2008/06/16

    研修を終え現場に出るレジデント達への十戒

古典(Classic)を読むことは非常に大切である.

日本では余り知られていないが,1982にまとめられたG.Gayle Stephensの1965年から1980年までの23編の著作集”The Intellectual Basis of Family Practice”は米国の初期家庭医療を形作る基盤となった思考である.
先日このオリジナルを手に入れる機会に恵まれ,少しずつ目を通している.
その巻末に,"A Decalogue For Family Practice Residents Entering Practice(研修を終え現場に出るレジデント達への十戒)"と題された付録A .1979年 サウスキャロライナ大学の家庭医療講座での講演の一部ということでたった1ページなのだが,ここに挙げておきたい.(日本語訳と訳者注は私)

A Decalogue For Family Practice Residents Entering Practice
研修を終え現場に出るレジデント達への十戒

*Don't give up the reform ethos. Keep on the side of responsible change in education , practice, and social justice.
改革の気風をあきらめるな.教育,臨床,そして社会正義に置いて責任を持った変化の一端を担い続けよ.

*Don't lose faith in the power of relationship and the therapeutic use of self.(Or, don't hire anybody to save you from spending time with patients.)
医師患者関係の力と,治療としての医師自身への信念を捨てる事なかれ.(つまり,患者さんと過ごす時間を節約するために誰かを雇うようなことはするな)

*Don't turn your practice into a mere business. It may not be less, and it should be a great deal more.
診療を単なるビジネスにしてしまうな.それ以下では当然ダメだが,それよりもずっとずっと崇高なものでなければならない.

*Learn to distinguish between uncertainty and ignorance; only the latter is remediable and potentially culpable.
不確実なものと無知(無視)の区別がつけられるようになりなさい.後者だけが修正可能で,場合によっては有罪となる.(無知や無視のせいではない本当に不確実なものはどうしようもないが.勉強不足によるものは許されない)

*Find some way to practice charity; i.e., willingly give a part of your services consistently to those who cannot pay.
慈善を実践する何らかの方法を見つけよ.あなたの能力を継続的に,弱き者に喜んで提供しなさい.

*Try to see that the groups in which you hold membership are at least as moral as you are.
あなたが所属する集団のメンバーは少なくともあなたと同じぐらい倫理的であると常に考えるようにせよ.

*Humanize and personalize the microsystems in which you work.
あなたが働くマイクロシステム(通常は診療所や診療環境のこと)を出来る限り人間的で,個人的なものにせよ.(無機質で殺風景なものでなく)

*Act at all times as if the patient is fully autonomous; the weaker the patient is , the more vulnerable you are to violating his/her personhood.
患者は常に自己決定権を持つものとして振る舞え.患者が弱ければ弱いほど,あなたはその人の人間の尊厳を簡単に破壊しやすい状況になる.

*Reflect on your professional experiences. Within the bounds of protecting patients' privacy, think, talk, and write about your clinical stories.
自分のプロとしての経験を振り返りなさい.患者のプライバシーを尊重した上で,臨床の様々な物語について,よく考え,よく話し,書きなさい.

*Worry less about patients becoming overly dependent on you than about your becoming undependable.
患者があなたに必要以上に依存することを心配するよりは,あなたが頼りがいが無くなる・あなたに頼れなくなることを心配しなさい.


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ほぼ30年前の言葉だが現在の北米家庭医療がその流れをくんでいること,今改めて重要と考えられていることがそのときに既に重要視されていることなど驚く.
振り返りreflectionの重要性は言うまでもない.FFM(future of family medicine)Projectでは家庭の才能の一つとして"humanizing medical experience"というのがあるが,ここに源流を発するのではないか.
耳の痛い話も多い.

Gayle Stephensは米国家庭医療の基礎を作った重要な一人とされている.Keystone conferenceについては知る人もいると思うが,そのI, IIについての発起人.IIIでは発起人4人"the quartet"の一人.
Keystoneについては次を.

KEYSTONE III アメリカ家庭医療学の自己再発見への旅

以前から自分のteachingの中で,”歴史家としての家庭医”ということを時々話してきたが,出展については不明だった."The Intellectual Basis of Family Practice"の第14章が"The Clinician as Historian"と題されている.彼が言い出しっぺだった.

この本をざっと眺めてみると,今我々generalistが大切にしていることが殆ど書かれている.
医学が進化していないのか.generalismが進化していないのか,それとも,あまりに本質的なので,30年の時代を超えて変わらないのか.

The Intellectual Basis of Family Practice
  • 発売元: Society of Teachers of Family
  • 発売日: 1982/06

    学会賞受賞演題スライド,読み原稿,審査基準

過去の栄光にすがるつもりはありません.皆さんに乗り越えてもらうのが目的です.

日本家庭医療学会 学会賞 受賞!

共同研究者全員の許可が得られましたので,スライドと読み原稿をアップしておきます.当日は6分発表4分質疑応答のところ,リハーサルでは7分ちょっとだったのが,8分をオーバーしています.読み原稿は改善の余地有りです.

審査基準については,学会賞受賞の発表の場で公開していたので,問題ないと思います.以下の9点です.

-先行研究のレビュー (0, 25, 50, 75, 100)
-研究方法の適切さ (0, 25, 50, 75, 100) 
-考察の論旨 (0, 25, 50, 75, 100)
-オーラルプレゼンテーション (0, 25, 50, 75, 100)
-スライド・AV機器の効果的利用 (0, 25, 50, 75, 100)
-家庭医療との関連性 (0, 25, 50, 75, 100)
-発展性のある研究 (0, 25, 50, 75, 100)
-研究全体の印象 (0, 25, 50, 75, 100)

(     )/800 +「倫理的配慮」(あり、なし)

我々の演題を含め,それぞれの発表が何点だったかは公表されていません.

以前のエントリーでも書きましたが,学会としてはより質の高い研究が出てくることを願って,学術集会や学会賞などを設ける訳なので,最初から判断基準を開示して,最低限の形式を整えるのは大前提として,そこからどうやって他者に差をつけるか,で切磋琢磨できる方が良いのではないでしょうか.また得点についても公表しなくとも,それぞれの発表者にはフィードバックをかけるとよいと思います.学会賞を決める為の総括的評価であると同時にそれぞれに対しての形成的評価になったほうがよい,ということです.

効果的な学会抄録の書き方


メインとなったこちらでも,話題として取り上げています.

2008年06月08日
第23会日本家庭医療学会 学会賞受賞!



2008年 6月 4日 第3回 日本家庭医療学会 学会賞 受賞演題 於:第23回 日本家庭医療学会 学術集会 2008年5月31日、東京 医学生は家庭医療コース参加の結果 どのように変わるのか?              川崎市立多摩病院 麦谷 歩 武者 幸樹子 喜瀬 守人 亀谷 学 岡田 唯男   鉄蕉会 亀田ファミリークリニック館山 0川崎市立多摩病院の麦谷歩と申します。よろしくお願いいたします。「医 学生が家庭医療講義を受けて、どのように変わるのか」というテーマで発表 させていただきます。 2008年 6月 4日 背景:日本のプライマリ・ケア卒前教育(先行研究)  【全国70の医学校でのプライマリ・ケアプログラム】            PC講義     42%            地域医療実習 65%      PC教育は現状で十分であると思う 1割未満 日本でのプライマリ・ケア卒前教育は不十分と認識されている (高屋敷明由美他:プライマリ・ケアに関する卒前医学教育カリキュラムの現状.  医学教育. 2003,34(4):215-222) 1 1背景 この先行研究では、 プライマリケアの講義を導入している大学は42%、地 域医療実習を導入している大学は65%ありましたが、その内容が学生にと って十分であると考えている担当者は1割に満たず、多くの医学校がまだプラ イマリケア教育が足りないと認識していました。 2008年 6月 4日 背景:先行研究 • 卒前の家庭医療講義の評価を行っている研究は少ない 対象学年 佐藤他 (2003) 柴田他 (1999) 橋本他 (1987) 鈴木他 (1996) 松村他 (1997) Laura E 他 (2003) 5 介入 開業医実習(3日間) 方法 前後のフォーカ スグループ アンケート アウトカム 開業医の イメージ 開業医の イメージ なし 結果 イメージの変化, 開業医が行 う医療に理解 イメージが変化したと回答 6 講義, 開業医実習 講義(1日), 開業医 実習(2‐7日間) 開業医実習(3日間) 2,3,4 報告書 開業医の医療に理解 4,5 学生時実習 した研修医 報告書 なし 開業医の医療に理解 医の倫理,家庭医機能を学ん だ,進路に影響 開業医実習 アンケート なし FPに興味の ある学生 FP主導の講義,実 習,WS,SGDなど アンケート FPに対する認識は,FP主導で ないものと変化なし 2 2背景 また、家庭医療やプライマリケアの講義や実習の報告はいくつかありますが 、海外を含めその評価を行っている研究は少なく、特に講義の評価を行って いるものはほとんど見当たりませんでした。 2008年 6月 4日 方法 【対象】 ‘07年に選択科目「家庭医療」を受講した第4学年10名 【介入】 60分の講義12回(概要後述) 【比較対象】 介入前 【方法】 質問紙法によるmixed method       学生の評価には影響しないこと、匿名性の保持を明示 【アウトカム】  ① 家庭医療、プライマリ・ケア、総合診療に対してのイメージ  ② 症例5件について関わるべき専門医の列挙(設問後述) 【分析】  ① イメージの変化 → 質的  ② 家庭医の診療範囲、能力の理解の変化   →家庭医を含むべきと考えた学生の増加 (McNemar test)   →必要と考えた専門分野の数の平均値 (paired-t test) 【倫理的配慮】    聖マリアンナ医科大学生命倫理委員会 承認番号 第1386号 3 3方法 方法です。聖マリアンナ医科大学では、2002年より第4学年の選択科目 として「家庭医療」という科目を設けています。今回、2007年にこの講 義を受講した、第4学年、10名を対象に、全12回の講義を実施し、受講前 後に質問紙による調査を行いました。この研究は聖マリアンナ医科大学生命 倫理委員会による承認を得ています。 アウトカムは、1つが、受講前、受講後それぞれの時点での家庭医療、プラ イマリケア、総合診療に対してのイメージの自由記載と、もう1つは、症例5 件を呈示し、それぞれに関わるべき専門医を列挙してもらうという内容です 。 分析はイメージの変化を質的に評価し、症例に関わるべき専門医の回答から 、家庭医の診療範囲及び能力の理解の量的変化を統計学的に検定しました。 2008年 6月 4日 方法 【講義の目標】   「家庭医療」「家庭医」とはどんな医療、医師であるかを講義を通して具体 的イメージとして捉えられるようになる。 【質問内容① イメージについて】 a. 現時点であなたが持っている「家庭医療」「プライマリ・ケア」「総合診療」に ついてのイメージを教えてください。 b. 「家庭医」がいわゆる「専門医」より優れている・得意としている所が、ある とおもいますか。あるとしたらどんな所でしょうか。 c. いわゆる「専門医」の方が「家庭医」より優れている・得意としている所が、 あると思いますか。あるとしたらどんな所でしょうか。 4 4方法 介入である講義の目標は「家庭医療」「家庭医」について講義を通して具体 的イメージとして捉えられるようになることとしました。 ひとつめのアウトカム、家庭医療、プライマリケア、総合診療に対するイメ ージについての質問内容はここに示すとおりです。 2008年 6月 4日 方法 【質問内容② 家庭医の診療範囲、能力について】  以下の症例の普段の定期的な通院として、どのような分野の医師にかか れば良いと思いますか。「家庭医」を含めて必要最小限の分野を挙げて ください。   症例1.   4歳 男児: 喘息、両親が喫煙者   症例2. 49歳 女性: 糖尿病/高脂血症/高血圧、更年期様症状あり、                 夫は単身赴任中、姑と同居、最近ふさぎがち   症例3.  65歳 男性: 5年前に前立腺癌手術、術後安定   症例4.  23歳 女性: 喘息でステロイド吸入中、最近妊娠が発覚   症例5.  17歳 女性: ニキビに悩んでいる、最近彼氏ができた 5 5方法 もう1つのアウトカムである「家庭医の診療範囲、能力についての評価」は 、ここに示す症例5件を呈示し、「症例の普段の定期的な通院として、どのよ うな分野の医師にかかればよいと思いますか。「家庭医」を含めて必要最小 限の分野を挙げてください」と質問しました。どれも基本的には家庭医単独 で対応できると思われるものです。 2008年 6月 4日 講義内容 題目 家庭医療とは 生物心理社会的モデル 地域志向型医療 患者教育・行動変容 患者のライフサイクルへの取り組み 幼小児期へのアプローチ 思春期へのアプローチ 成人へのアプローチ、婦人の健康 壮年期のケア 老年期のケア 家庭医療におけるEBMの活用 日本で家庭医になるために レク チャー ロール プレイ ディスカッ ション 講師 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● 6 ● ● ● ● ● ● 小野沢滋 亀田総合病院在宅医療部 松下明 奈義ファミリークリニック 森敬良 兵庫民医連家庭医療学センター 岡田唯男 亀田ファミリークリニック館山 田頭弘子 The University of Manchester ● ● 6講義内容 介入である講義内容はスライドの通りです。内容は、疾患各論ではなく、家 庭医の考え方の基盤となる理論について、教育方略はできるだけ具体的な症 例を多く用い、ロールプレイやディスカッションを取り入れて、参加型学習 を重視しました。講師は、約半数が外部講師です。 2008年 6月 4日 結果: 基礎データ、質的分析 回収率    前 10名(100%) 後 9名( 90%) 家族に開業医や家庭医、プライマリ・ケア医がいる割合  3名(33%) ① 家庭医療、プライマリ・ケア、総合診療のイメージ 家庭医療  受講前 「地域」という言葉はみられるが、「家庭の医学」「内科総合」など漠然  受講後 「地域」という言葉が増加。「家族」「要望」「ニーズ」という言葉が新た        に見られた。 プライマリ・ケア  受講前後とも 総合、終末期、ファーストタッチ、振り分け などのイメージ 総合診療  受講前後とも 総合、内科、ファーストタッチ、振り分け、低い専門性 などの  イメージ 7 7結果 結果を示します。回収率は講義前が10名100%、講義後は9名90%で した。また家族に開業医や家庭医、プライマリケア医がいる割合は3名33%で した。 イメージに関する回答では、家庭医療に関しては、受講前は「地域」という 言葉は見られるものの「家庭の医学」「内科総合」「よくわからない」など 漠然としたイメージでしたが、受講後は「地域」という言葉が増加し、「家 族」「要望」「ニーズ」といった言葉が新たに見られました。対照としての プライマリケア、総合診療のイメージは、総合、振り分け、ファーストタッ チなどのイメージがあがりましたが、受講前後で大きな変化はありませんで した。 2008年 6月 4日 結果: 質的分析 「家庭医療のイメージ」(受講前) • • • • • • • • • • • 内科総合 町の内科のお医者さん かかりつけ医 薬を飲むだけで、具体的な治療は行っていない(家庭の医学) 名前は聞いたことがあるが、具体的なことは知らない 軽度の症状を診る 地域に密着した医療 在宅医療 女性に向いていそう アメリカの家庭医 敷居が低い、患者との距離が近い 8 8結果 これが受講前の家庭医療のイメージとして挙げられたものです。 2008年 6月 4日 結果: 質的分析 「家庭医のイメージ」(受講後) • • • • • • • • • • • • • • • • • • • 患者の要望にできるだけ多く答え られる 多くのニーズに答えることができる 地域のニーズに合わせた分野の 医療をする医師 地域に密接な関係を持った医師 で、総合的な診療を行える 地域により密着した、病気だけでな く家族や社会を診る診療 家族など周囲の環境も含めて患者 さんを診る家族・周囲の人も治療 対象にできる 患者を家族や社会の中の一人とし て捉える 疾患だけでなく、家族背景や予防 に力を入れている 具合が悪くなったらまず行く医者 患者の人生に影響できやすい 一つの専門分野で、きちんとしたト レーニングをつむことが必要 あらゆる分野の患者をみれる より社会性に優れ、「患者」という 人の支えになりうる 赤ちゃんから老人まで全ての世代 の人を診る ライフサイクルを通して診る 全体的に総合診療を行える 専門医より多くの疾患に対応でき る 患者が来たらどんなものでも診る Generalist 9 9結果 これが受講後の家庭医療のイメージとして挙げられたものです。「家族」「 地域」「ニーズ」「ライフサイクル」など家庭医療を特徴づける言葉が増加 しています。 間 2008年 6月 4日 結果: 量的分析 (*は統計学的に有意) 01234567 喘息 49歳 更年期等 65歳 前立腺癌 23歳 喘息,妊婦 17歳 ニキビ,彼 ,-' 4歳 ) ( ) P= 0.0455 * P= 0.0833 P= 0.6547 P= 0.0253* P= 0.0047* P< 0.0001* #!" 01238 0129:;2 :;238 $!" %!" &!" '!!" ,-# ,-/ ,-$ ,-. *+ ( ) ( ) ( ) ( ) ( !" <=>:;23?@ 10 10結果 次に症例を提示して、関わるべき医師の分野を挙げてもらった結果です。左 の薄い青色が「家庭医のみで診られる」と答えた者の割合、濃い青色が「家 庭医に加え、その他の専門医」を挙げた者の割合、黄色は「専門医のみ」を 挙げた者の割合です。 ご覧のように、どの症例においても介入後において青色部分が大幅に増加し ており、併診を含め「家庭医」が必要と考えた学生の割合が増加しています 。各症例に必要最低限の専門分野を挙げてもらったので、家庭医でなければ 提供できないケアの存在が認識されたと考えられます。 間 2008年 6月 4日 結果: 量的分析 (*は統計学的に有意) 各症例において、家庭医以外の分野で挙げられた医師(併診も含め)の数 の平均の変化 前 症例1 (4歳、喘息) 症例2 ( 49歳、更年期等) 症例3 ( 65歳、前立腺癌) 症例4 ( 23歳、喘息,妊婦) 症例5 ( 17歳、ニキビ,彼) 全体 後 0.78 1.11 0.44 0.89 0.11 0.67 p value 0.0843 0.0039* 0.4714 0.0497* <0.0001* <0.0001* 1.89 3.11 0.78 1.56 1.00 1.67 前後で必要とされる医師の分野数が減少 → 家庭医のカバーできる領域の広さが認識された 11 11結果 同様に、各症例において、家庭医療以外の分野で併診も含めて必要と考えら れた医師の数の平均も介入前に比べると半分以下に減少しており、家庭医の カバーできる領域の広さが認識されたと考えられます。 間 2008年 6月 4日 結論 4年生に対しての選択科目「家庭医療」は ① イメージ ① イメージ –  「家庭医療」のイメージを変化させ、「家庭医療」の具体 的イメージを捉えることができるようになった。 ② 家庭医の診療範囲・能力 ② 家庭医の診療範囲・能力 – 呈示した症例について家庭医が関わるべきと考える学生 が大幅に増加 – 必要と考えられる診療科の数が減少 – 家庭医療の診療範囲・能力を認識できたと考えられる 12 12結論 結論です。4年生に対しての選択科目「家庭医療」は、「家庭医療」のイメ ージを変化させ、「家庭医療」の具体的なイメージの獲得に寄与したと考え られます。 また、提示した症例のケアに家庭医が必要と考える学生が大幅に増加し、必 要と考えられる診療科の数が減少しました。このことは、家庭医療の診療範 囲、能力を正しく認識できたと考えられます。この変化は対象が9人にもか かわらず、大半で統計学的有意差を認める大きなものであり、介入のインパ クトは大きいと考えられます。 2008年 6月 4日 限界と今後の課題 【両方】 • 質問紙のみのため、学生の学びの質と量の一断面しか評価されていない • セレクションバイアス(選択制のため、興味のある学生が参加)の可能性 【質的】 • 理論的飽和に達していない可能性がある(数、方法) • 講師がデータ解析を行ったことでのバイアス 【量的】 • 対照群をおいていない • 講義直後の評価のため、変化が維持されるかは不明 【今後の課題】 • 対照群をおいた調査 • 質問紙以外のデータ収集 • 理解度の長期的追跡(キャリア選択も含めて) 13 12限界 本研究の限界としてはここに挙げる項目が考えられ、今後の課題として、対 照群をおいた調査や、インタビューなど質問紙以外のデータ収集法が望まれ ます。また受講した学生の理解度の持続や、その後のキャリア選択への影響 も調査が必要です。 2008年 6月 4日 結語 今回、学生は「講義」を通して、家庭医療の概念や家庭医の 提供する医療を認識することができた。 現在、日本の大学病院で家庭医のロールモデルを見つけるこ とは難しく、卒前教育で学生全員が「家庭医」のもとで「実習」を することには様々な制限があるが、家庭医による「家庭医療講 義」を行うことで、より大人数を対象に家庭医療への理解を促 す効果があると考えられる。ひいては家庭医療に携わる人材を 増やす効果を生む可能性もある。 今後、より多くの大学で全学生を対象にした「家庭医療講義」 の実施が望まれる。 14 13結語  まとめです。今回、学生は「講義」を通して、家庭医療の概念や家庭医の 提供する医療を認識することができました。  現在、日本において卒前教育で学生全員が「家庭医」のもとで「実習」を することには様々な制限がありますが、家庭医による「家庭医療講義」を行 うことで、より大人数を対象に家庭医療への理解を促す効果があると考えら れます。ひいては家庭医療に携わる人材を増やす効果をうむ可能性もありま す。  今後、より多くの大学で全学生を対象にした「家庭医療講義」の実施が望 まれます。 以上です。ご清聴ありがとうございました。

2008/06/04

    同じ土俵にあえて乗らないということ.Family Medicine 2008 April Vol.40, No.4 (STFM)

Essays and Commentaries
Revolutionary Leadership and Family Medicine Education(pdf)
John W. Saultz

重要なpaperだと思うので,あえて別エントリーで.
何年か前から注目しているOHSUの教授,現在最も熱い北米家庭医療学のリーダーの一人といえるSaultzの論説.
それほど新しいことが書いているわけではないが適切な例やたとえを用いて良くまとめられています.

以下 翻案.

Thomas Kuhnの1962年のThe Structure of Scientific Revolutionという本を引き合いに話が進みます.
Kuhnによるパラダイムの定義は,以下の2つの特徴を含む確立された科学概念です.
1)対立する科学活動を信じている人たちを魅力的に引き寄せるだけのこれまでにない新しさをもっていること
2)科学者達が引き続きその領域で活動できるだけの十分な未開性を残していること
そしてそういった科学のパラダイムは既存のパラダイムを置き換えるような対立するパラダイムによってのみ置換され,それをscientific revolutionとkuhnは名付けた.

一方殆どの科学の発展はその理論や概念としての既存のパラダイムの中で積み重ねられた新しい根拠によって生じる.

scientific revolutionは滅多に起こらないが,その際はその変化に巻き込まれた分野は基本的な原理の根本的な変革がおきる.


現在の医学のパラダイムは1910年のflexnerに立ち返る.その基本原理のいくつかは(table1)
a)医学は,科学的方法論に乗っ取ったとき最も効果的である
b)深い知識と臨床的な専門性が卓越を定義する
c)専門分化はシステム改善の特徴である
d)医師は病気を治療する.よって病気の過程(disease process)についての知識が能力を定義する
e)疾患は毒物,感染,遺伝的な異常など明確な障害によって起きる.因果関係は一対一である

しかし1940年代にはそのパラダイムは既にその問題を見せ始め,1960年代後半から家庭医療はそれらの問題に立ち向かうために作られた.
それらの内の前記(table1)に対応する物として
a')医学の用いる科学的方法はより広義の物であるべき.従来の生理学や生物学に加え,社会科学,行動科学など.
b')卓越の定義には深い知識だけではなく広い知識とのバランスが必要である
c')過度の専門分化は費用増加を生み,アクセスを妨げる.generalismとspcializationはバランスがとれていなければならない
d')医師は,患者と,患者の住む地域を治療する.単に病気を治療するのではない.
e')疾患は環境要因や生活習慣の選択に大きな影響を受ける.因果関係は基本的に複雑である.

しかし家庭医療はこれまでの40年間は他の医師に受け入れられるためだけに従来のflexnerパラダイムの中にこれらを無理矢理適合させようとしてきた.もし我々の目標がアメリカの健康を改善することだけであればそういった妥協もやむを得ないかもしれないが,もし我々の目指すことが,新しいパラダイムの創出であるならば,妥協をしすぎたのではないか.
家庭医療は改善者なのか改革者なのか?
Kuhnはscientific revolutionが生じる時は非連続性で鋭利な変化であるとする.
例を挙げるとニュートン力学から,相対性と量子の物理学へ.つまり基礎にある科学の前提条件の再構成が存在する.
今アメリカの20世紀の医学かKuhnの定義するrevolutionによって,置換されつつあることを示唆する根拠がいくつもでてきている.それらを引っ張るのが我々ではないのか?

教育に関連して(table2)
1969-2007までの家庭医の教育の前提
1)家庭医には知識の深さではなく広さ(包括性)が必要
2)病院や他の医学領域から信頼されることは必要
3)研修環境は実際の診療現場に似せなければならない
4)地域の中での研修が最高の家庭医を生む
5)責任感・責任性は継続的な関係の中での医師として振る舞うことで学習される
6)経験=能力.質=ケアの過程がよい
現在の研修はこれらの前提が正しければ,今の形がよい.しかし,その前提が正しいとは誰が証明したのか?
この先何十年もこの前提は真実であり続けるのか?

Kuhnによると現在最も幅広く流通しているパラダイムが既に現状にそぐわない物であっても,実行可能で,信頼できる,別の理論が提示されるまでは置換されることはないという.
そういったパラダイムの形成は我々の仕事ではないのか?
Saultzの教育に関する提案(Table3)
現在実践されている家庭医療がdysfunctional(機能していない)ならば現在のモデルをマネした研修環境の整備は無意味である.
1')包括的な知識の広さ(深さではなく)が家庭医療のチームに必要.現代の非常に膨大な情報世界を生き抜くために洗練された情報テクノロジーが必要
2')病院や他の医学領域から信頼されることは重要であるが,それらの価値観を追うよりはこちらが引っ張る(lead)べき.
3')研修環境は実践の継続的な改善を生み出すべき
4')様々なことを実行する新しいやり方を研究したり,生み出したりすることを学ぶ活動に基づいたinnovation-based educationが最高の家庭医を生む.
5')責任感・責任性は継続的な関係の中での医師として振る舞うことで学習される.医師は単に疾患だけでなく,患者と集団(population)を治療する
6')卓越したアウトカム=能力(competence)と質

しかしこれらの提案も正しいかどうかは解らない.どうやったらそれで良いのかが解るのか.
何か新しいことをやったら必ずその効果を検証する.あくまでこれはスタート地点でしかない.

現在のシステム(パラダイム)が問題だとすれば,それを蘇生しようとするのは間違い.修理するのではなく入れ替えなければ.患者さんに現在のシステムがつかえるように手助けをするのではなく,現在のシステムの行き過ぎなところや不足しているところの弊害を受けないように守らなければならない.

scientific revolutionは計画された変化ではない.カオス的で,予想できず,二極的である.
そういった変革を乗り切るには適応性の非常に高いリーダーとチームが必要.(診療所,レジデンシー,大学の全てに置いて)

ここで2種類のリーダーが両方必要といっています.
家を建てる際の建築家(architect)と工務店(builder)にたとえて.
architect type builder type
創造的          統率のとれた
革新的          信頼できる
美的な          機能的な
理論的          実践的
リスクをとる       リスクを管理する
未来志向         現在志向
概念的          具体的

う~ん,今までいわれてきたリーダーとマネージャーの役割分担ではないか.ここはお粗末.
これまでの家庭医療のリーダーはbuilder型が多すぎたとのこと.

両方のリーダー(まあ一人の中に両方のスタイルがバランス良く含まれていても良いのですが)を抱えたレジデンシーチームが以下の4つに注意して進めることが重要と

1)対象とする地域のニーズに真剣に対峙すること
2)対象とするレジデントをよく見て,評価すること.
3)実行する全てのことの結果をを測定し,記録し,分析すること
4)地域の家庭医のニーズをきちんと取り込むこと
(レジデンシープログラムは病院資本のことが多いが,病院のニーズはそれほど気にするな,と)

こんかいのSTFMのpleanryでも同様のことを協調していましたが,現場で何が上手くいって,何が上手くいかないのかを自分たち自身の改善のために調査(研究というと堅苦しくなるので)をし続けて,現場を良くしていく方法を内包した実践の場.その方法論の教育の重要性を強調していました.

Saultzさんホント強い人だナーと思います.

参考)

"We can't solve problems by using the same kind of thinking we used when we created them" -Albert Einstein 「私たちは,問題を作り出したときと同じ思考方法を使うことでは,その問題を解決することはできない」アルバート・アインシュタイン


週刊医学界新聞
研究以前のモンダイ
〔 その(14) 〕
アナロジーに基づく一般化

西條剛央 (日本学術振興会研究員)

第14回のみを挙げましたが,このシリーズは骨がありますが,一度考えておく必要があります.名郷先生が最近盛んにいう構成主義も同じラインです.

P.S.これからはいっそうリサーチも頑張ります.

    Family Medicine 2008 April Vol.40, No.4 (STFM)

Family Medicine 2008 April Vol.40, No.4 (STFM)

批判的吟味までは及んでいません.メモ的に.
重要度は便宜的に
5:全ての家庭医が読むべき
4:教育者,研究者は読むべき
3:時間があれば
2:暇ならどうぞ
1:特定の領域の先行文献として重要になり得る
としました.

Residency Education
Required Procedural Training in Family Medicine Residency: A Consensus Statement

Melissa Nothnagle, Julia M. Sicilia, Stuart Forman, Jeremy Fish, William Ellert, Roberta Gebhard, Barbara F. Kelly, John L. Pfenninger, Michael Tuggy, Wm. MacMillan Rodney, STFM Group on Hospital Medicine and Procedural Training

以前のエントリーで紹介
重要度:4

Clinical Research and Methods
Which Medical Interview Behaviors Are Associated With Patient Satisfaction?
Yousuke C. Takemura, Reiko Atsumi, Tsukasa Tsuda

これも以前のエントリーで紹介
重要度:3

Faculty Development
Toward Measuring the Domains of Mentoring
John Rogers, F. Marconi Monteiro, Amaury Nora
メンタリングという活動を定量化するために作られたチェックリストの妥当性検証の論文.(メンタリングされた側の経験として)割と良い評価表のようであるが,29項目.
但しこれを眺めることで,メンタリングの際にメンティー(本文ではprotegeと表現)がどの様な体験をすることを目指せばよいのかが参考になる.
重要度:4

Health Services Research
Preliminary Study of a School-based Program to Improve Hypertension Awareness in the Community
Anthony J. Viera, Joanne M. Garrett
小学校5年生のに対して血圧の説明や害,血圧の測り方を教えて,自動血圧計をもってかえらせ,親の血圧を測定し,親に血圧について学んだことを説明させる宿題を与える.
2ヶ月後,介入群の27.5%の親が血圧について,医療従事者にかかったかかかるつもりがあると応えたのに対し,非介入群は8.3%
直接話した相手から間接的にその家族に影響を与えようというのは家庭医らしい発想.
重要度:4-5

Training Family Physicians in Community Health Centers: A Health Workforce Solution
Carl G. Morris, Brian Johnson, Sara Kim, Frederick Chen
CHC (community health center)は米国において,政府の出資により,無保険者や,保険が不十分な人に対し,プライマリケアを提供するための全米チェーン(6000以上のサイト)
家庭医の研修の一環としてそのような施設で研修を行うことがあるが,最低1年間CHCにおいて継続外来を行ったレジデントとそうでないレジデント(non-CHC)を比較すると,研修や,現在の仕事の満足度,診療領域に差はなかったが,性別や,フルタイムかどうか,卒後年数などを調整してもCHCの方がnon-CHCの2.7倍underserved(医療資源の少ない地域)で働いている率が高かった.(64%vs37%)
検討の対象は1986-2002年の838名の卒業生.
であるから,underservedでの医療に携わる人を増やすには研修でそのようなサイトを利用すると良い.という提案.
要は僻地に医者が少ないなら,研修の段階で僻地で一定期間過ごすとその後もそのような場所で働く可能性が上がるということへ拡大解釈は出来る.
学生実習,初期研修の地域医療の1ヶ月,generalistの後期研修の一定期間,医師の少ない地域へ.
家庭医療学会のプログラム認定要件にもそれらしき項目は含まれている.
重要度:4

Essays and Commentaries
Revolutionary Leadership and Family Medicine Education
John W. Saultz
何年か前から注目しているOHSUの教授,現在最も熱い北米家庭医療学のリーダーの一人といえるSaultzの論説.
これは別エントリーで...

Letters to the Editor
Country-centered Family Medicine
Sunil Abraham

以前の出版に対しての手紙.米英がその産物を第三国に持ち込む手法(家庭医療も然り)に対して,paternalisticな医療ではなく,その患者の考えなどを踏まえて行うpatient-centered medicineが推奨されるように,家庭医療未開発国に対してその国の事情その他を加味してcountry centered Family Medicineをして下さいね.というインドのドクターからの手紙.一方的に先進国の手法や価値観をそのまま持ち込むのをわたしはimperialism(帝国主義)と呼んでいます.まだまだそういうやり方多いです.海外の人が親切心でそういうのはまだしも.日本人がそういうやり方をありがたがっていることも少なくないので要注意です.これをinternalization(内面化)と呼びます
重要度:3


President's Column
Assembling Patient-centered Medical Homes in Teaching Practices—One Strategy
John C. Rogers
現在のSTFMのpresidentのコラム.Patient-centered Medical Homesの構築の方法論を箇条書きで.これについても詳細が書きたいが割愛.
重要度:4

2008/06/03

    ウェブを変える10の破壊的トレンド

表題と同タイトルの本を読み始めた.

最近本の読み方が少し変わってきている.
表紙,裏表紙,前書き,あとがき(これはとばす場合もある),と読んで,目次に割と時間をかけて全体の構成をつかむようにする.解らないキーワード,専門用語,気になる見出しがあれば,先ずそのページを読む.最近読んだlive hacks(最後に紹介)はそうやって気になるところばかり読んでいて気づいたら全部読み終わっていた.
それから,普通に読む.(割と速読だが.大体1-2時間x2回で読み終える.)

目次の大見出しだけ挙げておく.表題通りの10のキーワード.
Direct
Free
Crowdsourcing
Presence
Web-Oriented
Virtual and Real
Videos
Interface
Search
Semantic Technology

それぞれのキーワードに該当するwebの会社やサービスを思い浮かべられるだろうか.

今のところは,前のエントリー  web 2.0を定義するもの (再掲)の延長程度の物が多いのでweb3.0とは呼べないが,web2.2か2.3ぐらいにあるような印象.それでも追いかけていると今後の方向性が見えてくる.2.0も後付で呼ばれるようになったので,社会の中での位置づけや効果がはっきりしてからweb3.0の定義がなされるのだろうと思う.

僕が目指すシステムが目指す特徴も上記の10のうち,
Direct
Free
Crowdsourcing
Web-Oriented
Interface
Search
Semantic Technology
これらについては十分に重視して勧めていきたいと考えています.
New England Journal of MedicineなどはHPでビデオの公開も進めています.

ウェブを変える10の破壊的トレンド
渡辺 弘美
ソフトバンククリエイティブ ( 2007-12-22 )
ISBN: 9784797346442
おすすめ度:アマゾンおすすめ度



LIVE HACKS!
大橋 悦夫
ゴマブックス ( 2008-04-22 )
ISBN: 9784777109500
おすすめ度:アマゾンおすすめ度

    web 2.0を定義するもの (再掲)

以前のブログ2007年1月のエントリをそのまま再掲.
言葉としては,使い古された感はでてきたが,
今見てもキーワードの中の,
“An attitude, not a technology”
Trust your users
The perpetual beta
Play
辺りは,しっくりくる.

------------------------------
以下再掲


web 2.0を定義するもの



様々な定義、特徴があると思われるが、Tim O'Reilly が2005年秋に定義したものから代表的なものを上げると以下の通り

7つの特徴
Tagging, NO taxonomy   タグづけのみ、分類をしない 例:Flickr,del.icio.us
Rich user experiences  デスクトップアプリケーションの感覚(実際ソフトは「向こう側」にあるのだが) 例:gmail、 google map
User as contributor 利用者による貢献 例:amazonやyahooのカスタマーレビュー
Customer self-service enabling the long tail 利用者自身によるセルフサービスにてロングテイルを実現 例:Google AdSense等のアフィリエイト
participation, not publishing 出版でなく参加 例:ブログ (コメントやトラックバックも含め)
radical trust  過激な/徹底的な信用/信頼  例:wikipedia
radical decentralization 過激な/徹底的な非集約化 例:BitTorrent

コアとなる概念
Strategic positioning   戦略的位置づけ
:The Web as platform 足場/出発点としてのweb
User positioning  利用者の位置づけ
: You control your own data 自分のデータは自分でコントロールする
Core competencies  コアコンピテンス
: Services, not packaged software  パッケージ化されたアプリケーションではなくサービスの提供
:Architecture of participation   参加を促す構造
:Cost-effective scalability     比較的安価に規模を大きくすることが出来る
:Remixable data source and data transformations  再編集可能なデータとデータの変形
:Software above the level of a single device   複数の機械、機器にまたがるアプリケーション(LANやWeb上に存在して複数のPCで利用可能なアプリケーション)
:Harnessing collective intelligence  知識の集積を利用、促進

キーワード
“An attitude, not a technology” :「テクノロジーではなく価値観/生き方」
Data as the “Intel Inside” :データが級数的に増えることが第一原則(コンピュータ的な進化をするデータ)
Trust your users:利用者への信頼
The perpetual beta :終わることのないβ版
Play:遊び
The long tail:ロングテール
Granular addressability of content: 内容が利用可能かはかなりまだら
Small pieces loosely joined (web as components):小さな部品が緩やかにつながっている(部品としてのweb)
Hackability :改変可能性
The Right to remix “Some rights reserved”:再編集可能「権利は一部残されている」
Emergent: User behaviour not predetermined:自然発生的/新規発生的ー利用者の行動、使い方は前もって規程/固定されていない
Software that gets better the more people use it :どんどん改善されるアプリケーションほど、多くの人が利用する
Rich user experience:豊かな使用経験(前記参照)

Mash up: (特にAPIが公開された)ウェブサービス同士を (できることならば)開発者ですら思いもよらない方法で組み合わせて、新たな価値を創造すること。 (「はてな」より。wikipedia)

--------------------------
いろいろ調べ始めてきりがなくなってきたが、2005年の10月ごろにこの発表があったにも関わらず今ごろ気づいてびっくりしている自分はlate majorityなのかも知れない。
一番のキーワードはData as the “Intel Inside” の様だが、一番翻訳が難しい。

さらに編集中

出典、参考

http://www.armapartners.com/files/admin/uploads/W17_F_1873_8699.pdf (p9の図)
http://www.aseantic.com/public/news/eventsfairs/fruehjahrsevent2006/aseantic_atlas_1.0.pdf (3~6枚目のスライド)
http://mojix.org/2005/10/01/183828 (日本語)
http://zerobase.jp/blog/entry-379.html (日本語)
http://d.hatena.ne.jp/wa-ren/20060417/p1 (日本語)
http://blog.japan.cnet.com/kenn/archives/002402.html (日本語)

http://fladdict.net/blog/2006/04/web2020.html (日本語 web2.0について懐疑的な意見)

図解 Web2.0 BOOK
小川 浩, 後藤 康成
インプレスジャパン ( 2006-07-28 )
ISBN: 9784844322856
おすすめ度:アマゾンおすすめ度

2008/06/02

    日本家庭医療学会 学会賞 受賞!

表題通りです.
週末に行われた 日本家庭医療学会第23回学術集会で発表した学会賞候補演題の一つに結構なウエィトで関わっていたのですが,その発表が見事第3回の学会賞を獲得することが出来ました.

G-04 麦谷 歩 医学生は家庭医療コース参加の結果、どのように変わるのか?

勿論,4件中の1つと倍率はそれほどでもなかったですし,授賞式の講評でもこのままではpeer reviewの雑誌でのacceptは難しいというコメントもいただきましたが,構造的に最もリサーチとしてしっかりしていたということが受賞の理由だったようです.

研究のデータ取得に使われたアンケートは私が作成していました.共同研究者の一人(Y.M女史)が「今度の家庭医療学会何か発表したいんだけど」といったことに,「ネタならあるよ.データも取ってあるし,後まとめるだけ(そこが自分は一番苦手なので)」といって,このアイデアを提供しました.抄録の応募の原稿の時点で「折角だから学会賞ねらったら?」と言ったら,「そうですね,折角ですから.その方が注目も得られるでしょうし」とすんなり.ところが諸事情によりその当人が当日発表できないとのことが判明(応募の時点でそのことは知ってた節があるのですが),発表者が今回の麦谷女史に.何度かリアルとバーチャルな会議を重ねて,やっぱり僕は前の日までスライドの最後の手入れと当日の朝まで読み原稿の手入れ.

当日は麦谷女史と発表の打ち合わせをして無事終了.

自分の子どもの発表会のような気持ちで大変緊張しながら授賞式まで過ごしました.

様々な偶然も積み重なってのことだと思うが,ルイ・パスツールの言葉である,「Chance Favors the prepared mind」や「人事を尽くして天命を待つ」の様に,やるべき事を全部やったのでダメでも悔いはなかったにせよ,久しぶりに大変嬉しい出来事でした.

医療は基本的に他者との勝負ではないので,その他の業種のように入札で選定されたり,projectのコンペで勝ったり,自分の案が採用されたりということが余り無いので,本当にこういう機会はたまには良いものです.勿論研究も勝ち負けではないのですが,何らかの評価が得られる,ということが,やはり次のやる気に繋がることを改めて認識しました.(自分が他者にどれだけ好意的な評価を与えているだろうか...)

スライドは近日中に公開できるよう考えています.

この週末は教え子の結婚式もあり,その披露パーティーの抽選でとんでもない賞品に当たったりと,最近の運を全部使ってしまったのではないか,と心配になるような良い週末でした.

6/16/2008
スライドupしました.
学会賞受賞演題スライド,読み原稿,審査基準

9/15/2009
報告原稿が公開されています。

学術集会報告(第3回学会賞受賞演題)
麦谷 歩,武者 幸樹子,喜瀬 守人,亀谷 学,岡田 唯男. 学術集会報告(第3回学会賞受賞演題)医学生は家庭医療コースの結果どのように変わるのか? 家庭医療 2008. vol.14 (2) pp26-27


http://jafm.org/journal/pdf/vol14no2/14_2_26.pdf

2008/05/28

    千葉大学に寄付口座 (循環型地域医療連携システム学)

表題の通り

「千葉大学における寄附講座の設置について」
 ー循環型地域医療連携システム学講座ー


いわゆる立ち上げイベントが本日実施される

県では医師不足等による地域医療の崩壊を防ぎ、病院や診療所などの限られた医療資源の効率的活用のため、千葉県保健医療計画を見直し、患者の症状に応じた医療機関等の治療と健康づくり・福祉サービスが利用できる「循環型地域医療連携システム」の構築などを行いました。
 今回、当該システムの具体化にむけ、県内唯一の医師養成機関である千葉大学大学院医学研究院において関係事業の研究・普及を行うことを目的とした「循環型地域医療連携システム学」寄附講座を開設します。
 なお、この寄附講座には「地域コース」を設け、地域に指導医及び後期臨床研修医を派遣し、地域医療の支援を行ってまいります。
 つきましては、平成20年5月28日(水)に千葉大学学長との間で、この講座の開設について、協定の締結式を執り行います。
 また、寄附講座開設プレイベントとして、寄附講座担当客員准教授(予定)によるプレゼンテーションも同日実施いたします。


客員准教授にはケアネットなどでおなじみの,

馬杉綾子氏 (千葉大学大学院医学研究院循環型地域医療連携システム学客員准教授 6/1就任予定)

とのこと.教授はこれから募集かな.

循環型地域医療連携システムの詳細はこちら(pdf)


表題のところにproject Bremenという言葉ともに動物の積み重なったロゴがあるので(いわゆるブレーメンの音楽隊から?)調べてみたら,

ブレーメン型地域社会づくりモデル事業第1号拠点施設を整備する民間事業者を募集します。

とあり,

地域で生活する子どもや障害のある方、高齢者、主婦や学生など一人ひとりの住民が、お互い助け合い・支え合いながら地域で住み続けられるブレーメン型地域社会の実現を目指しています


と説明.

よくわからないが,さらに調べると健康千葉21のHPに説明があった

ブレーメン型地域社会づくり

「ブレーメン型地域社会」とは、グリム童話の「ブレーメンの音楽隊」に因んで名付けられたものです。
ロバとイヌとネコとオンドリが、お互いに個性を生かし泥棒を退治して、仲良く1つの家で暮らしたように、子ども、障害者、高齢者などを含む様々な立場の県民が、それぞれの個性を生かしながら仲良く暮らしていける地域社会をつくっていこうという願いが込められています。



平成16年からプロジェクトブレーメンが始まったそうです....

平成16年7月に、新たに設置された作業部会・研究会を舞台として、「プロジェクト・ブレーメン」が始まりました。

プロジェクト・ブレーメンの6つの作業部会・研究会は、平成16年7月から平成17年8月(一部は18年3月)まで開催され、公募の委員を含む123名が県内各地から夜間中心の93回もの会議に参加し、検討結果・提言がまとめられました。

様々な方が集う住まいの場(ブレーメンのお家)研究会
あなたに合わせた支援」を星の数ほど研究会
明日の地域福祉を創る」人材育成作業部会
「誰でもわかる」福祉サービス評価システム作業部会
「誰にもやさしい」まちづくり研究会
「新たな地域福祉像」実現のための事業と財源のあり方研究会


どうやら堂本知事の2005年の宣言からのようですが...

何らかの制度改革があって,寄付講座を作りやすくなったとのことで,あちこちに寄付講座とその教授が生まれていますが,寄付金は年限があることが多いので,その間に自活できる財源をとるか,寄付金を延長するかしないと存続できなくなるので,在籍中の活動がどうもそのため(講座・自分のポジションのサバイバル)だけに,大半をとられそうで,寄付をした人たちの意図や要望をかなえるためのプロジェクトはどうなるのだろうと勝手に考えてしまいます.(自分のポジションの心配をしないといけないのは,サラリーマンでも自営でもみんなそうなのですが...)

感染症の雄 岩田健太郎氏も神戸大学へ移ったとのことで医学部と思っていたら,
工学部のキャンパスだった.

神戸大学都市安全研究センター

部門の意図はよく分かるし,彼は適任と思うけれど.....工学部のキャンパスまで上り坂大変なんだよな...

なんだかつぶやきシローみたいになってきた.
結論はありません.それぞれ何らかの結果が出ることを願ってやみません.

P.S.やっぱり教授というのはならないと気がすまないのかな...