ラベル 執筆 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 執筆 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2009/03/26

    熟練医から“日常診療のさまざまなコツ”を伝授

下記の本にて2ページだけ執筆させていただきました。

治 療 <月刊> 3月臨時増刊号 Vol.91 ……………… 南山堂 
編集:日本プライマリ・ケア学会
定価1,575円(本体1,500円 税5%)
熟練医から“日常診療のさまざまなコツ”を伝授


目次

担当分は
”院内の設備環境/ITによる情報収集と管理”のコツ
のセクションで
「莫大な情報の海でいかに有用な情報にたどり着くか」についてです。


巻頭にもありますが、依頼があったのが昨年の12月25日、本日著者提供分が届きましたので本当にスピード執筆です。

その成功の裏には
*一著者2ページだけ。複数章書いている著者もいるが実に120−130人の著者による合作。ほんの少しx莫大な人数=何らかの量/価値というウェブ進化論の主張をそのまま地で行く。厳密には少しずれるが、クラウドソーシングのような感じ。
*いっさい郵送はなし。ほとんどメール+一部fax
*包括的、網羅的であることを目指していないので、「締め切りに間に合わなければ掲載されない。それだけのことですよ」と最初から締め切りありき。(おかげで私も守れました)

といったことがあると思います。これからの執筆の一つのあり方になるのではないでしょうか。
当然執筆料、印税といったものは2ページ分。ですが。やはり自らの「経験知」を「形式値」にするナレッジマネジメントのプロセスは重要ですのでその後押しをしてくれた企画にむしろ感謝です。(これまでずっと書こうと思ってかけなかったテーマでした)

正直な所玉石混淆ではありますが、それそのものがプライマリケアが持つ「幕の内弁当」的であり、我々の仕事そのものの雑多な感じを表彰しているように思います。

逆に130近くもトピックがありますから、必ずすべての人に何らかの新しい「コツ」発見があると思います。(最近流行の言葉では「ハックス」でしょうか)

2008/12/25

    Medicina 2003 Vo.40. No12. 増刊号コ ラム 「yell for you」

深夜にサンタ役としてプレゼントのセッティングをすませたところです。

ついでに皆さんにもプレゼント、ということでもないのですが......

帰国直後ぐらいに日本の研修医の皆さんと接したり、ほかの指導医の教え方を間接的に聞いて、当時感じたことを文章にする機会を頂いたのでエッセイにしたものがあります。

もう時効と思いますのでアップしました。

無駄のない研修 – column “Yell for you” 特集「臨床研修 コアスキル」Medicina. 2003 増刊号; 40(12): 29

Evidence, Style, Community Standard – column “Yell for you” 特集「臨床研修 コアスキル」Medicina. 2003 増刊号; 40(12): 53


「無駄のない研修」

日本での期間も米国滞在中のそれを超えつつありますし、日本の方が良い所もいっぱいありますが、一般に米国の医学生、レジデントは研修といったことをかなりドライにとらえており、優秀な医師になるために通らないといけない通過儀礼、だからさっさと割り切ってsu*k up(あえてこの言葉の由来は書きません。靴をなめる、という表現と同じような意味です。)やるべきことをして早くアテンティングになってしまおう。といった雰囲気です。


あまり学習者としての権利意識、とかはなかったです。それだけ精神的に成熟しているのか。言っても無駄、とあきらめているのか。はたまた、権利そのものが既に保証されるほど制度が整備されているから、権利を勝ち取る必要がないのか。(そうは思いませんが)

下積み期間はさけては通れないもの、理不尽はつきもの、ある程度のインプットなしにアウトプットは生じない、と思うのですが.......

権利と自由は義務と責任と抱き合わせ。権利と自由を得るには義務と責任を果たす必要がある。義務と責任を果たすから権利と自由が生じる。片方だけということはあり得ない。と思っています。だけどいかに権利と自由だけを主張する人の多いことか.....

「Evidence, Style, Community Standard」
現在多くの特に教育施設ではEBMが普通に語られるようになりましたが、EBMでない場合の診療をどう取り扱うか、についてはあまりスタンスを持たない指導医も多いですし、EBMでなければ医療でない、という考えもよくないと思っています。5年も前に書きましたが、今の気持ちと照らし合わせても全く変更点はありません。当時その普遍性をうまく抽出できたからなのか、5年間日本は進歩しなかったからなのか...


Medicina 2003 Vo.40. No42. 増刊号 コラム yell for you





P.S. こんなニュース。生き延びたからよしとするか、最後のfutile careなのか....大変便利なのでなくなってほしくないのですが。なんとか維持できる収益の仕組みを作ってほしいです。個人的には年会費払ってもいいです。

Scribd、$9M調達に成功―これでオンラインPDFの共有サービスが延命

2008/10/06

    Integrated Healthcare Networkにおける家庭医療クリニックの貢献とこれからの課題

以前予告したとおり,表題のタイトルで執筆した原稿が発表になりました.

Integrated Healthcare Networkにおける家庭医療クリニックの貢献とこれからの課題
【家庭医療クリニックと病院の連携例:亀田ファミリークリニック館山】
病院 特集「病院と家庭医療」 Vol. 67 No.10 2008 October pp.897-901


まだ日本ではそれほど知られていませんが IHN(Integrated Healthcare Network),という概念があります.

そもそも徹底的に縦割りにされた(Fragemented care)米国の医療システムでそれをなくすための仕組みとして出てきたものですから,割とシームレスに医療が提供されている日本では敢えて取り立てて生江をつける概念ではないかも知れません.が日本でも縦割りの診療,医療,福祉などの連携がまずいばかりに肝心な患者さんが迷惑を被っている例も多々ありますから,日本でもIHN,ということを意図した医療の仕組みづくりしてもよいかなと思います.

そのためにプライマリケア部門は抜きにして語れない.高度専門医療を目指す,それをウリにしたい医療機関ほど,プライマリケア部門の充実が必要なことは,逆説的ではありますが,generalistとspecialistとの協働について理解のある人であるほど,自明なことだと思います.

上記雑誌の巻頭言より.

 勤務医は疲弊している.そして,勤務医のほとんどが専門医である.複数の症状を持つ1人の患者は,複数の専門科を受診する.この時から病院を来院した1人の患者は,のべ数人の患者になるのである.そして,各専門医は多くののべ患者の診察で疲弊するのである.


この視点は非常に大事である.複数の問題を抱える患者であっても1人は1人として診療する.家庭医は1回の診療で平均3-4個の問題を扱う.だから病院の中にgeneralistがいるだけでも,延べ外来患者数は3-4分の1になる可能性を秘めている.その分病院の収入が減ってしまうところが大きな問題.米国はそのvisitのcomplexity(複雑度)によって,初診料も再診料も数段階に分けられている.