半の会議です。
会期中はスムーズな議事進行への配慮.終了後は議事録の作成が
まっています。ほんとに苦手なんだけど、やれという天の声なので
すから、これも勉強と思ってできるだけ積極的に取り組んでいます
(議題を2つ出しています。)

羽田の国際線ターミナルは初めて利用したのですが、こんなところ
があったのね、という感じです。2010年にはきれいになるよう
です。香港は往復で35000円程度で、時差も1時間なので
ちょっとした国内旅行という感じです。

新型インフルエンザのことですが、一応香港の空港では簡単な検疫
(症状と経由地の問診票と、あとから連絡が取れるように滞在先と
飛行機の座席番号を書いたものの提出。体温測定はなし)がありま
した。時間はほとんどかかりませんでした。

ホテルでは簡単に体温だけ測られました。



写真は検疫用に書いた問診票。

雷雨に迎えられて到着です。1週間雨とのことです。orz

学術集会が始まる明日には私にとってのメインイベントはほとんど
終了しています。

2009/05/26

    カサンドラのジレンマ

関西での新型インフルエンザが収束の兆しを見せています。今回の弱毒性というところを根拠に楽観論を唱えていた人たちは、「それ見ろ大したことないじゃないか」というかもしれません。でもそれは、十分に準備をしていた人たちの努力で、感染の拡大が最小限に抑えられたからこその結果なのかもしれません。
しかも、夏に向けての収束も予測されていたことで、過去のパンデミック同様第2波、第3波がより大きく、毒性が強くなることの可能性、また鳥インフルエンザの流行の可能性がなくなった訳ではありません。

Cassandra (metaphor)

From Wikipedia, the free encyclopedia


多くの人には聞き慣れない表現かも知れません。Alan AtKisson,枝廣 淳子 監訳の同タイトルの本があります(原題:Believing Cassandra .最後にリンク)

古代ギリシャ神話のあらゆる予知能力を持ちながら、誰からも信じてもらえない、という呪いをかけられたカサンドラという女性がいます。

監訳者自身のHPより
カサンドラのジレンマ—地球の危機、希望の歌—

上記リンクより
プロローグ(抜粋)--------------------


美しいカサンドラは、トロイ最後の王の末娘だった。アポロン神が彼女に思いを寄せたが、カサンドラはそれを拒んだ。彼女の愛情を勝ち取るため、アポロンは「もし、おまえが私を愛してくれるのなら、未来を予言する力を授けよう」と申し出た。

カサンドラはその交換条件を受け入れ、未来を見る力を得た。しかし、彼女はどうしてもアポロンを愛することができなかったので、アポロンは激怒した。アポロンはカサンドラに授けた力を取り返すことはできなかったが、これ以上ないほど残酷なやり方で復讐をした。彼はたった一度の口づけを懇願し、カサンドラはそれに応じた。二人の唇が触れ合ったとき、アポロンはカサンドラの口に呪いを吹き込んだ。「誰も絶対に彼女の予言を信じない」という呪いを……。

こうして、カサンドラは絶望の一生を送る運命となった。まわりの人々を脅かすような危険が迫っていることが分かっても、それを防ぐことができない。カサンドラはトロイの人々に「ギリシャ軍が攻めてきます」と警告し、「トロイの木馬の中に兵士たちが隠れています!」と必死になって伝えようとした。しかし、誰も彼女の警告に注意を傾けなかった。やがてトロイはギリシャの猛攻撃を受け、陥落した。

--------------------------
以下本文37−38ページ 岡田 による引用+翻案

あなたには現在の動向がどのような結末につながりそうかが見えている。人々に、今何がおこっているかを警告し、方向転換しなくてはならないと訴えることができる。一部は信用し、行動を起こすが、大多数はあなたの警告に反応できないか、しようとしない。

あとになって、破綻的な状況が起きれば、そういう人たちは、まるであなたの予言が引き金となって破綻がやってきたかのように、あなたを非難するだろう。(予言が的中する予言者が最も非難される。)逆に、あなたの警告と、それを受けて行動した人々の活躍により破綻が回避されたとしたら、「お前の予言は外れた、嘘つきだ、予言者失格だ」というだろう。

カサンドラにとってはどちらに転んでもうれしくない結末となる。予言を信じてもらえなければ世界は破局へ。信じてもらえれば結果的に自分が間違っていたことに。

予言を伝えるタイミングも、メッセージを伝える調子も完璧でなければならない。そして予言が「外れる」タイミングも正しくなければならない。なぜなら、一度「はずれ」だということがわかったら、世間はあらゆる手段を使ってすぐに「この人のいうことは間違い」というレッテルを貼り、あなたの信憑性は崩れてしまい、それ以降は世界に対してほとんど影響を与えられなくなってしまうからだ。

さらに、ご存知のように、警告はあまり効果的ではない.人々はあなたのいうことを信じるかもしれないが、それでも何も行動を起こさないかもしれない。そして、カサンドラにとって最もつらい最悪の結末は、予言が的中してしまうことだ。


---------(引用、翻案おわり)------------

地球環境の悪化にたいして「持続可能な社会発展とイノベーション」について書かれた本であるが、現在の新型インフルエンザに関しての世の中の反応と共通点も多い。
とある私が仕えるリーダー達(現法人でのリーダーではありません)にも「新型インフルエンザ慎重論」を訴えたのですが、その時期が早すぎたのかもしれません。「不必要に住民をパニックにするだけだから、よけいな言動はしないように」と一蹴されました。(別々の2つの組織のリーダーに別々に同じことを言われました。)

世界でカサンドラとしての役割を果たすだけの才能とその役割を買って出る勇気ある人たちを嘲笑することなく、無視することなく、彼らの予言が「結果的に」外れることを願って、それぞれが行動を起こそう。そして外れた後も彼らを「嘘つき」呼ばわりすることなく、外れたことを喜ぼう。

会議で必要なのは「正解」ではなく、合意による「意思決定」と、いったん決定したらそれを何が何でも結果的に正解となるように、全員で一丸となって取り組むこと。

「すごい会議−短期間で会社が劇的に変わる!」より岡田が翻案

人は誰でも自分の視野の限界が世界の限界なのだと思い込んでいる
アーサー・ショーペンハウアー

(カサンドラのジレンマ p14より)

すごい会議−短期間で会社が劇的に変わる!
大橋 禅太郎
大和書房 ( 2005-05-18 )
ISBN: 9784479791188
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カサンドラのジレンマ 地球の危機、希望の歌
アラン・アトキソン, 枝廣 淳子
PHP研究所 ( 2003-11-13 )
ISBN: 9784569632148
おすすめ度:アマゾンおすすめ度

2009/05/25

    亀田ファミリークリニック館山の見学/実習を予定されている皆様へ

当院は見学、研修の方も多いので、既に見学が決定している皆様には以下の内容でご連絡させていただきました。改変、利用ご自由です。

亀田ファミリークリニック館山の見学/実習を予定されている皆様へ

当院、当プログラムの見学/実習をご希望いただきまして大変ありがとうございます。

一部の方から新型インフルエンザの関西方面での流行をふまえてお問い合わせをいただきましたので、現時点(2009年5月25日)での当院の方針を以下のようにさせていただきます。

現時点では、流行地域は限定されており、また南房総地域でも症例の発生をみておらず、一律に見学/実習の自粛は求めません。


A. 南房総で新型インフルエンザの流行が蔓延期に入るまで(地域発生初期)

1)流行地域でないところから見学/実習にこられる場合
どうぞ見学/実習にいらしてください。
ただし、公共交通機関での移動の際、乗り換えの際など(特に東京駅など)不特性多数の往来がある場所、咳やくしゃみをしている人の近く、新型インフルエンザ蔓延地域を経由する際はマスクなどの感染防御策をとってください。
ご自身が体調がすぐれない場合には新型インフルエンザかどうかによらず、無理をしないようにして、必要であれば日程の変更を検討ください。

2)流行地域から見学/実習に来られる場合
ご自身の症状がなければ見学/実習にいらしてください。見学/実習中は医療従事者として常時マスクの着用、適宜手あらいをお願いすることになります。
また見学/実習中に上気道症状や、発熱など新型インフルエンザを疑わせる症状が発生した場合はその時点で見学/実習の中止をお願いする場合があります。
出発前に上気道症状や、発熱など新型インフルエンザを疑わせる症状がある場合はその時点でご連絡をください。ケースバイケースで対応いたします。

B. 南房総で新型インフルエンザの流行が蔓延期の場合

当院でもたくさんの新型インフルエンザおよび疑い症例の診療をしていることが予想されます。また流行の拡大状況や住民の不安の程度によっては、新型インフルエンザおよびその疑い関連の患者さんばかりで職員もその対応に追われている可能性、さらには、職員の中でもある程度の人数が新型インフルエンザ感染に関連して出勤できない状況になっている可能性もあります。(つまりある意味非常時の体制なので日常的な我々の診療をお見せできないということです)
そういう時期に、一教育診療所がどのように対応しているかについて見ていただくことも未来の医療従事者にとっては貴重な勉強になる可能性はあります。ただし、多忙のため、平常時ほどの十分な対応ができないかもしれません。

1)流行地域でないところから見学/実習にこられる場合
見学の内容(上記B)について了承、かつ、ご自身がもしかしたら新型インフルエンザに感染する可能性、まだ流行していない地域にもち帰る可能性がゼロではないことを了承であれば、どうぞいらしてください。
ご自身が体調がすぐれない場合には新型インフルエンザかどうかによらず、無理をしないようにして、必要であれば日程の変更を検討ください。

2)流行地域から見学/実習に来られる場合
見学の内容(上記B)について了承であれば、おられる地域、南房総、全国での流行状況、自分のところにいるのとこちらに来るのとどちらが新型インフルエンザにかかりやすいかなどをふまえ、ケースバイケースで決定しましょう。数日前にご連絡をください。

大変な時期ではありますが、医療従事者にとっては大きな学びのチャンスでもあります。
ぜひ、ご自身でも、これを機会に勉強されることをおすすめいたします。
現時点では以下の文書が日本語では最も正確で包括的にまとまっていると思われます。

社団法人日本感染症学会緊急提言 「一般医療機関における新型インフルエンザへの対応について」
http://www.kansensho.or.jp/news/090521soiv_teigen.pdf

ご自身で決断が難しい場合は遠慮なくご連絡をください。ケースバイケースで判断いたしましょう。

亀田ファミリークリニック館山/家庭医後期専門研修プログラム

岡田唯男
医局秘書 礒部
isobe.kfctikyoku◯gmail.com  (◯を@に変えて)
0470-20-5520

2009/05/06

    新型インフルエンザ (update)

あちこちで新型インフルエンザの情報ばかりで辟易と思いますが、
家庭医の視点で自分自身が勉強したことを共有とさせていただきます。

できるだけ間違った情報で混乱を招かないように、私の力の及ぶ範囲で正確を期していますが、複数の情報源(できるだけ公のもの)をあわせて利用ください。また間違いがありましたらご指摘ください。

Swine influenza A (H1N1) Outbreak in US & Mexico: Potential for a Pandemic
http://www.pitt.edu/~super4/34011-35001/3460102052009.ppt
http://www.pitt.edu/~super1/lecture/lec34601/index.htm

5/3時点でのupdateで英語で、かつ米国の視点ですが、比較的まとまっていましたので最後のサマリーと推奨について訳しておきます
但し書きとしてまだ最終バージョンではないので教育用に使用してくださいとのことです。

私なりの解釈を書いた上で要約をつけます。

最新の感染者数については,
WHO発表の確定例 (日本時間 2009年5月6日 9時現在)
http://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/case2009/090506case.html

を利用しました。(CDCではUpdate17もでているのですが)

また日本での季節性インフルエンザの感染率は

日本臨床内科医会インフルエンザ研究班のデータから
http://plaza.umin.ac.jp/~japha/influenza/index.htm

2005年から2006年にかけて、ワクチンを接種しない人のインフルエンザ罹患率は7%で、接種した人では3%でした。このうち15歳未満では非接種者の罹患率は18%、接種者では11%でした。


を利用しました。

まずわたしの解釈、強調部分(感染者数、死亡者数のシュミレーションはそれぞれの地域、医療機関のものを当てはめてみてください)

新型インフルエンザは実際の臨床症状や死亡率はどうやらこれまでの季節性インフルエンザと同様であるらしいということになりつつある。
ではそれでもなぜ問題になるかは以下の通り

1)ほとんどの人が免疫をもたないので感染者が一気に増える

最低でも7%(通常の季節性インフルエンザで過去の感染から免疫があるかもしれない人も含めてのそのシーズンで予防接種をしなかった人の感染率。15歳未満は倍以上)おそらくはそれ以上と考えられる。35%−50%程度という推測もある。

最低の7%としてもたかが5万人の館山市でも3500人の感染者がでる.しかも広がり方が早ければ通常の8週間程度かけてではなくもっと短期間に集中

実際に昨シーズンだけで3000本以上のインフルエンザワクチンを接種した当クリニック(外来受診一日平均170−180人)でもこの1−3月でインフルエンザ迅速キットを実施した患者さんが667人 キットでのインフル確定患者320例です。そこが最低ラインと想定するとそれ以上の数の受診(自分のクリニックで対応しないとしても特定の指定医療機関だけで対応しきれるでしょうか。間接的に地域の発熱外来に協力する形で対応しなければならないでしょう)

2)現時点での新型インフルエンザ確定例での死亡率(CFR;後述参照)からして
たかが5万人の館山市でも3500人の感染者で、メキシコを例外として除外してもも死亡率0.149%で.....(計算は皆さんでどうぞ)

死亡率そのものはそれほど高くないかもしれないが、多くの感染者が出る(母集団)ことで死亡する実数は多い。(通常の季節性インフルエンザでも、米国では毎年3万から5万が死亡します) 
8週間程度の流行期間中に小さな地方都市でも死亡の出る疾患というとおおごとです。

3)attack rate(地域のどのぐらいの人が罹患するか)については不明ですが、日本の昨シーズンの季節性インフルエンザでは7%ですからそれ以上、幅が広いですが(ここからが根拠のない推測です)先述の35%−50%というattack rateの一番下のラインとして、自分の職場で職員の3分の1が罹患して解熱後24−48時間まで5−7日間仕事に出られないとなったらどうでしょうか。父ちゃんと母ちゃんでやっているガソリンスタンドは数日であっても営業できなくなる期間ができてしまう。地震、津波などの天災とはちがい、水、電気、ガソリン、公共交通機関などのそのものはなくならないかもしれませんが、attack rateが高い場合は供給を維持している人がいなくなるのです。当然町のジャスコやスーパーも閉まりますから備蓄が必要なのです。

そして医療機関でも同様に仕事に出られる人が少なくなります。

5/6時点
死亡率 (CFR:case- fatality rate)
世界 30/1490=2%
米国 1/403=0.248%
メキシコ 29/822=3.5%
メキシコ以外 1/668=0.149% (季節性インフルエンザとほぼ同程度とされる)

そして

基本的に水際政策は完全ではない(まとめ/推奨4)ので感染者は国内で出るのは時間の問題

重要な所抜粋
--------------
今から3−5週間の間に北米では流行は収まってくる(flu ウイルスは高温や多湿では生存しないため。)(日本の場合はより多湿のためさらにその確率は高いかも;著者補足)
しかし秋にはより病原性の高いウイルスが第二波としてもどってくる
--------------

をあわせると

GW明けには多くの疑い例が、そしておそらく確定例も十分に出うるが、今回はそれほど大きくならずに収束することもあり得ある。しかしそのまま南半球で流行をし、秋には第二波として病原性が高くなってもどってくる

それまでには現在のインフルエンザに対応したワクチンができるかもしれないがあくまでlaboratoryでの理論上の作成で臨床現場でどれだけ有効であるかは使ってみるまでわからない。また現在通常の季節性インフルエンザのワクチンか新型のワクチンかのどちらかで両方は作れない、という話になっているので(できるのではないかとおもうのですが)仮に新型には有効であったとしても、通常の季節型がワクチン接種されないために季節性インフルエンザがこれまで以上の流行をする可能性

そしてタミフルについても耐性が出る可能性は十分にある

ということで、幸い通常の季節性インフルエンザと同程度の臨床症状とされているいまのうちに各医療機関できちんとした対策と訓練を行い秋に備える。また一般の人たちにはワクチンとタミフルに頼らない感染防御策(マスク、手洗い、咳エチケット、自宅待機)の重要性を訴えておくというチャンスを与えられていると考えた方がよいでしょう。

また、最終的には感染が一回りすれば通常のAソ連型の一つ、ということになるのではないかと考えている専門家もいますし、今の程度の病原性なら一回皆がかかれば、という考えもあるかもしれません。たしかにおそらく多くの人が一度かからなければならないとは考えていますが、要は前述のように、一気に感染者が増えて社会機能が止まることが問題なので、感染者を出さないというよりは、感染防御策を徹底して「いかにゆっくりとした期間をかけて社会全体が交代で罹患するか」という視点で考える方が現実的かもしれません。

短期と考えている人も多いかもしれませんが、最低限秋のことがありますので(これもあくまで推測ですが)、1年以上の以上の長期戦と考えた方がよいでしょう。

最後に、今回は詳しく言及しませんが、
疑い症例の対応策ができ次第、
国内で蔓延期(前述のようにいずれくると思います)を迎えるまでに、いかに普段の診療を継続するか、特に家庭医としては自分のことをかかりつけにしてくれている患者さんの慢性疾患の診療を維持するか(働ける職員が減って、社会インフラが止まったときに)ということを、今のうちに考えておくべき時期です。

一般医療機関のための新型インフルエンザまん延期の診療継続計画作り(第2版)
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/090430-01.html
の参考資料3

が非常によくまとまっています。

ーーーーーーーーーーーーーーーー
以下まとめ

43ページサマリー
•WHO raised the alert level to Phase 5
•747 confirmed cases worldwide (17 countries) with 17 deaths (Case-fatality ~ 2.5%)
•2,106 suspected cases worldwide (21 countries) with 149 deaths (Case-fatality ~ 7%)
•1,319 needed hospitalization

•US epidemiological data
•Median Age 16 years (range: 1-81 years)
•Over 80% of the cases in <18 years
•Male Female Ratio = 2:3

•In Mexico, healthy young adults, (20-50 years) affected by the disease

•Huge disparity of mortality seen between Mexico and other countries such as US

•No vaccine is available

•Anti-virals available:
•Oseltamivir (Tamiflu) or
•Zanamivir (Relenza)

•EU issues a travel advisory to the 27 EU member countries recommending “non-essential” travel to affected parts of the U.S. and Mexico be suspended

•US issued a travel advisory that recommends against all non-essential travel to Mexico

44−47枚目 結論と推奨

1. 第2波は必ず起きる 過去のpandemicからは第2波の方が死亡例が多い
その理由は ウイルス性肺炎、ARDS、二次性最近感染特に肺炎 幸い過去と違い抗ウイルス薬と抗菌薬はある
保証はないが、第2波までにはワクチンは間に合うのではないか

2. ほとんどの人はこのウイルスへの免疫がないため感染の拡大は続く。この先より多くの症例、入院、死亡はおこる
それぞれの地域で
サーベイランスの方法を強める
軽症の人の自発的自宅検疫を可能にするために、必要に応じて大量の重症の人を収容し、ケアを提供するための計画を作成する
それぞれの医療機関で、患者/有症状者が急激に増加したときの対応能力増加の対策と感染予防の徹底
一般の人は、通常のインフルエンザ予防の方法(手荒いうがいマスクなど)

3. 北半球では通常5月の最初までには流行は収まるが1957年のパンデミックでは若い成人の間で夏の間も散発的にアウトブレイクがみられた
そのことをふまえると
今から3−5週間の間に北米では流行は収まってくる(flu ウイルスは高温や多湿では生存しないため。)(日本の場合は多湿のためさらにその確率は高いかも;著者補足)
しかし秋にはより病原性の高いウイルスが第二波としてもどってくる
南半球(オーストラリア、ニュージーランド)では流行は継続する

4. 国境の閉鎖や旅行制限について
既に国境や大陸を超えてしまっているので国境閉鎖や流行制限は流行の自然経過には影響を与えない
2003年のSARSの際もこういった方策は無効であった(中国では1400万人が空港、駅、道ばたのチェックポイントで発熱の検査を受けたが疑い例を12例見つけただけであった。シンガポールでは50万人の飛行機利用客をスクリーニングしたがその方法で見つけることができたSARSの症例はなかった)
重要なのはこのような積極的スクリーニングではなく受動的サーベイランス(症状のある個人による報告の徹底)

6.学校の閉鎖(なぜか5が抜けています)
先制的に(preempitve)学校を閉鎖するのはほとんど流行を送らせることはない
いったん再開すると(通常永遠の閉鎖はできないので)そこで再度広がり始める(これは、季節性インフルエンザでも冬休みの間はいったん収まるが新学期になると何もなかったかのように再度広がり始めることを毎年経験しています:著者補足)
さらに、こういう方法は一人親で育てている場合には特に堪え難い負担を与え、究極的には経済的な打撃が大きい
大量の症例が出てからの閉鎖が最も適切(どちらにせよその時点では生徒や教師の欠席数も多く理にかなっている)(実際米国では数例の確定例での学級閉鎖はやり過ぎである、という勧告を出しています)

7. 翌年のワクチンには必ず現在のNorth American” (swine) influenza A(H1N1)に対応するものが提供できるように最優先すること

8. 現在カナダと米国においてメキシコへの渡航歴のない人ー人感染が報告されているので、ウイルスはNorth American” Influenza A(H1N1)と改名されるべき

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以上参考になれば幸いです