2008/11/25

    Google RSS reader 自動翻訳

またgoogleの話になってしまうが.
RSS リーダーで医学情報のwatchをやっているけれど「やっぱり英語では朝のコーヒー飲みながら,というわけにはいかない」という人に.

Googleリーダーに自動翻訳機能が追加、海外RSSを日本語で読める

Google Readerに自動翻訳機能,英語や中国語のRSSフィードを日本語で閲覧可能に

是非おためしアレ

僕は全部は必要ないけれど,英語のせいで読むのを後回しにしている長い長いblogだけ自動翻訳にしました.

2008/11/14

    「肺年齢」で禁煙率2倍

知っていますか「肺年齢」

肺年齢そのものの概念は1985年に提唱されていたらしい.
最近注目度が上がって生きている印象です.「1秒量(FEV1)」と「努力肺活量(FVC)」の数値があれば計算が出来ます.

ここ.

何故,僕が注目するようになったか.肺年齢を知らせるだけで禁煙率が倍になるからです.


Parkes G, Greenhalgh T, Griffin M, Dent R. Effect on smoking quit rate of telling patients their lung age: the Step2quit randomised controlled trial. BMJ. 2008 Mar 15;336(7644):598-600.

OBJECTIVE: To evaluate the impact of telling patients their estimated spirometric lung age as an incentive to quit smoking. DESIGN: Randomised controlled trial. SETTING: Five general practices in Hertfordshire, England. PARTICIPANTS: 561 current smokers aged over 35. INTERVENTION: All participants were offered spirometric assessment of lung function. Participants in intervention group received their results in terms of "lung age" (the age of the average healthy individual who would perform similar to them on spirometry). Those in the control group received a raw figure for forced expiratory volume at one second (FEV1). Both groups were advised to quit and offered referral to local NHS smoking cessation services. MAIN OUTCOME MEASURES: The primary outcome measure was verified cessation of smoking by salivary cotinine testing 12 months after recruitment. Secondary outcomes were reported changes in daily consumption of cigarettes and identification of new diagnoses of chronic obstructive lung disease. RESULTS: Follow-up was 89%. Independently verified quit rates at 12 months in the intervention and control groups, respectively, were 13.6% and 6.4% (difference 7.2%, P=0.005, 95% confidence interval 2.2% to 12.1%; number needed to treat 14). People with worse spirometric lung age were no more likely to have quit than those with normal lung age in either group. Cost per successful quitter was estimated at 280 pounds sterling (366 euros, $556). A new diagnosis of obstructive lung disease was made in 17% in the intervention group and 14% in the control group; a total of 16% (89/561) of participants. CONCLUSION: Telling smokers their lung age significantly improves the likelihood of them quitting smoking, but the mechanism by which this intervention achieves its effect is unclear. TRIAL REGISTRATION: National Research Register N0096173751.


こちらで要点をまとめてくれているのでそこから抜粋.

英国の5つのGPの診療所でリクルートした35歳以上の喫煙者561名
全員に呼吸機能検査を実施,
ランダム化して,片方にはFEV1(1秒量)の生の数字(対照群)を,一方にはそこから計算される「肺年齢」を告げ(介入群),療法共に禁煙外来を紹介.
プライマリアウトカム:1年後の禁煙率測定(唾液のコチニン濃度で確認)
2次アウトカム:報告による喫煙量.新たなCOPDの診断


結果
1年後の禁煙率 13.6% (介入群)vs 6.4% (difference 7.2%, P=0.005, 95% confidence interval 2.2% to 12.1%; number needed to treat 14)
新たなCOPDの診断  17%(介入群) vs 14%

肺年齢が酷い方が止める確率が高いが,肺年齢に以上がない人達に限っても,肺年齢を告げられた方が止める率が高い

1名の禁煙成功者に約 366 euros, $556 

補足 
ベースラインデータ
平均1秒量率 FEV1%=74%
殆どは禁煙に関して準備期になかった
肺機能異常者の割合 23.5% vs 26.8% (介入群)

-------------------------
TPOV(teaching point of view/take home message)
肺年齢を追加するだけで禁煙率が上がる
それでも禁煙の成功率は14%程度
新たなCOPDの診断が1年で10%台

補足:研究者の一人Greenhalgh Tは英国では超高名な家庭医.さすがの研究内容だと思います.

肺年齢のサイトは有用なブックマーク集>「予防,健康維持」>「リスク計算」に入れてあります.

2008/11/13

    インフルエンザ流行のサーベイランスシステム(Google flu trends)

またしてもGoogle.すごいというか,アイデアがすごい.

11/11日発表.


Explore flu trends across the U.S.

流行予測ではなく,実際の流行状況をいち早く集約するシステム.従来のCDCのシステムより2週間早く情報が得られるとのこと.

別にgoogleが感染症事業に乗り出したわけではなく,あくまでgoogleは検索という横軸で全ての物事を考える.これまでの医療からのアイデアは定点観測や実際の届け出症例数などから流行を把握するのだが,全く違う視点から,その時期にどれだけのインフルエンザに関しての検索がなされるかを追いかけることで,流行を把握するということ.

仕組みは,

How does this work?

に.

検索する人が必ずしもインフルエンザとは限らない,という反論は当然織り込み済みで,それでも,一定の検索内容(ここのレシピは企業秘密のようだが,単なる「インフルエンザ」の検索ではなく,「流行」「治療」など何らかの組み合わせの検索の頻度を見るのだろう.単に「these search queries」としかか表現されていない)からその地域ごとのトレンドを見るとCDCの従来の報告とマッチするとのこと.

Of course, not every person who searches for "flu" is actually sick, but a pattern emerges when all the flu-related search queries from each state and region are added together. We compared our query counts with data from a surveillance system managed by the U.S. Centers for Disease Control and Prevention (CDC) and discovered that some search queries tend to be popular exactly when flu season is happening. By counting how often we see these search queries, we can estimate how much flu is circulating in various regions of the United States.


実際に上記のリンクでの過去のCDCとのデータとのマッチ(実際の%には少しずれがあるが,流行の立ち上がり時期,終息時期などは良くマッチしている)しているグラフが過去5年にわたって示され,この方法論はNatureにもacceptされた,とのこと.(方法論をもっと詳しく知りたい人は論文の下書きを見ることが出来ます)CDCの報告は実際の流行から1-2週遅れるが,googleはほぼリアルタイムとのこと.

なんと言ってもこのアイデアがすごいと思います.

注意点としては

このサービスが公開になったのはつい先日なので,今年のシーズンで一致するかどうか,最初の検証(validation phase).
州毎の流行データはこれまでCDCでは公表されていなかったようで,google flu trendsがこれから実施する州毎の流行報告は検証する対照がない(gold standard)
ILI%と形で報告される(医師への総受診数におけるInfluenza like illnessの割合)ので,実際のinfluenzaがどのぐらいかは分からない.

といったあたりでしょうか

コンセプトは流用できるので日本でも是非やっていただきたいところです.(但し日本人の検索行動が米国人と同じかは検証が必要)

また 生データをCSVファイルにてダウンロードも出来るので2次研究にも使えます(open source)

前書きのところで少し触れられていますが,花粉症トレンドや日焼けトレンドなどにも応用されることになるのでしょうか.

知恵とテクノロジーは人のしあわせのために..

2008/11/04

    第4回日本プライマリ・ケア学会秋季実践セミナー

表題のセミナーに講師として参加.

何と3時間のワークショップを2つも依頼されておりました.6時間です.あんまりプレッシャーではなくなったのは,麻痺したからか,慣れたからか.とびとびにしても計9日間のコースデザインと実施をしたり,16時間のコースをデザインしたりという経験,果ては後期研修医を育てる3年間のコースデザインももう5年以上やっているわけですから.
教育をやっている人は,よく分かっていることですが,実は与えられた時間が短いほうが,準備する方は大変なのです.

与えられた時間が短いほど準備には時間をかけよ.


は岡田の教育ルールの一つ.

まあ,1人でやらなくなったから,任せられる人がたくさんいるからそれほどプレッシャーでないという部分が大きいのでしょう.

第4回日本プライマリ・ケア学会秋季実践セミナー
東京都医師会館


講師名は敬称略

11月2日(日) 
ワークショップ8 「診療の質向上」 講師:岡田唯男、田頭弘子
11月3日(月・祝)
ワークショップ12 「産婦人科診療」 講師:岡田唯男、鈴木真

この数年間の自分のテーマはコラボレーション.1+1をどうやったら3や10に出来るか,ということ.
相手には迷惑をかけるけれど意図的に他分野も含め,いろいろな人と一緒に仕事が出来る機会を作っている.


ワークショップ8 「診療の質向上」 昨年初めてやったWSの反省をふまえてのバージョンアップ.英国で医療マネジメントを学んだ友人とのWS.50名の定員がほぼ満員.去年よりも参加者の問題意識も高く,ワークもポイントを突いている.
久しぶりに会う友人との仕事は,最後にあってからその人がどんなことを学び,どんなことを考えて来たのかを知る貴重な時間.そして,友人から教わるまなびの時間.

来年へむけてファシリテータをもうひとりぐらい欲しいという,担当の委員の先生からのリクエスト.
それ以外は概ね良かったと思います.
前半の講義の時間をいかに短くするかが課題.
そこで紹介した本.病院の例ですが,QI:Quality Indicatorの例がたくさん挙げてあります.



ワークショップ12 「産婦人科診療」 講師:岡田唯男、鈴木真

いやあ,コレは緊張しました.ふだんから連携をしている後方病院の周産期センター長とのコラボ.
プライマリケア学会がテーマとしてこのタイトルを挙げてくれたことは大変意味のあることと思っています.
参加者は20名弱でしたが,きめの細かい3時間,あっという間の3時間でした.
準備の段階で鈴木先生と相談,産婦人科医としては非産婦人科医にとって,どのような産婦人科診療のニーズがあるかはサッパリ分からない.これは,私のような女性,妊婦のケアを普通にやっている家庭医にとっても同じ.
こういった非産婦人科医向けの産婦人科領域のセッションはあまりなかったので,まず,ニーズ調査をしましょう,ということで,最初にみなさんから,不断困っていることを出して貰い,投票により優先順位付け,時間いっぱいまで順番に潰していく,という方法を採りました.
一番はやはり妊娠,授乳と薬.一般論のお話,参考にすべきサイト,本の紹介から,結局喘息だの何だのと疾患各論にまで渡ったので,それぞれの妊娠との関連を話したため,このトピックだけで1時間は費やしたのではないでしょうか.全てではないですが紹介した本を挙げておきます.







あとは,更年期,偶然子宮筋腫を見つけたら,血圧の管理などなど,私が思っている以上にやはり,かかりつけの医師は領域を問わない相談を受けるのだと再認識しました.私からは葉酸,ワクチン,母乳サポートなどの話をしました.

次回またあるとすると,少し今度はテーマを絞ってやるという事でしょうか.「妊娠と薬」「更年期」など.

何がうれしいって,家庭医と産婦人科医が一緒になって講師をする.一緒になってお互い出来ることは支え合っていきましょう,というメッセージが伝えられる.その先駆的なロールモデルとなれることでしょうか.

まだ領域審判と考える人も多いですが,そもそも体を部分に分けることは不可能なこと.ワンストップ(プライマリケア)で全て用が足りるならそれほど患者さんにとって都合の良いことはない.
大事なのは質の妥協をしないこと.

今週末は家庭医療学会のセミナー講師.またコラボです.今度はビジネス理論.
減らすつもりが今年も結局23件の講演,講師,座長など.

なぜか懲りませんね.やっぱり好きなんでしょうね,この仕事.

2008/10/28

    平成20年度 第2回 家庭医療後期研修プログラム指導医養成のためのワークショップ 参考図書

表題のWSの資料を upしましたのでリンクを貼り付けておきます.(10/28/2008)

scribd

以下10/26/2008エントリー分

本日行なわれました平成20年度 第2回 家庭医療後期研修プログラム指導医養成のためのワークショップ での私のセッション、

WS 「働き続けたくなる職場づくり」
医師の継続的な勤務をどう維持するか
モチーベーション・マネジメントを中心に


を組み立てる際に参考にした本を挙げておきます

参考図書

人をあきらめない組織―育てる仕組みと育つ現場のつくり方
インスティテュート / 日本能率協会マネジメントセンター ( 2007-03 ) /アマゾンおすすめ度









ご参考まで

2008/10/27

    医療経営最新ニュース

東日本税理士法人の公認会計士,長 英一郎氏のブログ,「医療経営最新ニュース」で,最近の執筆(「病院」誌 Integrated Healthcare Networkにおける家庭医療クリニックの貢献とこれからの課題)についての感想を頂きました.

2008年10月24日 病院と家庭医療

別に長氏にお願いしたわけでも,執筆を紹介したわけでもないのでやらせではありません.
紙面で私が伝えたかったことのエッセンスを抜粋して引用の上、的確なコメントを頂きました.

長様大変有り難うございました.





 

2008/10/22

    日本家庭医療学会認定 家庭医療専門医試験について

本日付の学会のHP公表より

日本家庭医療学会認定 家庭医療専門医試験について
学会認定後期研修プログラムのプログラム責任者および第1期研修医の皆様へ


一部抜粋

試験の日時は、平成21年7月19日・20日(予定)、場所は東京の慈恵会医科大学の予定です。評価の方法は、今後3学会にて企画されますが、現段階では、現在、日本プライマリ・ケア学会が行っているModified Essay Questionによるペーパー試験とObjective Structured Clinical Examination(OSCE)による実技試験の2つによって行われる予定です。さらに、日本家庭医療学会では、事前に家庭医療に関する数件のポートフォリオを提出していただき、これによっても評価をする予定です。ポートフォリオの書式などは、理事会にて合意が得られ次第、ホームページからダウンロードできるようにする予定です。これらの評価にて、基準以上の成績を収められた研修医には、日本家庭医療学会認定・家庭医療専門医の認定をさせていただきます


なお、再来年の関連3学会の合併によって内容に多少の変更がある可能性がありますが、その認定は3学会の合併後も認められる予定です。



皆様準備の期間は十分あります.

2008/10/21

    水痘の子が来て妊婦検診

風が吹けば桶屋が儲かる的かもしれない.

先日,普段は慢性疾患で通院中の7才の子が予約外で来院.予診票に「発疹」と.予診にいったスタッフが「水痘です」と.piece of cake.

診察しても,まったくその通り.

治療方針,予後の展望,登校基準などお話しして,一般の小児を診る医師はここで恐らく終わり.

第1段階(comprehensive care/immunization)

予防接種の記録を確認.ムンプスまだでしたね.ムンプスは案内が来ないけど是非うっといてくださいね.

第2段階(postexposure prophylaxis)

家族に兄弟,小さなお子さん,水痘まだの可能性の人はいませんか?

なぜこの質問をするか・postexposure prophylaxisがある程度有効だからだ.自費だけど.

するとつれてきたお母さん(38才)が
「私多分まだかもしれません」

緊急予防接種のお話し.100%予防するわけではないので,費用と天秤にかけて.2週間(潜伏期)のあと発疹が出てきたらすぐ来て,治療する方法もあります(成人は重症化するので).でも女性なので跡が残るかも.今日打たない場合は,2週間しても発疹が出なければそこで予防接種を.

でも妊娠の可能性は大丈夫?

「そろそろ2人目をと思っているので.なかなかできないんですけど」

第3段階(妊娠のアドバイス)
妊娠するタイミングは知っていますか?

「xx日周期で...」
最近手に入れたiPod Touch(第2世代)に入れてある,Menstrual Calendar
を取り出して,最終月経を聞いて,
今月はxxにちからxx日まで.来月は...と説明.その期間は1日おきにトライを.

第4段階(preconceptional care)
ところで「葉酸」って聞いたことありますか?

妊娠を考えているなら,と一通りの説明.後でパンフレット持ってこさせます.

第5段階(full basket of service)
よろしければうちでも妊婦検診やってますので,妊娠したらうちで診させてください.

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結局緊急予防接種をやることになり,妊娠は少し先延ばしにして頂くことになったが,恐らく,感染症診療に精通した医師で第2段階まで,女性の診療に精通した医師で(勿論子どもも診る医師で)第3と第4段階まで,自分自身で妊婦検診を実施している医師で第5段階まで行けるのだろう.

主訴だけに対応するreactiveな医療ではなく,proactiveな医療を.というのはもうずいぶん言われているが,本当に幅広い視点と知識がないと(あとは時間も必要),水痘の子どもが来て妊婦検診を勧めるという事にはならないと思う.


case gradually unfolds....(よく使われる表現)


表面的な主訴と違うところに沢山の介入の余地があったり,本当の受診理由,患者さんの深い悩みがあったり,最初にこうだろう,と考えたことと,終わりの形が違う.この不確実性が魅力とやりがい.

これだから家庭医の仕事は辞められない.