2009/07/28

    初期研修医は地域医療研修に何を求め,何を学んでいくか?(医学教育学会2009ポスター)

週末の医学教育学会よりうちのスタッフ(HANDS-FDF修了生でもある)との共同発表。
いちおう一部数を数えましたのでmixed methodとしましたが、基本的には質的研究です。
彼のお父さんは文化人類学者ということもあり、非常に的確な質的分析をします。

同じ状況で仕事をしている人にとってはごく当たり前の結果かもしれません。しかし多くの人がそう思えば思うほどその事象の本質をとらえている(つまり外的妥当性が高い.研究とのしての質が高い、ということ)

もう一つの方は、多少内部事情に関係する部分もありますので、関係者に配慮して、公開は控えさせていただきます。参加いただいた方だけの特権ということで。

第41回医学教育学会2009 発表 篠原

2009/07/27

    ロード第1弾 医学教育学会

職場のスタッフに迷惑をかけて4泊の学会出張+講演。1回東京に出るのに往復4時間かかりますから3つの用事を同じ日程でぶつけると8時間節約になります。(厳密にはそうでもないのですが)
それにしても都会は暑かった。メインは医学教育学会です。

木曜日の朝 医学教育学会- モデルコアカリキュラム共用試験委員会 委員として出席 (そのために水曜夜東京泊)
夕方 プレコングレスワークショップ III 「臨床研修指導医講習会のあり方」にOMP: One Minute Preceptorの資料を提供させていただいた関係で見学させていただく。

金、土は
第41回日本医学教育学会大会
自分の発表
岡田 唯男, 西野 洋, 片多 史明 口演 新臨床研修制度の影響とその対応 
O12-1 亀田メディカルセンターにおいて初期研修必修化前後の大幅な方針転換は有効であったか? Was the major strategic change in recruiting of junior residents effective at Kameda Medical Center after initiation of the national mandatory postgraduate training?

うちのスタッフ2名の発表
篠原 翼, 岡田唯男 ポスター 地域医療 P10-3 初期研修医は地域医療研修に何を求め、何を学んでいくか? ー地域の診療所が提供できる研修ー
伊藤彰洋 口演 ITの活用 O6-9 e-ラーニングによる仮想模擬患者を利用した臨床推論教育の試み

そして急遽当日の2日ほど前に頼まれた座長

土曜日の夜そのまま大阪で講演
服薬指導研究会 第4回研修会「家庭医の視点」
/サエラ薬局グループ 学術勉強会 主催 株式会社 オーパス

日曜日は総合医スキルアップセミナーのケースカンファレンス 20代女性 2週間の咳、微熱、胸痛

医学教育学会の報告書けるかな〜
また2週後、4週後、5週後にロードが。。

2009/07/25

    5マイクロスキル(OMP: One Minute Preceptor)one pager

現在医学教育学会に参加中です
いろいろなことを学んでいます。

プレカンファレンスワークショップに誘っていただき、少しだけお手伝いをさせていただきました。
具体的には5マイクロスキル(OMP:One Minute Preceptor)の一目で分かる資料を作成して配布資料の中に入れていただきました。新たに出たエビデンスのレビューなどを追加しています。

5マイクロスキル(OMP)one pager

どうぞご自由にWSや院内勉強会でお使いください。

懇親会で頂いた質問

Q:マイクロスキルは岡田がオリジナルですか?
A:オリジナルは
Neher et al. A five-step "microskills" model of clinical teaching. J Am Board Fam Pract (1992) vol. 5 (4) pp. 419-24
です。
ただ日本へ紹介したのは私、ということになっているようです。(エビデンスがないことの証明や最初であることの証明は難しいのが常ですが)
初演は2002年。

岡田唯男,藤沼康樹.「機会を逃さないための外来指導 」,ワークショップ.第17回家庭医療学研究会学術集会・総会 ,東京,2002年11月


文献としては2004年。(下記)

Q:6つのマイクロスキル、という方法もあるようですが。。
A:6つ目が今後の学習テーマを見いだすというのだと思います。別に加えてよいと思います。
ただある程度エビデンスが検証されているのは5つのものです。(上記One Pager参照)


--------
これが唯一の方法でもありませんし、その他には

The Aunt Minnie model
The SNAPPS model
Activated demonstrations
などがあり、
最近は
The GRIPE Model
というのも言われています。

気に入ったものがあればどれでもよいと思いますし、自分のスタイルがあればそれでもよいと思います。いつも話しているのは、様々な患者さんがいて、同じ診療スタイルや説明方法では全ての人に対応できないのと同様、学習者も千差万別。その方法に乗り換えましょう、ということではなく、自分のn番目の新たなる教育レパートリー/スタイルとして追加してください。ということ。
今までやっていたことがうまくいっていればそれをやめる必要はありません。ただし、本当に「うまくいっている」か確証がありますか?

プロセスはわかりやすくしたり、多くの人に知ってもらうために重要ですが大事なのは学習者が学び、患者さんのケアが向上すること。
本質を見失わないよう。

効果的に外来で教育を行う—5つのマイクロスキル - 特集 地域で医師を育てる—地域保健・医療研修で何をするか 診療所研修を魅力的にするために.JIM.2004; 14(5): 399-403

岡田 唯男. 1分間プリセプティング one minute preceptor. In:日本プライマリ・ケア学会 編.プライマリ・ケア用語集.東京:エルゼビア・ジャパン株式会社;2005:22.
プライマリ・ケア用語集
日本プライマリケア学会
エルゼビア・ジャパン ( 2005-05 )
ISBN: 9784860345396

2009/07/19

    日本人が米国へ行くと太るが家族との時間が増える

Lifestyle changes of Japanese people on overseas assignment in Michigan, USA

Kazuya Kitamura , Michael D Fetters , Kiyoshi Sano , Juichi Sato and Nobutaro Ban

Asia Pacific Family Medicine 2009, 8:7doi:10.1186/1447-056X-8-7

Published: 16 July 2009

ミシガンに限って,ということになるかも知れませんが...
女性は特に身体症状と不安が増えるそうです.またたばこ,アルコールの習慣については変化なしと.

暫定のabstractから

Results
Most participants reported increased caloric intake, weight gain, and less exercise. They also reported increased time with family. More women than men reported physical symptoms and anxiety related to stress. Smoking and alcohol intake were essentially unchanged. No associations were identified between length of residence in the US and health lifestyle habits or other health outcomes.

Conclusions
Negative lifestyle changes occur in diet and exercise for overseas Japanese people, but a positive change in increased family time was found. Women appear to be at a greater risk for somatic disorders than men. As duration of stay does not appear predictive of adverse changes, clinicians should advise patients going abroad of these risks regardless of the term of the work assignment.


滞在期間との関係はないそうです.
海外出張予定の方には予防接種などの話だけでなくこういうアドバイスも.

独り言:最近医学誌へ投稿する側が費用を払う例が増えています.この雑誌も所属施設が BioMed Centralのメンバーでなければ$1525です!

これは,利益相反やPublication biasに繋がらないだろうか..

2009/07/18

    第1回 日本家庭医療学会認定家庭医療専門医 認定審査

ようやく実施されるところまで来ました.来年度合併ですから,家庭医療学会としては最初で最後,ということにはなりますが.

20日の海の日です.

その模様がNHKで放映されるようです.

試験日と同じ7月20日月曜日午後9時のニュースウォッチ9」という番組で7-8分ほどとのことです.

報道番組は突発的なニュースによって内容が入れ替えになることがありますのであくまで予定,ということで.

受験される皆さんは頑張ってください.

これまできちんと研修をしていれば心配ないと思います.

第1回 日本家庭医療学会認定家庭医療専門医 認定審査のご案内

2009/07/07

    学会発表に役立つ過去エントリーまとめ

多くの人の学会発表のサポートをする中でいつもお話しすることの多くは既に過去のエントリーに含まれているのでそちらを参照してもらうことが多いですが、今回、それらをまとめましたので再掲としておきます。よい研究をするためのアイデア、研究方法などは別の機会に。

抄録、タイトルの作成に関して

抄録の書き方,情報の価値 2008/02/27
http://tadao-okada.blogspot.com/2008/02/blog-post_27.html

効果的な学会抄録の書き方 2007/09/15
http://tadao-okada.blogspot.com/2007/09/blog-post_15.html

人の集まるタイトルを付ける方法(セミナーなど)2008/02/28
http://tadao-okada.blogspot.com/2008/02/blog-post_28.html

よい発表の基準の例
学会賞受賞演題スライド,読み原稿,審査基準 2008/06/16
http://tadao-okada.blogspot.com/2008/06/blog-post_16.html 

誰を発表者に加えるべきか
Authorship(学会や雑誌での学術発表を前提とした研究、プロジェクト)2007/11/13
http://tadao-okada.blogspot.com/2007/11/authorship.html

そもそもなぜ発表をするのか
インパクトファクターと読者数(academic value vs fidelity) 2008/02/05
http://tadao-okada.blogspot.com/2008/02/academic-value-vs-fidelity.html


キーワード:学会 発表 抄録 タイトル authorship

2009/06/30

    折り返し

6月も最終日です。

目標は常に確認するべきもので、たてたらおしまいではありません。

念頭に立てた目標の再掲

年頭所感(今更)より


1)上達,熟練,学習といったことについて再度 基本に立ち返る(基礎的文献の読み直し)
2)去年からの積み残しのプロジェクトを少しでも進める(執筆,プロジェクト)
3)今年はあいたいと思う人に会う
4)体力づくり
5)丁寧に,丁寧に


あまりSMARTgoalには当てはまっていないのですが。。

BLOGエントリーはこのエントリーを含めて半年で56。昨年は週2のペースで1年で104でしたから、最後にちょっと追い込んだところはありますが、昨年より多めです。(目標や中間到達目標を意識する利点です。6月に入ったら、明らかに6月修了までに52、というのは意識していました)

新型インフルエンザのせいで5月からしばらくばたばたしてしまいましたが、その間に途切れてしまった手帳とPCを平行してのGTD、最近再開しています。

意気込んで始めた5年日記、ゴールデンウィークあたりで途切れていますが、なんとか再開予定です。

PC上のライフハックとしては、Omni Focus+Evernote+journalerで、少し使い分けができてきたところ。せめてこのうちの2つぐらいに集約を。

論文管理はEndnoteのはずだったのですが、某氏の影響でPapersへ。順調。まだ一部evernoteとかにいってしまいますが。

そして、新たなチャレンジとしてwordpress, twitter, facebookにチャレンジ中。wordpressは使いこなすにはかなり時間投資が必要です。。。。(その分見返りはありそう)

下記の10個の基本技の中では、タイマーは新年に買ったはずだけれど、とかinbox zeroは無理でしょうとか。5Sは未だに実践できておらず、とかまだまだなところは多いです。


どこまで実践できている? ライフハックの 10 個の基本技
Sunday, 28 June 2009


新年の抱負がもう脱線した? そんな人はこのロードマップに移ろう

「大きな決心」よりも「毎日の習慣」をゆっくりと変えることで、むしろ少ない労力で大きな変化を作れるということを繰り返し指摘しています。


少しずつでもいいから昨日より今日、今日より明日、と自分の行動を変える。戻ってもまた思い出して、元の道に戻る。そのようなことの積み重ねでしか何も変わらないのだと思います。

人生で一番危険なことは、かなえられるはずのない夢が、かなえられてしまうことなんだよ。。。-ミヒャエル・エンデ「モモ」より


永遠にたどり着くことのない目標があるからこそ、人生は輝くのだ、ということを言い訳にして。

    村上春樹 1Q84

村上春樹 同郷の人ということで親近感はあってもノルウェイの森以来、文体があわずにずっと敬遠しています。
今話題の1Q84、もちろんまだ読んでいないのですが、読売新聞でインタービューがあり、非常に興味深い込めとんとがあり、最近の私の考えと響き合うところがありましたので、引用します。

読売新聞2009年6月16日 インタビュー (上)

より

原理主義の問題にもかかわる。世界中がカオス化する中で、シンプルな原理主義は確実に力を増している。こんな複雑な状況にあって、自分の頭で物を考えるのはエネルギーが要るから、たいていの人は出来合いの即席言語を借りて自分で考えた気になり、単純化されたぶん、どうしても原理主義に結びつきやすくなる。スナック菓子同様、すぐエネルギーになるが体に良いとはいえない。自力で精神性を高める作業が難しい時代だ。

中略

ーーーー受賞スピーチ「壁と卵」で「個人の魂の尊厳を浮かび上がらせ、そこに光を当てるため」小説を書くと発言された。

作家の役割とは、原理主義やある種の神話性に対抗する物語を立ち上げていくことだと考えている。「物語」は残る。それがよい物語であり、しかる心の中に落ち着けば。例えば「壁と卵」の話をいくら感動的と言われても、そういう生のメッセージはいずれ消費され力は低下するだろう。しかし物語というのは丸ごと人の心に入る。即効性はないが時間に耐え、時と共に育つ可能性さえある、インターネットで「意見」があふれ返っている時代だからこそ、「物語」はよけいに力を持たなくてはならない。
テーゼやメッセージが表現しづらい魂の部分をわかりやすく言語化してすぐに心に入り込むものならば、小説家は表現しづらいものの、外周を言葉でしっかり固めて作品を作り、丸ごとを読む人に引き渡す。そんな違いがあるだろう。読んでいるうちに読者が、作品の中に小説家が言葉でくるんでいる真実を発見してくれれば、こんなにうれしいことはない。大事なのは売れる数じゃない。届き方だと思う。


引用ここまで

どうやら1Q84は、これからの時代ますます「物語」が必要になる。その主翼を担うのが作家だという主張に基づいた、「記憶に残る物語」を強く意識した作品のようですが、この「物語」とはナラティヴ(narrative)、もしくはストーリーのことです。そしてその重要性は家庭医療の世界ではずっと前から言われてますが、それ以外の分野でずいぶんと言われるようになってきています。

最近読んだ、
「健康によい」とはどういうことか―ナラエビ医学講座
で、再度evidenceとnarrativeの統合をどのようにとらえるかについて考える機会を持つことができました。2−3時間で読めますが、非常に頭をすっきりとさせてくれるものでした。

著者はナラティヴ3年エビ8年かかると言っています。僕はエビよりもナラティヴにずっと時間がかかっています。
著者の立場はNBMとEBMは補完、並立するものではなく、ナラティヴがEBMを包含するという考えです。これで行くと非常にうまく行く気がします。

そしてナラティヴは家庭医療の基本です。そのことは最近読んだMcWhinneyに非常にパワフルなナラティヴによって記されていました。
mapとterritoryの話。また追って紹介できることと思います。






1Q84 Book 1
村上 春樹
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