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2009/06/23

    家庭医に必要な手技 (advanced編)

以前のエントリー
2008/05/12 家庭医に必要な手技,手技の能力の評価と記録,hospitalistに必要な能力
で取り上げた論文

Required Procedural Training in Family Medicine Residency: A Consensus Statement

Melissa Nothnagle, Julia M. Sicilia, Stuart Forman, Jeremy Fish, William Ellert, Roberta Gebhard, Barbara F. Kelly, John L. Pfenninger, Michael Tuggy, Wm. MacMillan Rodney, STFM Group on Hospital Medicine and Procedural Training

(Fam Med 2008;40(4):248-52.)


の続編(update)が今月号のFamily Medicine誌で取り上げられている。

Advanced Procedural Training in Family Medicine: A Group Consensus Statement
Barbara F. Kelly, Julia M. Sicilia, Stuart Forman, William Ellert, Melissa Nothnagle
Fam Med 2009;41(6):398-404


一応前回の論文で規定されたcore proceduresがSTFM,AAFPに承認され、RRCに今後の改訂の際に参考にするように提出された後、特に手技の教育を多くするプログラムや、レジデンシー修了後にやる手技としてのadvanced procedureのリストが必要、という話になった。ついでに前回のcore proceduresのリストについても見直しましょうということに。そのやり方は前回の時と同様。

カテゴリー分けも前回と同様であるが、Bカテゴリーの定義を微妙に変更(以下変更を含めた再掲。変更部太字)

領域毎に,core procedures for family medicineとして
A,B,Cにランキング AをA0-A2に細分化 

A:すべての家庭医療研修プログラムがこの領域の手技の研修を提供する必要がある
A0:このレベルは,すべてのレジデントが医学部修了,もしくはレジデンシーの途中で出来るようにならなければならない,研修の証明や数の記録は不要
A1:全てのレジデントがこのレベルの手技が卒業までには独立して出来るようにならなければならない
A2:全てのレジデントがこのレベルの手技にふれ,卒業までには独立して出来るようになるための研修する機会を得られる必要がある.(必ずしも出来るようにならなくても良い)
B:このレベルは家庭医療の範囲内であるが,レジデンシー修了までに独立して出来るようになるためには数多く,集中した研修をする必要が生じうるもの
C: このレベルは家庭医療の範囲内であるが,独立して出来るようになるためには3年を修了後追加の研修が必要になり得るもの


再度procedureの定義「患者のケアに関して、手先を利用して行う必要のある、認知的、かつ運動的活動」ということに基づいて、やはり多少判断を伴う心電図なども入れましょうと言うことになった。

結果core listには9個追加が生じ、advanced listとして(2008年の論文ではあげられていなかったが)B,Cのカテゴリーに属するスキル36種類規定されることになった。(今回のtable 2と3)
この先、何を持ってそのスキルは"competent"とするかにおいて議論がさらに必要であるが(もちろん実施回数ではないことは確か)、まずはリストが設定されたことが重要であろう。

日本のプログラムにおいてもこれらを参考にしながら、自分たちのプログラムでレジデントがきちんと出来るかどうかを保証しているかどうか、保証する必要があるかを考えるきっかけとすることが出来る。

ちなみに我が社(私たちのプログラム)では、2008年にその手技を規定、去年試験運用をして、今年から本格運用をしています。まだ改善の余地はありますが、「あなたのプログラムで認証が必要な手技は難ですか」といわれたら提出できるリストがあります。(厳密には手技以外も含んでいるのですが)

前回のリストも今回のリストも部会(STFM Group on Hospital Medicine and Procedural Training)の中から20人前後のメンバーがこれだけのために丸2日間集まってやったというのがみそ。

しかもそれぞれの部会は参加が自由な(日本人のあなたも私も希望すれば入れる)ところがみそ。執行部と理事会だけでやろうとしないことが重要、そのためには裾野(会員数)が広くないと駄目。そのためには入会の魅力が必要。

どんどん進めていかないと。(言うのは簡単であるが。。。)

2009/04/08

    E=MC3 (教育のレシピ)

E=MC3(3は右上にべき乗として)

MC2の間違いではないE=MC2はご存じの通りアインシュタインのエネルギーは質量と光速の2乗に比例する,というやつ.

E=MC3はこちら

教育(E)の成功はMと3つのCによる.
M: Motivation(動機づけ)
C: Communication(コミュニケーション)
C: Collaboration(共働)
C: Curriculum (カリキュラム)

何ともすばらしい公式ではないか.
指導医が含まれていないところがミソ

P.S.同様の取り組みは以下のnew mathで.
新ジャンル?!くすっと笑える数式のアート『NEW MATH』by 百式

サイト確認のためにチェックしたら最初に出てきたのが
April= March + Optimism
でした.そういえば誕生日.そしてアラフォー..orz

2009/01/23

    Difficult Teaching Encounter

一般にdifficult patientと呼ばれることが多いですが、当事者である時点で自分自身も問題の一部ですから、患者さんが問題とは限りません。組み合わせが単に悪い場合などもありますから、difficult patient encounterというのがPC(politically correct)。

同様に、「あの研修医は扱いにくい」と感じたときに、問題は研修医ではないのかもしれません。そういう意味で、difficult learnerとは呼ばず、Difficult Teaching Encounter(DTE)と呼ぶことを提案しています。



当時から実施していたDTEについてのWSをもとに、

上記の本にDTEのテーマで、章を書かせていただきましたが、その後HANDSのセッションで当時のfellowのN氏に以下の論文

Dean A. Seehusen et al. Teaching the Outstanding Medical Learner. Fam Med 2006;38(10):731-5.
http://www.stfm.org/fmhub/fm2006/November/Dean731.pdf

を指摘され、その後は、それをふまえて、アルゴリズムを書き直し、WSを実施しています。

そのWSの資料を公開。

Difficult Teaching Encounter (この資料のアルゴリズムが最も最新です)
Difficult Teaching Encounter

2008/04/16

    広大な海に恋い焦がれることを教えよ

2008年04月15日 学習する理由が、外的な理由である間は、プロフェッションではない 医学教育でのひとりごと

を読んでいて、以前から時々引用する言葉をふっと思い出した。
星の王子様の作者サンテグジュペリのことば。

If you want to build a ship, don't drum up people to collect wood and don't assign them tasks and work, but rather teach them to long for the endless immensity of the sea.

Antoine-Marie-Roger de Saint-Exupery

船を造りたければ、木を集めるために太鼓を鳴らして人を集めたり、仕事を割り当てたりするのではない。むしろただおわりなき広大な海に恋い焦がれることを教えよ。


いわゆる「背中を見せる」教育です。ただし、背中を見せる教育は「見せるべき背中」を見せなければならないということ。
自らが今の仕事を愛しているか。それがなければ弟子が仕事を愛することは難しい。

今医者いじめや社会的状況が医師が情熱を持って仕事をするのが困難な状況にしています。誰の責任ということではなく、悪循環をどこかで断ち切る必要があります。

http://www.blogger.com/img/gl.link.gif
website stats

2008/04/02

    完全な指示を出すための7つの要素

自分の意見はほとんどありませんが。。
人が多くなるにつれて、熱意、やる気、根性、といった精神論だけではうまく行かないことが増えてきている。また、これまで数日かかって教えていたことをもっと短時間でとりあえずの形にする必要性が高まっている。



  1. 仕事の目的(より高いレベルの目標)

  2. 仕事の目標(望ましい結果のイメージ)

  3. 計画の一連の手順

  4. 計画の論理的根拠

  5. 行うべき重要な決定

  6. 反目標(望ましくない結果)

  7. 制約及びその他の注意点


完全な指示を出すための7つの要素 - *ListFreak




最も丁寧なリスト、という事で、すべての指示にこの項目すべての必要はないでしょうが、一度検証してみるのに良いリストといえるでしょう。
反目標(望ましくない結果)というのが重要だそうです(道を説明するのに、XXが見えたら行き過ぎとか、OOをしないように気をつけながらとか)

以下の本にこういったリストがまとめられています。


リストのチカラ [仕事と人生のレベルを劇的に上げる技術]
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  • おすすめ度 4.5

2007/12/18

    今更留学記 Family medicine (blog紹介)

こちらも匿名ですが分かる人には分かるでしょう.(こちらも顔写真がでています)
去年HANDS-FDFに非常に積極的に参加して下さりました.結構人見知りするのでしょうか.ずっと前から彼のことは知っていたのですが,HANDS参加までは話をすることがありませんでした.
今年は自分自身の筆無精のために,多大な迷惑をかけてしまっています.米国留学がうまくいけばいいのですが.
結構おもしろいblogでつい読みいってしまいます.
彼も今後ずっと一緒に仕事をしていきたい人の一人です.

自分の現在の仕事が「日本で,日本語で家庭医を育てる」ということで,それが可能である,ということを証明するために頑張っているので,未だ絶えることない米国家庭医療留学挑戦者の皆さんには,よく知っている人たちということもあり,いつも複雑な心境なのです.

最終的に日本で家庭医療が広く認知され,家庭医の活躍の場が増えればよい,というのがbottom lineなので,それで良いのですが,現在の立場上「家庭医になるには米国へ行った方がよい」と公言することは利益相反になるので,いつもこの質問には返答に困っています.正直に利益相反の話をして,教育には良い悪い,というより合う合わないがあるので,自分が最も納得のいく道をたどれば良いよ.という返事をしています.これは本音です.

有名な教育者の言葉に「無限の時間と資源を与えられれば,全ての人が目標に達成できる」というのがあり,まさにその通りなのですが,時間や資源は有限なのが現実.そこで様々な取捨選択をしなければならないのが胸の痛みどころ.

2007/07/31

    Family Medicine Volume 39 Issue 7 July-August 2007

Family Medicine Volume 39 Issue 7 July-August 2007
http://www.stfm.org/fmhub/fm2007/toc.cfm?xmlFileName=fammedvol39issue7.xml

Award-winning Research Papers From the 2006 AAFP Annual Scientific Assembly

Face Protection in Recreational Hockey Players
Scott E. Woods, Eric Zabat, Matt Daggy, John Diehl, Amy Engel, Richard Okragly

Views of Primary Care Providers on Follow-up Care of Cancer Patients
Mary Jo Nissen, Mary Sue Beran, Martin W. Lee, Shubha R. Mehta, Donald A. Pine, Karen K. Swenson

優秀研究賞を受賞した研究2編。着眼点がやはり重要かと

Medical Student Education

Does a Research Requirement Affect Match Rates for Family Medicine Residency Programs?
Peter J. Carek, Terrence E. Steyer, Lori Dickerson

プログラムのカリキュラムに研究が必須かどうかとマッチングの空席率との関係は無い


Residency Education

Experience With an Optional 4-year Residency: The University of Arizona Family Medicine Residency
Patricia Lebensohn, Doug Campos-Outcalt, Janet Senf, Perry A. Pugno

レジデンシーを4年制にするとどうやら全国的な人気低下にもかかわらず、応募が減らないようである。

Resident Knowledge Acquisition During a Block Conference Series
Robin O. Winter, Anne Picciano, Bruce Birnberg, Mark Chae, Sung Chae, Maryann Jacks, John Metz, Charlene Milne

いわゆる時間を確保したレクチャーではレジデントの知識保持は短期的には10ポイント高いが、長期的(1週間から6ヶ月)には差が無い。講義よりももっと、臨床経験を最大化するほうが学習効果が高いのではないか。
ただしレジデント3年目のみ、短期スコアと長期スコアに有意差がなく、長期的に記憶を保持できる。(臨床経験があるために有機的に結び付けて記憶しやすいからか)

Faculty Development
Insights From Practice-based Researchers to Develop Family Medicine Faculty as Scholars
Linda M. Roth, Anne Victoria Neale, Kambria Kennedy, Mark J. DeHaven

指導医に必要な臨床に根ざした研究を実施するために必要な能力は何か。文献の質的レビュー


President's Column
Strengthen the Core and Stimulate Progress: Assembling Patient-centered Medical Homes
John C. Rogers

AAFP,AAP,ACP,AOAがpatient centered medical homeについてjoint principle statementを提示(2007)
そもそもAAP(米国小児科学会)が1967年に、カルテを1箇所にという概念で提唱、2002年により広い概念でのmedical homeを提唱。2004年には米国家庭医療学会が、personal medical homeの概念をAAPの承認とともに提唱、ACPはadvanced medical homeという概念を2006年に提唱の経緯で、今回の発表にいたる。内科、小児科、家庭医が同じ方向を向いて、何かに合意するというのは非常に重要なこと。日本も見習いたい。必読。