2008/05/28

    千葉大学に寄付口座 (循環型地域医療連携システム学)

表題の通り

「千葉大学における寄附講座の設置について」
 ー循環型地域医療連携システム学講座ー


いわゆる立ち上げイベントが本日実施される

県では医師不足等による地域医療の崩壊を防ぎ、病院や診療所などの限られた医療資源の効率的活用のため、千葉県保健医療計画を見直し、患者の症状に応じた医療機関等の治療と健康づくり・福祉サービスが利用できる「循環型地域医療連携システム」の構築などを行いました。
 今回、当該システムの具体化にむけ、県内唯一の医師養成機関である千葉大学大学院医学研究院において関係事業の研究・普及を行うことを目的とした「循環型地域医療連携システム学」寄附講座を開設します。
 なお、この寄附講座には「地域コース」を設け、地域に指導医及び後期臨床研修医を派遣し、地域医療の支援を行ってまいります。
 つきましては、平成20年5月28日(水)に千葉大学学長との間で、この講座の開設について、協定の締結式を執り行います。
 また、寄附講座開設プレイベントとして、寄附講座担当客員准教授(予定)によるプレゼンテーションも同日実施いたします。


客員准教授にはケアネットなどでおなじみの,

馬杉綾子氏 (千葉大学大学院医学研究院循環型地域医療連携システム学客員准教授 6/1就任予定)

とのこと.教授はこれから募集かな.

循環型地域医療連携システムの詳細はこちら(pdf)


表題のところにproject Bremenという言葉ともに動物の積み重なったロゴがあるので(いわゆるブレーメンの音楽隊から?)調べてみたら,

ブレーメン型地域社会づくりモデル事業第1号拠点施設を整備する民間事業者を募集します。

とあり,

地域で生活する子どもや障害のある方、高齢者、主婦や学生など一人ひとりの住民が、お互い助け合い・支え合いながら地域で住み続けられるブレーメン型地域社会の実現を目指しています


と説明.

よくわからないが,さらに調べると健康千葉21のHPに説明があった

ブレーメン型地域社会づくり

「ブレーメン型地域社会」とは、グリム童話の「ブレーメンの音楽隊」に因んで名付けられたものです。
ロバとイヌとネコとオンドリが、お互いに個性を生かし泥棒を退治して、仲良く1つの家で暮らしたように、子ども、障害者、高齢者などを含む様々な立場の県民が、それぞれの個性を生かしながら仲良く暮らしていける地域社会をつくっていこうという願いが込められています。



平成16年からプロジェクトブレーメンが始まったそうです....

平成16年7月に、新たに設置された作業部会・研究会を舞台として、「プロジェクト・ブレーメン」が始まりました。

プロジェクト・ブレーメンの6つの作業部会・研究会は、平成16年7月から平成17年8月(一部は18年3月)まで開催され、公募の委員を含む123名が県内各地から夜間中心の93回もの会議に参加し、検討結果・提言がまとめられました。

様々な方が集う住まいの場(ブレーメンのお家)研究会
あなたに合わせた支援」を星の数ほど研究会
明日の地域福祉を創る」人材育成作業部会
「誰でもわかる」福祉サービス評価システム作業部会
「誰にもやさしい」まちづくり研究会
「新たな地域福祉像」実現のための事業と財源のあり方研究会


どうやら堂本知事の2005年の宣言からのようですが...

何らかの制度改革があって,寄付講座を作りやすくなったとのことで,あちこちに寄付講座とその教授が生まれていますが,寄付金は年限があることが多いので,その間に自活できる財源をとるか,寄付金を延長するかしないと存続できなくなるので,在籍中の活動がどうもそのため(講座・自分のポジションのサバイバル)だけに,大半をとられそうで,寄付をした人たちの意図や要望をかなえるためのプロジェクトはどうなるのだろうと勝手に考えてしまいます.(自分のポジションの心配をしないといけないのは,サラリーマンでも自営でもみんなそうなのですが...)

感染症の雄 岩田健太郎氏も神戸大学へ移ったとのことで医学部と思っていたら,
工学部のキャンパスだった.

神戸大学都市安全研究センター

部門の意図はよく分かるし,彼は適任と思うけれど.....工学部のキャンパスまで上り坂大変なんだよな...

なんだかつぶやきシローみたいになってきた.
結論はありません.それぞれ何らかの結果が出ることを願ってやみません.

P.S.やっぱり教授というのはならないと気がすまないのかな...

2008/05/23

    事前確率はどこから来るのか? (Where do pretest probability come from?)

LR (likelihood ratio)やBayesの定理など臨床推論に絡む話をするとほぼ必発の質問

「そもそも最初の事前確率はどうやって知るのですか?」

至極妥当な質問である.

ある診断が問題になっているときにその診断に役に立つ症状や身体所見,検査値の異常があったり無かったりするとき,最終的なその診断の確率 posttest probailityはそれに対応するoddsの形で

pretest odds x LR+(A)x LR+(B)x LR-(C)x LR+(D)x LR-(E)x LR+(F) =posttest odds

(例えば症状A,Bはあるが症状Cがない,身体所見DはあるがEはなく,検査Fが陽性の場合)

として表されるLR+\-は全てその症状,所見,検査に固定された数字なので(本当は違うのだが),最も大事なのはpretest oddsの見積もり,つまりそれに対応するpretest probability(事前確率)の見積もりが最も重要である.その見積もりにが大幅に違うと,その後の問診,診察検査が適切であっても,事後確率は影響を受ける.しかしその方法については意外と書かれていない.

その質問に答える際にいつも引用している論文がこれ

Richardson WS: Where do pretest probabilities come from?
ACP Journal Club 1999, 4:68-69.

あいにく購読していないと読めないので骨子だけ抜粋

pretest probabilityの源となりうるものは4種類

1.Remembered cases
2.Practice database
3.Planned research
4.Population prevalance

1.医師の経験から.当然診療所でやっている医師にとっての発熱咽頭痛の最終診断の上位(大半は風邪)と,化学療法で白血球が下がっている患者さんばかり見ている血液腫瘍内科医にとっての発熱咽頭痛の最終診断の上位は違う,その領域で長くやっていればやるほど,「その領域,セッティング,状況」での様々な事前確率の見積もりは正確になるが,そのぶん,「領域,セッティング,状況」が変わると見積もりが外れる確率が高くなる.
また直近の経験によりバイアスを受ける(最近脳腫瘍による頭痛を診たとか,見事珍しい病気を診断したとか,自分の興味のある領域の疾患が高く見積もられるとか)
胸痛の患者において,循環器内科医は心臓疾患を,消化器内科医は消化器疾患をgeneralistの見積もりよりも上位に上げることは知られている.

2.自分の診療所が非常に整理整頓されていて,この様なことを意図して診療すると自動的にデータがたまるようにしていれば,(そうでなくても調べることが出来れば),自分の医療機関での事前確率はしっておくことができる.咽頭培養を出した全部の患者のうち溶連菌がどのぐらい陽性なのか.この数字が検査室や検査の外注会社に出してもらえれば,「この人は咽頭培養を出そう」と考えた人の溶連菌の事前確率そのものである.
それがわかっていて迅速キットの感度特異度がわかっていれば,事後確率の見積もりはたやすい.
電子カルテがあれば,そのようなデータ収集も容易になるだろう.

3. そのような事前確率を知るために計画されたリサーチは多いので,PubMedなどに当たることで,見事見つけられるかもしれない.また,必要なら,そのために自分の診療所で前向きに計画を立てるのも良いだろう.

4. 代表的な疾患なら,市町村や保健所が統計を取っている場合もある.また,国民衛生の動向等も使えるだろう.

ただし現在の所,医学生も,経験ある医師も事前確率の見積もりは不正確,ということになっているようです.

以下同じ著者による最近の論文(こちらは読めます.ほぼ同じような内容です)

W SCOTT RICHARDSON. Five Uneasy Pieces About Pre-test Probability. J Gen Intern Med. 2002 November; 17(11): 891–892.

2008/05/21

    竹村先生 論文 Family Medicine 誌に掲載!

三重大学の我らが竹村先生の論文があのFamily Medicine誌の先月号に掲載されています.

Yousuke C. Takemura, Reiko Atsumi, Tsukasa Tsuda. Which Medical Interview Behaviors Are Associated With Patient Satisfaction? (Fam Med 2008;40(4):253-8.) link pdf

Abstractはこちら

OBJECTIVE: The objective of this study was to investigate the association between several medical interview behaviors and patient satisfaction. METHODS: The subjects were 158 new patients who visited an outpatient facility of a university hospital in Japan. All medical interviews were videotaped and reviewed by a trained rater using a medical interview rating scale (Takemura Medical Interview Rating Scale) for evaluating medical interview behaviors. To measure patient satisfaction, a self-administered questionnaire was also developed. Both the rating scale and the questionnaire were assessed for validity and reliability beforehand. RESULTS: A significant positive association was found between the behaviors of reflection and legitimation on the one hand, and patient satisfaction on the other. The positive association between reflection and patient satisfaction existed after adjusting for both the duration of the interview and the other medical interview behaviors used. The association between legitimation and patient satisfaction also existed after adjusting for the duration of the medical interview but disappeared after adjusting for the other medical interview behaviors used. When we investigated the strength of the relationship between each medical interview behavior and patient satisfaction, reflection was found to be the strongest determinant of patient satisfaction. CONCLUSIONS: This research revealed a significant positive association between reflection or legitimation and patient satisfaction in an actual clinical practice setting.



私も一度は掲載されてみたいと思っている雑誌なので,うらやましい限りです.私も頑張ります.地道にやるしかないですね.

竹村先生 津田先生 おめでとうございました

2008/05/19

    家族指向のケアを電子カルテで実現する(Family Chart in the Electronic Age STFM 2008)

今年のSTFMは奈義ファミリークリニックの松下先生とご一緒させて頂いた

この何年かコラボレーションとシナジーをテーマにしている私は,意図的にいろいろな人と仕事をしている(迷惑をかけながら),その一環としてこれまで自分のアイデアだけでSTFMに発表を行ってきたが(倍率約3倍の所を,幸いこの数年ほぼ毎年acceptされており),コラボレーションの新たな場所としてのSTFMの第1回目として(そのほかの理由もあるのだが)昨年の夏前に松下先生にこの提案を申し出た.快く承諾下さり無事発表を終えたその骨子だけとりあえず下記に紹介しておきます.

この数年,体感的に家族志向のケアの重要性の理解がさらに深まっていたこと,それにつけ,現在の診療システムが(特に電子カルテ)がそれをサポートするように作られていないこと,そのせいで,本当は提供できたはずの家族志向のケアを提供できるチャンスを数多く失っていることなどが気になっていたことと,奈義ファミリークリニックの電子カルテが見事にそれをサポートする仕様を備えていたこと,そのような仕様を備えた電子カルテはおそらく米国でもまだ無いだろうと考えたことで,この発表にいたりました.米国の家庭医が(核家族化,個人主義の国で),どのぐらい家族志向のケアを重要ととらえているのか,またそれらを実現する仕組みをどのように実現しているのか意見交換できれば,という意図でした.

思った以上の人が来て下さり,好意的な発言,熱い議論が出来たことが良いfeedbackとなりました.家族志向度やそれがどのぐらい仕組みとして実現できているかはほぼ私の所と同じぐらい(志向度は高いが,実現度は低い),というのが印象で,やはり奈義の電子カルテは米国から見ても数段先を行っている,というかんじでした.

興味深かったのは,参加者の中に,自称「家族志向おたく」というひとがいて,家族全員が自分を家庭医として登録してくれない限りは患者としては受けない.ということでした.
米国ではかかりつけ医は契約上で指定をするので,様々な理由で患者を受けない「かかりつけ契約を交わさない」という選択肢がある状況ならでは,ですが,そこには「家族にも医師として介入できないとその患者さんへの十分なケアが提供できない(ので,そうでない限りはうけない)」というのは,家族志向のケアへの強い信念とこだわりの現れを感じました.

松下先生と頑張って論文にしましょうという約束をしたので,学問的なお話しは論文を楽しみにしていて下さい.(決意表明をここでやると引っ込みがつかなくなるのであえて決意表明です)

うちの電子カルテにも家族志向機能を取り入れるよう,働きかけなければ..


FMDRLにてupしてあります.
下記からも直接見られます.

Family Chart in the Electronic Age STFM2008(L42A Matsushita)




Family Chart in the Electronic Age STFM Baltimore handout 2008




まだ今回のSTFMの印象まとめてないな~

2008/05/18

    Tag Healthcare Management !(blog紹介)

Tag Healthcare Management !(blog紹介)

blog上では匿名なので匿名のままで
先日彼女にSTFMで会って「いつまでも私のblogにリンクを張ってくれない」といわれた.リンクを張るときは紹介のentryを書いたとき.がこれまでの通例.彼女のことを紹介するのに,何からどうやって書いて,どのぐらいまとめればいいのか想像も付かないから結局ずっと書けないでいた.頑張って書いてみようと思う

もうかれこれ6ー7年ぐらいのつきあいになるだろうか.
彼女は僕にとっては運命の人である.そして因縁の人である.
彼女に言わせると僕たちは前世でも関係があって命のやりとりをした,ということになっている.
周りから見ても僕たちは特別な関係にあるのではないか,と勘ぐられてもおかしくないつきあい.実際僕たちは特別な関係にある.但し妻に迷惑がかかったり妻を悲しませるような関係ではない.

conflict managementのセッションをするときに引用する内容で
「人間関係は初めは表面的な物で,深い相互理解に至るにはconflictを経由する必要がある(だから衝突はその為の試金石として前向きに取り組みましょう)」
というのがある.

彼女は僕に会う前から僕のことを嫌っていた.僕はしばらくしてから彼女は苦手なタイプだと思った.当時はそれでも根気よく向き合う若さが自分にあった.
気が付いたら絵に描いたように深い相互理解になっていた.という感じ.
彼女からは絶大なる信頼と許容を感じている.それは私自身の欠点も全部含めた上での許容である.
僕も彼女の欠点は一杯知っているけれど,まあそれはそれで,裏返せば長所ですから,という感じ.
彼女は僕のいるところで家庭医になり(僕が家庭医にしたのかは不明),公衆衛生を学んだ立場から「システムで物を考える」ということばかり話していたせいか,英国へhealth care managementを学びに留学することになった.

現時点では完全に両者が同等であり,お互いに教え,学び,サポートし,尊敬する関係にある.
最近の僕の生き方も随分彼女に影響された.

一体一生のうちでどれだけの人とこれだけの関係が築けるのだろう.

彼女はこの10年ぐらいで大幅に変わった.少なくとも私から見れば.本質は変わっていないかもしれないが,表現型は.それは僕が昔からその本質は変わっていないが,その表現型が10年ほどで大幅に変わったのと似ているのではないかと思う.

今多くの人のキャリアを見ているが医師のキャリアで2回目の重要な時期は6-7年目から10年目ぐらいにあるような気がする.(1回目はもちろん最初の2-3年)

「いつ死んでもいい」が最近の彼女の口癖だが,彼女にはこれからしばらくの間世界に貢献してもらわねばならない.

とにかく彼女はパワフルである.
「日差しが強いほど影も濃い」明るい人ほど内面は傷つきやすかったり,いろんな事を気にしていたりする.彼女も例外ではない.ただ随分丸くなりましたね.年の功か.聞けなくなると寂しくなるのが当時もてあましていた毒舌だったりするのですが...


Tagというnicknameはもちろん彼女の名前から来ているのだが
その意味に付箋,目印,そして注意深くフォローする,という動詞としての意味などがあることも彼女は意図していたのだろうか.
とにかく興味のあるあらゆる事に首をつっこんで足跡を残し,いろんな事をかぎ回っている.

これからも家族ぐるみのつきあいよろしくお願いします.

しかしホントに私的なまとまりのないentryになってしまいました.ま,narrativeも家庭医療の重要な要素ですから.

次はtarogoさんかな...

2008/05/17

    Top 10 Articles January 2007 - December 2007 (6-10)

Top 10 Articles January 2007 - December 2007
後半6-10番まで

6.
Section: Therapeutics
David Tirschwell
Aspirin plus dipyridamole was more effective than aspirin alone for preventing vascular events after minor cerebral ischaemia
Dec 01, 2006 11: 169-169

小規模の脳梗塞の後アスピリンにジピリダモールを追加した方が再発予防効果が高いという論文

対象は

a minor ischaemic stroke (<=3 on the modified Rankin scale) (66% of patients)
transient ischaemic attack (TIA) (28%)
transient monocular blindness (5%) of presumed arterial origin
in the previous 6 months.

Exclusion criteria included a possible cardiac source of embolism, high grade carotid stenosis, blood coagulation disorder, and limited life expectancy.


Composite end point 13% 16% 19% (2 to 32) 35 (20 to 347)
全ての血管イベント脳卒中,心筋梗塞は重症の出血による死亡が平均3.5年のフォローで
アスピリン+ジピリダモール群で13% アスピリンのみの群で16% NNT 35(ただし,95%CIが20-347)
ジピリダモールは1日400mg分2(9.5円x8= 80円弱)


またアスピリン+ジピリダモール群は34%が治療を継続できなかった(アスピリン群の治療中止は13%)脱落の多かった理由はオリジナルを読む必要あり

対象が軽症脳梗塞・TIAということ,効果の程度が不正確(NNTのCIが広い)などはあるが,それでもbenefitはあるのと,それほど高価な薬ではないので十分検討の余地はあると思います.

7.
Section: Therapeutics
C. Raina Elley, Bruce Arroll
Review: aerobic exercise reduces systolic and diastolic blood pressure in adults
Nov 01, 2002 7: 170-170

有酸素運動の血圧降下に対する効果についてのmeta分析(50以上のRCT)
最低2週間以上の有酸素運動
正常血圧の人も含めて
収縮期 -3.84 (-4.97 to -2.72)mmHg
拡張期 -2.58 (-3.35 to -1.81)
の減少(高血圧の人はもう少しだけ減少度が大きいがそれでも収縮期で5ぐらい)
アウトカムの測定がPOEMではなくDOEであること(長期的な死亡などの減少は分からない)
以上.

8.
Section: Resource review
John E Cornell, Valerie A Lawrence
Lang TA, Secic M. How to report statistics in medicine. Philadelphia: American College of Physicians, 2006. This book can be obtained from www.amazon.co.uk for {pound}33.20.
Jun 01, 2007 12: 90-91

表題の本のレビュー

9.
Section: Economics
Aslam Anis
Review: the cost-effectiveness of interventions for HIV/AIDS in Africa varies greatly
Jan 01, 2003 8: 32-32

アフリカにおける60の費用対効果に関する報告のレビュー
そのまま原文の一部を載せる(太字は岡田)

Cost-effectiveness varied greatly between interventions. A case of HIV/AIDS can be prevented for $11, and a DALY gained for $1, by selective blood safety measures, and by targeted condom distribution with treatment of sexually transmitted diseases. Single-dose nevirapine and short-course zidovudine for prevention of mother-to-child transmission, voluntary counselling and testing, and tuberculosis treatment, cost under $75 per DALY gained. Other interventions, such as formula feeding for infants, home care programmes, and antiretroviral therapy for adults, cost several thousand dollars per infection prevented, or several hundreds of dollars per DALY gained


11ドルで1例のHIV/AIDSが予防でき,1ドルで障害で標準化された1年(DALY)が得られる(単純には1年寿命が延びるとして良い)(1ドル/1DALY)(DALYとはppt).先進国の標準的な介入よりずっと格安.(GUSTO trialに基づくtPAの費用対効果は13943ドル/1DALY,統合失調症の治療薬のDALYはここ
ここにも経済法則は生きている(限界効用逓減の法則

10.
Section: EBM notebook
Mark D Schwartz, Deborah Dowell, Jaclyn Aperi, Adina L Kalet
Improving journal club presentations, or, I can present that paper in under 10 minutes
Jun 01, 2007 12: 66-68
表題どおり.論説

2008/05/15

    Top 10 Articles January 2007 - December 2007 (1-5)

BMJ groupによるEBMという直球ど真ん中の雑誌のオンライン版で2007年の一年間にアクセスの多かった順にtop 10.

Top 10 Articles January 2007 - December 2007

それらはあくまで一般の興味の度合い,話題に上った度合いの反映に過ぎないので,それをcontrovertialな物もあるだろう.ともあれ,それだけ話題になったのであるから,医師の一般教養としては知っておく必要があるのではないかと思う.(批判的吟味は各自でお願い致します.)

上から順番に
1.
Section: Clinical prediction guide
Graeme J Hankey
The ABCD, California, and unified ABCD2 risk scores predicted stroke within 2, 7, and 90 days after TIA
Jun 01, 2007 12: 88-88

自然発症リスクについても言及 
3.9%, 5.5%, and 9.2% of patients had stroke within 2, 7, and 90 days of TIA
11人に1人は90日までに脳卒中を起こす
Age (60 y = 1), Blood pressure (systolic 140 mm Hg or diastolic 90 mm Hg = 1), Clinical features (focal weakness = 2, speech impairment without focal weakness = 1), Duration of symptoms (60 min = 2, 10–59 min = 1), and Diabetes = 1.
スコアは0-7点を取り得る

risk scoreで分けたとき
21%がハイリスク群に分類 2日目までの脳卒中発症リスクが8.1% (全平均の約2倍)
45%が中等度リスク 4.1% (全平均と同等)
34%がローリスク 1%(全平均の4分の1)

ABCD, ABCD2リスクスコアそのものは高いときの的中率はそれほどでもなく,低いとき(0-3)の除外率がまあまあ LR- =026-0.31

1.0%の発症率が許容できるかどうか.

2.
Section: Therapeutics
Gary C Curhan
Review: medical therapy with calcium channel blockers or {alpha} blockers helps patients to pass urinary stones
Feb 01, 2007 12: 15-15

最近のトピック 尿路結石の排石の可能性を血圧の薬で増加させられる.現在米国では標準的に使用する医師がまだ2割程度,ということであるが,そのうちstandard of careになると思われる.先取りを.
8mmまでの石に対し15-48日までのフォローで対照群(無治療もしくはステロイド内服)の自然排石が47%に対し介入群が78% (NNTなんと3-4!)
doseや投与期間はoriginalの吟味が必要
48日も待てないけれど...

3.
Section: Diagnosis
Petros Skapinakis
The 2-item Generalized Anxiety Disorder scale had high sensitivity and specificity for detecting GAD in primary care
Oct 01, 2007 12: 149-149

2つの質問で不安障害の有無をスクリーニングできるかという研究.結果そのものも大事だが,こういう研究に付いてくるprevalenceも非常に有用.
20%が何らかの不安障害を持っていた.
全般性不安障害7.6%
パニック障害 6.8%
社会不安障害 6.2%
PTSD 8.6%
(重複があるため合計は20%にならない)

鬱の2-itemスクリーニングと同様有用なのは除外のようである
GAD-2においてスコア3以上で
何らかの不安障害に対して 感度 65% (57 to 71) 特異度 88% (85 to 90) LR+ 5.4 LR- 0.40 (これはむしろrule in)に有用
全般性不安障害に対してそれぞれ 86% (76 to 93) 83% (80 to 85) 5.1 0.17
後はそれほどでもないか.
あくまで参考値ということで.不安障害圏のDSM-IVの診断基準は覚えられない物も多く,複雑なので,その基準と照らしあわせをしてまでrule in/outが必要な症例かどうかをおおまかにつかむために使用する,という感じだろう

スコアリングの方法は
The 2 items asked patients how often over the last 2 weeks they were bothered by
(1) feeling nervous, anxious, or on edge and
(2) not being able to stop or control worrying.
それぞれについて全くないを0点 数日を1点 半分以上を2点 ほぼ毎日を3点として 0-6点の3点以上を陽性.

GAD-7という7つの質問の最初の2つだけにしてもそれほど診断精度は落ちなかった,という話.


4.
Section: Therapeutics
Michael J Barry
Review: evidence from 2 low quality screening studies does not show a reduction in death from prostate cancer
Apr 01, 2007 12: 40-40
延々続いている前立腺癌のスクリーニングの議論.2つのクオリティの低い研究でPSAスクリーニングによって死亡を減らせなかったという内容.PSAのスクリーニングでいつか学会のWSをやりたいと思っています.素晴らしい議論ができるtopicです.
ベースラインの死亡率もスクリーニング群の死亡率も8年目までで0.5%,15年目までで1.3%.有意差なし.
もちろんnegative studyなのでsample sizeが十分か本文に立ち返る必要があります.また,発見の時点で治療をしているかどうかは本文に立ち返って確認の必要があります.
「PSAをやって,その後前立腺の経直腸生検をやって仮に前立腺癌だったとしても8年間で死ぬのは200人に1人です.(それでもあなたは前立腺癌があるかどうか知りたいですか)」というと泌尿器科医に怒られるかもしれません.
もう一つの注意点はこの2つの研究では死亡しか評価していないこと.もしかしたら死んではいないけれど,スクリーニングしなかった群の方が,発見時点のstageがすすんでいて,転移や浸潤,より強い治療の副作用や合併症で苦しんでいるかもしれない.
この議論はまだまだ続く.アメリカでもヨーロッパでもイギリスでも大規模な研究が現在進行中.それぞれ介入は終わって,フォローアップの段階.
結論が出るまではやってもやらなくても正解(I recommendation by USPSTF)
キーワード:
The US Prostate, Lung, Colorectal & Ovary (PLCO) trial (effectiveness trial)
The European Randomised study of Screening for Prostate Cancer (ERSPC) (efficay trial)
The unique Prostate Testing for Cancer and Treatment (ProtecT) trial


5.
Section: Purpose and procedure
Purpose and procedure
Jun 01, 2007 12: 65-65
この雑誌がどのように対象論文を選んで,その質を吟味しているかについての方法論.日本語で同様のサービスを開始する場合は参考に

6-10までは次回以降に.

2008/05/12

    家庭医に必要な手技,手技の能力の評価と記録,hospitalistに必要な能力

STFMの年次総会より戻った.沢山の旧交を温め,多くの宿題とアイデアを抱えて.
発表の一部は既に共同の知識源に蓄積されつつある.FMDRL.org

多くの人のサポートを得て行ったので,こういう形で少しずつ還元しなければと思うがなかなか目の前の問題が片づかない.

奈義ファミリークリニックの松下先生とのコラボについては後ほど.

表題の件について.
2000年より10年計画で米国のレジデンシーすべてに義務化されたACGME outcome projectは要約それなりの成果を見せつつある.
そもそもToo Err is HumanというIOMの報告から始まった医療の質への意識向上は,「莫大な金と時間をかけて医師を育てているはずなのに何で医療の質が悪いの?卒前教育,卒後教育ちゃんとやっているの?」というpublicの当然の疑問に答え,保証する為の方法として卒後教育はoutcomes projectとなった.
要は「XX年 OO科の研修したから終了,その科の専門医」というのをやめて,安全に独り立ちできるレベルになったら(その道のエクスパートになったらではない)研修修了としましょう.そのために,それぞれの研修プログラムは修了生が安全に独り立ちできるような教育をしていることを証拠として出しなさい.というproject.

それまでhigh qualityの研修をやっているところはその明文化をすればいいだけのこと.そうでないところは,そうできるようにプログラムを変えていかないと卒後研修としてお墨付きがもらえないということ. 質の保証と向上.

印象として感じたのは,3年間家庭医の研修をして,その成果を慌ててかき集めることは無理なので,その都度,出来るだけ負担の少ない方法で,こまめに,その記録をためていきましょう.という流れ.(case log, procedure log, precepting log, portofolio)
そして,それをやっていくことが,結局自分のプログラムの修了生の品質証明(高い商品やペットに通し番号がついていたり,血統書がついていたり,認定マークが付いていたりするのと同じ)になり,それを分野全体でやることで家庭医療,家庭医の品質証明,アピールになるということ.

わかりやすく手っ取り早いものとしては手技がある.

STFM のgroup on Hospital Medicine and Procedural Trainingの発表で,最近発表になったconsensus statementの経緯とこれからについて聞いてきた.

論文はこれ

Required Procedural Training in Family Medicine Residency: A Consensus Statement

Melissa Nothnagle, Julia M. Sicilia, Stuart Forman, Jeremy Fish, William Ellert, Roberta Gebhard, Barbara F. Kelly, John L. Pfenninger, Michael Tuggy, Wm. MacMillan Rodney, STFM Group on Hospital Medicine and Procedural Training

(Fam Med 2008;40(4):248-52.)



領域毎に,core procedures for family medicineとして
A,B,Cにランキング AをA0-A2に細分化 (table 1)


A:すべての家庭医療研修プログラムがこの領域の手技の研修を提供する必要がある
A0:このレベルは,すべてのレジデントが医学部修了,もしくはレジデンシーの途中で出来るようにならなければならない,研修の証明や数の記録は不要
A1:全てのレジデントがこのレベルの手技が卒業までには独立して出来るようにならなければならない
A2:全てのレジデントがこのレベルの手技にふれ,卒業までには独立して出来るようになるための研修する機会を得られる必要がある.(必ずしも出来るようにならなくても良い)
B:このレベルは家庭医療の範囲内であるが,独立して出来るようになるためには数多く,集中した研修をする必要が生じうるもの
C: このレベルは家庭医療の範囲内であるが,独立して出来るようになるためには3年を修了後追加の研修が必要になり得るもの

例えば皮膚であれば
A0 瞬間接着剤での裂傷の修復
A1 単純な裂傷の縫合
A2 電気メスの使用
B ボツリヌス毒素
C 該当なし
といった感じ
麻酔ならCに硬膜外が入る

全ての表は論文でみられるの参考に.

どのようにconsensusを形成したかの基準となるのが
table 2

1.患者にとってより利益があるか.家庭医が提供することでその手技へのアクセスが格段に良くなるか.救命に貢献するか
2.その手技を教えるのに十分な指導医がいるか
3.十分な数の家庭医が(修了後も)その手技を実施しているか
4.症例が十分にあるか
5.経済的に妥当か.診療報酬は適切か,導入に必要な初期コストが安価か

非常に納得.

我々のプログラムは早速これをたたき台にリストを作ることにしました(手技の達成確認はやらないと,と半年前からスタッフの間で話題になっていたので,良いきっかけとなりました)

記録,報告の方法(logging)についてはやはり今回参加したセッションを参考に

「そのときに出来ない記録は,後では出来ない」ということで,すぐに出来ることを優先.

REDI - Real-time Evaluation of Doctor's Independence

このシステムを参考にとりあえず走り出してみることに.

最後に参考まで(特に総合診療の皆様へ).hospitalist movementに乗って,Society of Hospital Medicineがブースを出しており,そこで知ったのが,

The Core Competencies in Hospital Medicine

というリスト.オンラインでもみられます.


Section1: clinical conditions
Section2: Procedures
Section3: Healthcare systems
と分類されており,最後の所には

Care of the Elderly Patient 3.1
Care of Vulnerable Populations 3.2
Communication 3.3
Diagnostic Decision Making 3.4
Drug Safety, Pharmacoeconomics and Pharmacoepidemiology 3.5
Equitable Allocation of Resources 3.6
Evidence Based Medicine 3.7
Hospitalist as Consultant 3.8
Hospitalist as Teacher 3.9
Information Management 3.10
Leadership 3.11
Management Practices 3.12
Nutrition and the Hospitalized Patient 3.13
Palliative Care 3.14
Patient Education 3.15
Patient Handoff 3.16
Patient Safety 3.17
Practice Based Learning and Improvement 3.18
Prevention of Healthcare Associated Infections and Antimicrobial Resistance 3.19
Professionalism and Medical Ethics 3.20
Quality Improvement 3.21
Risk Management 3.22
Team Approach and Multidisciplinary Care 3.23
Transitions of Care 3.24

といった項目があるのが非常にバランスの取れたリストだな,と思いました.