以前環境/エコ系のイベント(http://awaour.blogspot.com/)とコラボで出させて頂いた禁煙サポートのブースで健康のことに一切触れずにタバコの害を訴えよう,というコンセプトで作成した資料です。
「あなた自身の健康のために」といっても全く関心を示さない人が「孫のために」「赤ちゃんのために」というと行動変容を起こしてくれる場合がある,という経験から、最近の環境への関心と絡めて「自分のため」ではなく「環境と世界のために」禁煙をと訴えることで、これまでメッセージの届かなかった集団に訴えかけられるのではないか,というのがそもそものきっかけ。調べてみるといろいろありました。
こんな視点から禁煙を訴えるのもアリでは?
自分の健康は自分の好きにするとしても環境に対しては他者への責任が生じるのではないでしょうか。
追記:「自分自身のため」以外の方法として、なかなか検査や薬の増量、通院など納得されない人に、確立された医師患者関係を意図的に利用して,「今回は僕の顔を立てて〜してもらえませんか」という頼み方も家庭医ならではかなと思います。時々利用します。使いすぎるとパワーハラスメントになるので注意。
タバコと環境
2010/01/20
タバコと環境
2010/01/15
病歴と身体所見でここまでわかる! 総合医スキルアップセミナー 11月ケースカンファレンス 水痘の7歳男児
恒例の総合医スキルアップセミナーの期間限定公開です。
※2009年11月29日東京都内で収録
この映像は、医療の向上に役立てていただく目的で、
主催者の御厚意により、期間限定で配信しております。(1月28日まで)
病歴と身体所見でここまでわかる! 総合医スキルアップセミナー
ケースカンファレンス担当
C&R グループビル2階大会議室 〒102-0083 東京都千代田区麹町二丁目10番9号
http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/special/career/jamep/
のシリーズ。
ケース 水痘の7歳男児
症例提供:岡田唯男氏
2009年11月29日東京都内で収録
実際の映像とスライドはこちら
なんとタイトルから診断名が「水痘」と書いてあります。
といったら当日は受けていましたが、結構まじめにスライドの最初に書きました。私の考えではこの総合医スキルアップセミナーでは扱う内容が
成人への偏重
診断への偏重
と感じていました。特に2つ目の診断の偏重では書籍や雑誌でもそうなのですが、いわゆる臨床決断というと主訴や病歴から,問診,診察を駆使して正確な診断にたどり着く、という「診断当てゲーム」的なものが多いですね。もちろん正確な診断があってよい治療が出来るのですが、臨床,特にプライマリケアの現場は
1. ほとんどが診断には困らない(感冒、胃腸炎、高血圧、糖尿病などなど)
2. もしくは診断は調べても解らない(不定愁訴という意味ではなく)が自然経過で症状がなくなってしまう
ものばかりで、
逆に
診断はわかっているが治療がうまく行かない (アドヒアランスの問題、その他)
患者の受診理由以外に提供しなければいけない医療ニーズがある(患者本人の認識しないニード)
診断をはっきりさせないまま診療を継続する必要がある
などの診断以外の臨床決断という高度なサイエンスとアートが要求される事例は多いのですが、それらに日が当たることが比較的少ない、ということを主張する意味もありましたし、むしろそれらの方が家庭医の診療の大半を占めるからより現実に即したケースカンファレンスをやりたい。ということもありました。
水痘の子どもを本当の意味で包括的に診るということはどのようなことなのでしょうか。風が吹けば桶屋が儲かる的な展開と結末ですが、実際に私が対応した症例と対応した内容ほぼそのままです。お楽しみあれ。
2010/01/14
ジェネラリストセミナー〜1日家庭医追体験記〜(名古屋)1/16
今週末16日(土曜)
名古屋で医学生の皆さんを中心に家庭医療の魅力についてお話しさせて頂きます。
私の話を聞いたことある方にはいつもの話ですが、私なりの家庭医療の魅力について聞いてみたい方はぜひご参加ください。
学生さんが作ってくださった告知内容をそのまま下記に添付します。
--------------------------------------------
◎ジェネラリストセミナー〜1日家庭医追体験記〜◎
今、医療先進国日本に足りない医療がある
専門分化の推進の中、分化されたのは分野だけでなく、患者さん
であった
患者さんを疾患ごと一人の人間として「診る」
その本当の意味を問うー
【日時】1月16日(土)
【場所】名古屋市立大学病院 研究棟 2階 臨床セミナー室
※地下鉄桜通線「桜山駅」下車三番出口目の前
【タイムスケジュール】
16:00〜開場
16:15〜17:00
アイスブレイク&家庭医て何?ディスカッション
17:00〜18:45
岡田唯男先生による1日家庭医追体験記
19:00〜21:00懇親会(希望者のみ)
【主題】
「家庭医の視点を追体験する」
家庭医は患者さんを診療する際に、診断や治療は当然ですが、それ以外に多くのことを考慮しながら診療しています。
とある症例を通じて家庭医が診療をしながらどのようなことを考がえているのか、それを皆さんに追体験して頂くことで家庭医の視点というのを感 じてもらえれば と考えています。
【講演者】
鉄蕉会 亀田ファミリークリニック院長
岡田唯男先生
米国で家庭医療学のレジデンシーを修了後、指導医となるため研修(フェローシップ)と公衆衛生大学院を並立して修了、
2002年亀田メ ディカルセンター入職。
2006年6月より家庭医療の実践、研修、研究の場として開設された亀田ファミリークリニック館山の院長。プライマリケア(家庭医療学)の専門家、卒後教育の専門家として院内外で活躍中。
【セミナー費】
学生500円
研修医・医師1000円
【参加方法】
fmzemi◯yahoo.co.jp (◯を@へ変更)
に
◎氏名
◎所属(学年含む)
◎懇親会への参加の有無(別途食事代を徴収いたします)
◎家庭医に関して一言
をご記入のうえ、 ご返送下さい。
2010/01/11
The Family Medicine Clerkship Curriculum
STFM (Society of Teachers of Family Medicine)のプロジェクトとして
表題のカリキュラムが整備されています
The Family Medicine Clerkship Curriculum
通常米国の家庭医療のクラークシップは通常3年目で2ヶ月ぐらいのところがほとんどだと思うので,また米国の医学生と日本の医学生のレベルを考慮すると,日本では卒後2年目にやる地域医療(必修化カリキュラム)の枠組みとして,もしくは3-6ヶ月程度の後期の選択研修,また日本家庭医療学会の診療所6ヶ月の部分のたたき台として有用なのではないでしょうか.
端的によくまとまっています.
リンクはpdfです.
the Executive Summary to the Clerkship Curriculum. (pdf)
the Family Medicine Clerkship Curriculum. (pdf)
鍵となる表を挙げておきます
Table 1 The Principles of Family Medicine
The biopsychosocial model
Comprehensive care
Continuity of care
Contextual care
Coordination/complexity of care
Table 2 Key Characteristics of Family Physicians
Prior knowledge of the patient
Care for a heterogeneous
patient population
Multiple settings with different diagnostic prevalence
Multi-purpose visits
Staged diagnostic approach
Opportunity for follow-up care
Table 3: Core Acute Presentations(省略)
Table 4 Key characteristics of Chronic Disease Management by Family Physicians
Chronic disease management knowledge and skill
Attention to co-morbidities
Continuity context
Relationship with the patient
Patient empowerment and self-management support
Table 5: Core Chronic Disease Presentations (省略)
Table 6 Characteristics of Preventive Care by Family Physicians
Evidence-based
Individualized
Opportunistic
Prioritized
Table 7 Core Health Promotion Conditions for Adults
Breast cancer
Cervical cancer
Colon cancer
Coronary artery disease
Depression
Fall risk in elderly patients
Intimate partner and family violence
Obesity
Osteoporosis
Prostate cancer
Sexually transmitted infection
Substance use/abuse
Type 2 diabetes mellitus
Table 8 Core Health Promotion Conditions for Children/Adolescents
Diet/exercise
Family/social support
Growth and development
Hearing
Lead exposure
Nutritional deficiency
Potential for injury
Sexual activity
Substance use
Tuberculosis
Vision
2010/01/01
私が次の患者さんを呼び入れる際に立ち上がって自ら診察室のドアを開ける8つの理由
自分の診療でずっとこだわってやってきていることのひとつに、自分が立ち上がって診察室と待合室を隔てるドアを開けて待合室の中から次の患者さんを見つけてお呼びする。という行動があります。実は自分の施設でも全員がやっていることではないので、僕の外来についた学生さんや研修医の方はカルチャーショックを受ける人がいます。
1)歩み寄りの気持ち。本来医師が患者さんの自宅や職場へ伺っての診療があるべき姿である(その方が素(す)の状態が見られる)が、様々な制約でそれは難しい,ならば医療機関まで来てくださっている訳なので、せめてもの気持ちとして最後の何歩か、数メートルかは私の方から患者さんのいるところへ歩み寄りたいという少し申し開き的な,言い訳的な。
2)素の姿を見る。患者さんは医師の前で様々な演技をなさいます(意図的でなくても)。待合室ではそうでもないのに放送で呼び出されて診察室に入ってくる段になってからこれ見よがしに辛そうにはいってくる人、逆に通院の長いよく知った医師が忙しそうなのに気を使って、待合室では横になりたいほど辛いのに、全くそういったそぶりを見せずに気丈に振る舞おうとする人。顔の表情もいろいろな意味で作っている方も多いです。こちらがドアを開けて呼べば、患者さんにとっては不意打ちになるが、素の状態を観察することは非常に重要なのです。
3)家族ダイナミクス、家族関係など(同伴者との関係)を見る。たとえ受診は一人だけなのに夫婦で一緒で来られる場合、高齢者の方の足として娘さんや息子さんが一緒に来られる場合、中高生の子どもを親がつれてくる場合など同伴者がいることは多いですが、来ているにもかかわらず、診察室には入ってこない場合が多々あります。診察室のなかから呼び出し放送で呼んでしまっては、この「入ってこない同伴者」の存在があるのかないのか全く見えません。入ってこられないのは、受診者のプライバシーに同伴者が配慮している場合もあれば、同伴者が一緒に入ろうと立ち上がったところを受診者が制して一人で来ようとする場合もあります。またこれまでの別の医師の受診で何らかの良い/悪い体験があってそのような受領行動が形作られている場合などいろいろな理由があると思いますので,無理強いはしませんが、少なくとも同伴者が入ってこようとしない場合「一緒にいかがですか」と提案はするようにしています。ドアを開けて呼び入れたときに受診者と同伴者がとる行動でその二人の関係がどのようなものか少し推し量ることが出来ます。また同伴者が家族とは限りません。友達やそれ以外の大切な人の場合も。これは4)につながります
4)その他の人間関係を見る。これは,意図しなかった効果。地域密着でやっていますので、私の患者さんを呼び入れようと診察室のドアを開けて待合室を覗くと、今呼び入れようとしている患者さんと,それと数人あとの名字の全く違う僕の患者さんがなかよく雑談している風景を良く見ます。これも必ず呼び入れたあとでどういう関係かお尋ねして、出来るだけ診療録に書き留めておくようにしています。「実はお隣/近所なんです(住所を見ると実際そう)」「遠い親戚なんです」「ダンス教室で一緒だったんです」、70代の方同士で「小学校時代の同級生なんです」などなど。以前50台で娘さんがいるはずのない方が若い女性と同伴で(もちろん診察室へは一緒には入ってこない)、おそるおそる関係を尋ねたら,昔その娘がいろいろと警察のお世話になったりした(かなんかそのような)時に、いろいろと面倒を見てあげたとのこと。まあ医師用の説明かもしれませんが。うちの電子カルテには家族図を実現する機能すらありませんが、近所や幼なじみ、趣味友達などまで把握してこそ家庭医の醍醐味。
5)脚力、歩行などを見る。高齢者,リハビリに来ている人、ねんざ、腰痛などの回復などの様子が見られる。2)とつながりますが、名前を呼ばれて、座った状態から立ち上がる所にどのぐらいかかるか、診察室に入ってくるまでの歩き方、どのぐらいビッコを引いているか,無理しているかなど自然に観察することが出来ます。口で「大丈夫」といってても歩き方に出ます。また特に足腰の訴えがなくてもその立ち上がり方や歩き方で虚弱高齢者の転倒リスクを拾い上げて先にリハビリを導入したり、パーキンソンなどの神経疾患を見つけることもあります。
6)患者さんへの忠誠(loyalty)を示す。患者満足度につながる。受診するべき医師が制度によって制約されない日本だからこそ、医師としてはずっと自分のところに通ってきてほしいというのはあるはずです。互恵性(何かしてもらったら返したい.give & take)の法則を考えれば、loyaltyが欲しければまずloyaltyを示す。give & takeはgive先にあることには理由があります。1)に関連しますが、普通はそこまでしてくれるドクターはいないので「私の先生はわざわざ呼びにきてくれる」といった特別扱いされている感を与えます。もちろん自分のところに来てくださる患者さんは特別扱いをします。日本中どの医者へ行っても費用負担は同じなのに自分を選んでくださる訳ですから。耳の聞こえない患者さんにも配慮できます。目が合ったところで手招きするだけ。それから、耳が聞こえる方でも僕の診察室のドアが開くと「次は自分かな?」という具合にこちらを見る方が多いので、目が合ったらそのまま名前を呼ばずに「どうぞ」と招き入れることもあります。これは個人認識の上では多少リスクがあるのですが、大病院ではあり得ない「顔パス」の状態を作り出すことで、最高のVIP待遇が提供できていることになります。また、大病院の外来で仕事している人には特にお勧め。両隣は言うに及ばず同じ列の診察室のどのドクターもやっていない状況なら、本当に特別扱いです。他のドクターを待っている患者さんは羨望の目で。私の患者さんは鼻高々です。
7)その半コマのタイムマネジメントとして。8)につながりますが、その日の予約患者さんがどのくらい既に来て待っているか、新患の患者さんはどんな人か、外来のペースが送れているときに、待ち時間が長くて怒っている人や疲れている人はいないかといったことをさっと確認しています。通常、1時間遅れることはまずないのですが、突発的なことでたくさんの人が既に受付を済ませて待っている状況になったら、患者さんを呼ぶためにドアを開けるとその4−5人(場合によっては7−8人)の既に受付を済ませた患者さんが一斉に「次は自分が呼ばれるのか?」という雰囲気で刺すような視線をくださいます。ですからあまり待ちの人が多い状況になるとその視線が怖くて,放送呼び出しにしてしまいます。つまり、自分の中では予約外来で放送呼び出しをしている時は、その時点でそのコマのタイムマネジメントがうまくいっていない,ということの表れなのです。ですから、いかに放送呼び出しをせずに外来をやり遂げられるか,という自分にとってのプレッシャーとして利用しています。自分の心理状態(余裕があるかないか)を示すバロメータとしても機能しています。「今日も一こま,胸を張って全員直接お迎えできた」というのが自分への勲章。
8)現在は施設の管理者の立場もつとめているので、やはり全体の待ち時間も気にします。現在の施設は診察室が複数あって複数の医師が診療をしていますし、当日飛び込みの患者さんもたくさんいます。その時間帯の待合室がどのぐらい混んでいるか、ぐったりしている人や苦しそうな人,怒っている人などいないか。もちろんこういったあたりは受付、看護師なども気を配ってくれていますが、目が多いにこしたことはありません。
直接診察室の外へ出て待合室を見ながら患者さんを呼び出すことで得られる情報量とメリットは計り知れません。
欠点は時間がほんの少しよけいにかかることです。でも一人30秒程度ですから半日で20人なら10分余分にすぎません。10分余分にかけるだけでここに書いただけのメリットと情報量が得られるのですから、しない理由はありません.
例外は上記の様に、自分に余裕がないときと、初診患者さんです。初診患者さんは顔を知らないので探すのが大変なのと,その分声を張り上げないといけないからです。放送呼び出しです。
米国は既に診察室に患者さんが入っていますし,入るときはノックをしてから入りますから、上記の多くのメリットを放棄しています。そこからは「効率」が得られるのですが....
2009/12/23
収穫と振り返り
最近だいぶ静脈の仕事が出来るようになってきました.まだまだ改善点はありますが.
やりっ放しで,何をどれだけやったのかをこまめに記録して振り返っていかなければ,それははたけに大量の種をまいたにもかかわらず,その成果(収穫物)には目もくれず,ひたすら種だけをまいているようなものです.
1年間の実績(講演,学会,執筆など)はこまめにまとめていかないと,どんどんやる気がなくなります.
私の場合は年に3回強制的にやらざるを得ない締め切りが用意されておりそれに合わせて年に3回自分の活動をまとめます.
1.5月頃 所属する法人の事業報告の原稿作成に合わせて(通常遅れます)
2.夏から秋にかけてHANDS-FDFの2回目のセッションで履歴書についてのコマがあります.そこで実例をフェローの人に見てもらうために,再度update (実質の自分の履歴書のupdate)
3.年末にかけて,その1年間の総括の意味も込めて.そしてこのときのまとめは重要な意味を持ちます.
年賀状の送付先リストの基礎データになるのです.
その1年お仕事を依頼してくださった方と,新年度既に依頼頂いている方々に年賀状を送るようにしています.ですから漏れを認めるわけにはいきません.
どうやって確認しているか.日常スケジュールの管理はgoogleカレンダーですがカレンダーを何種類も併用しています.(そこがgoogleカレンダーのよいところ,それぞれの色が違います)
1.日常的に館山でやる業務を入れるカレンダー
2.プライベートの用事を入れるカレンダー
3.館山以外の場所でやる仕事のカレンダー(これに出張,講演等が入ります.鴨川での会議や外来も入りますが,秘書さんにとってはこのカレンダーで予定が入っていたらとにかく館山にはいない,ということが分かるので電話対応などがしやすい)
4.医局行事のカレンダー
5.館山に見学や訪問に来られる方,短期研修の人の予定のカレンダー
6.医局秘書の予定
まだあったかな?
普段依頼が入ったらgoogleの3のカレンダーに予定を入れます.
googleカレンダーはそれぞれ独自に表示,非表示が切り替えられるので
今回のようにまとめをする段になったら,3以外のカレンダーを全部非表示にするだけで簡単に確認することが出来ます.それを一箇所にまとめていけばよいのです
さて振り返り
講演,講師活動
2009年は30件
ちなみに 2008:24件 2007:20件 2006:30件
2006年で多すぎると反省したはずなのに..またリバウンド.
現在のやり方の問題は1年の最後まで数を数えないので全部終わってから多すぎた,と気づく.来年から番号を振るか.
学生さんとの関わりも公式の講義,非公式の勉強会を交えて聖マリアンナ医科大学,千葉大学,北里,杏林,東海,医科歯科と増えており,ありがたい限りです.
また今年は製薬会社さん(これはプロフェッショナリズムの観点からお受けするかどうか大いに悩みました),看護師さん,薬剤師さんなどこれまで余り無かった方にお話しすることが出来ました.感謝.
またインフルエンザについて有料の講習会の講師をするという貴重な経験
総合医スキルアップセミナーのシリーズ
などなど秋口はきつかったですが,それなりの収穫もありました.
来年早々からいろいろと依頼をいただいています.
今年もまた来年も何件かは予定が合わずお断りをせざるを得ない依頼がありました.
体が一つなのでどうかご理解の程をよろしくお願いいたします
学会発表
学術活動(学会)
9件(公募WS含む) 主演者は2件でした.
2008:8件 2007:13件 2006:11件
まずまずですね.ただこれまでは指導教官的な立場の発表(主演者が別)の物が多かったため今年は自分が主演者として意図的に取り組む物を入れました.数だけではない,質的な挑戦が出来たと思います.
論文、執筆活動
淋しい限りです.
一番苦手とするところで,ここが,まだ弱いと感じている静脈の仕事.
来年もここを重点課題にすることになりそうです.
様々な過去の活動の中身は可能な限り以下で公開しています.
http://www.scribd.com/familydoc
2009/12/22
質的研究 修士論文 共有
もうずいぶん前の話になってしまいましたが,同様の研究テーマを考える人もいるようなので,参考になればと公開して共有することにしました.研究の結果は協力頂いた研究参加者に返すのが最も正当な成果の還元,ということもあります.
ピッツバーグに住む永住目的以外の日本人が医療を利用する必要が生じたときにどのような経験をするのか ということについての質的研究です.
半構造化面接で結果的には18人の型からお話しをきき,9つのテーマが浮かび上がりました.
日本の医療はまんざらでもないと考えていますが,この研究もそう考えるに至ったきっかけの一つです.
それまでは待ち時間=医療機関に入ってから医師の診察を受けるまでの時間と考えていましたので日本は3時間待ち3分診療といわれるように,ほぼ予約制でしかもそれほど時間がずれない米国とくらべると見劣りすると考えていたのですが,お話しを聴いていく中で,
「待ち時間=かかりたいと思ってから医師の診察を受けるまでの時間」
という認識をしていることが判明,そうすると通常米国は電話をした当日に診てもらうのは至難の業ですから,「いくら待ったとしても当日には必ず診てもらえる」日本の方が待ち時間は短い,という認識なのです.
その他の知見は読んで頂けると幸いです.英語ですが.
エントリーの最後に質的研究の参考となるまとめへのリンクを載せています.
A Qualitative Research on the Experiences of Getting Medical Care in the United States by Members of the Japanese Community in Pittsburgh
A Qualitative Research on the Experiences of Getting Medical Care in the United States by Members of the Ja...
参考
2008/03/13 質的研究 qualitative research のリソース
2009/12/21
Plagiarismって知っていますか?
自分のことをアカデミアに生きる人間(大学にいる人間だけがアカデミアに生きているのではないし,大学にいる人間がアカデミアに生きているとは限りません)と考える人にとっては知っておきたい単語です.
日本語では知っていると思います
Plagiarism=盗作
のことです.
私も厳密なacademic writingについてきちんと教わったのは,米国の大学院に行ってからです.通常は大学(undergraduate)の最初の最初できちんと教わるのですが,私の場合は医療倫理学のコースの課題を出したときにこっぴどくしかられて学びました.
要は自分の提出した課題論文に引用元から大量に引っ張ってきていたのです.勿論出典は書いていたのですが,大量にそのまま引用したことが問題とのことでした.詳細は忘れました.
それ以降,それだけが理由ではないのですが,このことについてはまじめに考えるようになり,これまでもあちこちで発言しています.
2007/11/13
Authorship(学会や雑誌での学術発表を前提とした研究、プロジェクト)
特にコンピュータが発達していわゆる「コピペ」が簡単になって状況はひどくなる一方です.特にそれが授業の成績評価の対象になる課題論文だったり,入学試験や入社試験の論文の場合は,評価をする側がかなり注意をしないと,大半がネットからのコピペにもかかわらず合格点を出してしまう,といった事態が生じかねません.
実は米国のアカデミアでもそういうことが起きています.
Plagiarism in Graduate Medical Education. Ariel Forrester Cole, MD Fam Med 2007;39(6):436-8(pdf)
とある病院の老年医学のフェローシップへの応募書類 過去2年間で総数26件のうち3つのpersonal statement(志望動機)が同一のWebsiteからの盗用部分を含んでいた.(10%!)
どうやって見つかったかは,レジデンシーディレクターが全く別の地区からの応募の書類が驚くほど似ていることに気づき,調べてみたところ,現在も存在するwebsiteから入院中に治療した高齢者が良くなって外来で再開するというちょっとしたいい話が数十行にわたってコピーされていた,とのこと.(原文にはそのまま盗用部分が出典と共に引用してあります)さすがに最後はそれぞれが独自に書いたようですが.
現在もfamily medicine personal statementと検索すると大量にサンプルを見つけることが出来ます.
前出の著者はなぜ盗用をするのかについての考察として
1.インターネットによって簡単に手にはいるから
2.英語が主言語ではなく,また医療をする上では正確な文法に則った英語が要求されるわけではないから,英語で医療が出来ても,きちんとした英文を書くというトレーニングを受けてないし,英語を母国語とする人にとってもまとまった文章を書くことからしばらく離れて居るために,ついつい (そういう意味ではblogを書くことは良いトレーニングかも知れません)
3.世代によって盗用に関しての価値観が違う(それほど悪いこととしての意識がないかも知れない)学生が別の学生のために提出課題の文章を書いたことを指摘したら「それは出版がされるわけでもないし,”大した”科目でもないし,友達を手伝って上げたという良いことをしたからそれでバランスがとれるでしょ」といわれた話を引用.
この後エッセイは
このことはプロフェッショナリズムの問題ではないか,ではそれは教える必要があるのではないかと続きます.
当然問題は医学分野だけではないようで,最近,それを解決するする支援ソフトが出来たようです.
ネット上からの不正コピペを判断する支援ソフト「コピペルナー」12月11日13時15分配信
機能としては、1つもしくは複数の文書を読み込み、webページや文献データベースを検索。それにより、コピー・アンド・ペーストが行なわれている箇所を解析するとうたう。判定結果には、コピペ割合やコピー元の文献などを表示。コピペしたと思われる箇所は、完全一致またはあいまい一致によって色別で表示されるという。さらに複数の文書を読み込み、文書間のコピペを点検し、グループ化して相関関係を表示することができる。
教育機関向けのスタンダードライセンスは45,675円。スターターライセンス(シングルチェッカーのみの機能)は9,450円。スターターライセンスからのアップグレードは38,850円。ビジネス向けのスタンダードライセンスは67,200円。全て1ユーザーあたりの価格で、スタンダードライセンスについては、ユーザー数に応じてボリュームディスカウントを提供する。
しかし医療も教育もベースに信頼し合う人間関係があるから成り立つはずなのに,どちらかがその信頼を裏切り始めると,予防線のために使う資源(時間,人,金)が増える一方で,コピペは時間節約のようで間接的に相手の時間を奪い,それは,回り回って自分に割いてもらえる資源を奪っていることになるのです.
大切なことは,書く場合も,しゃべる場合も自分のオリジナルではない事柄については引用し出典を明確にすることで,
どの部分が自分のオリジナルか
を明確にするということです.
plagiarismについて学びたい人は以下のサイトが紹介されています(英語ですが)
www.plagiarism.org
http://www.web-miner.com/plagiarism
盗用の問題ではないのですが,沢山の応募書類(留学,初期研修,後期研修)を見ていると,本当に内容が似通ってきていることが気になります.
サンプルや例を参考にするのは,標準の型を知ることと,如何に自分しか表現できない物語を語るかを見つけ出すために,既に他者によって為された表現を「禁忌肢」として認識するため,と心得たいですね.そのためにはむしろ大量に参照すべきと思います.
付記:(12/23/09)
触発された記事を引用しておきます.エントリー作成当時は見つけられなかったのですが,見つかりましたので
「コピペ」は「効率アップ」じゃない
いまretweetやreblog全盛で,簡単に編集できてしまうので,引用と盗用の境界に気をつけないと気がつかずに誰かの気分を害してしまう可能性がありますね.

